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🍎詩)冬花火

光を帯びた球体は尾を引きながら空へ
音が弾けて静寂を切り裂いた

冬の雨は厳しさを増し
人々はこうべを垂れて
歩みを進めていた

星も見えない夜に一輪の華
澄んだ空気を震わせて
刹那にその生涯を閉じる

咲いては散って
咲いては散って

海馬に刻まれる音と映像
刹那を永遠とわに変えようと
何度も何度も繰り返す

夏の喧騒を静めた華は
冬の夜空に誇らしげに咲いて
咲く事を諦めた華を嘲笑うかのようで
歓喜の中に悲しみを置いていく

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