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詩)新しい世界へ

纏わり付く水の重さ
光の届かぬ地の底を這いずり回る
醜い姿を晒して生きる日々
色鮮やかな赤や青が頭上を自由に動く
僅かしか届かぬ光に
いつの間にやら目は腐り
尖った嗅覚を頼りに生き延びる
濁った世界では澄み切った目をしていても
汚れた物しか写らない
時折、落ちてくる青い世界と眩しい光
手を伸ばしても届きはせずに
憧れに心が病んで新たな世界へ泳ぎ出す
光に近づく程に膨らむ希望と身体
青い世界が広がって肌に光が触れる頃
浮き袋は膨らみ切って
叶わぬ希望と共に破裂した
得たものと失ったもの
どちらに天秤が傾いたのかは分からない
体液が海に溶け出して青を赤黒く染める
醜い身体を小魚に啄まれ海の底へと還っていく

纏わり付く…まとわりつく
還っていく…かえっていく
啄まれ…ついばまれ



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