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詩)雑音

明るい話題の中にノイズが走る
明日の話に小さく亀裂がはいり
何度となく聞き返す

暮らしの音の中に
不協和音は
こっそりと身を潜め
此方を見つめ音も立てずに
白い歯を見せる

自分の笑い声の中に
ザーザーと小さな砂嵐がまじり
笑顔は小人に姿を変えて
森の中へと逃げてしまった

耳障りな音にも慣れて
普段の声があり得ない大きさで
苦い顔をした隣人が
金魚の様に口をパクつかせていた

耳を塞いでも
歌を歌っても雑音は消えず
それでも目を見開いて
目の前の世界を見つめていた
陽が昇る姿を見落とさぬ様に
時計の針が重なる姿を数えながら



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