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詩)柄杓

手で柄杓を作り水を汲む
隙間から滴り落ちて足を濡らす
小さな手でも喉を潤すだけならば
充分に賄えるというのに
我先に我先にと人混みを掻き分けて
罵声を浴びようとも
何度も何度も水を汲む

飲むだけでは満たされず
大きな壺に水を溜める
どれだけ水を溜め込んだとて
何処にも持ち帰れはしないのに

溢れた水が反射して
浅ましくも美しくも見える
壺の中に写る顔など見る事はなく
醜い顔で三日月の様に笑う

滴り…したたり 溢れた…あぶれた
柄杓…ひしゃく 賄える…まかなえる

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