詩)悩む葦
心地よい嘘に紛れて
ぼやけた光を頼りに何処へ向かうというのか
其方に進めば薔薇の路だと
此方に来れば雲の上を歩くようだと
何も背負わず身軽になった人々は
地と空の隙間から言葉を堕とす
どれを拾えば良いのかもわからず
手を広げても耳を塞いでも
言葉に侵食されて素の形を保つは叶わず
もがけど苦しめど
笑え笑えと臓腑は蟲を産む
羽虫にもなれず貝にもなれず
星や月を欲しがり手を伸ばそうとも
地に膝を着いたままでは
飛び上がる事さえも出来ず
絶望を紡ぐ口さえも閉じて
重さに沈み込む頭に背を折られぬようにと
土の中から水を吸い上げ陽の光を探す
隣の葦はいつの間にやら高くなり
此方に影を堕とす
冷たくなった風が
この年の終わりを告げに来た