🍎詩)蛹
覆われた殻の隙間から
ドロドロになった目や耳は
針の様に尖って此方の様子を伺う
雨も風も太陽の光も夜の闇すらも
外殻が遮断して
新たに私の色を決めていく
地を這っては天敵に怯え
葉を蝕んで腹を満たしていた頃が
遠くの記憶として下やら上を行き来する
何者かに変わろうと動く事を辞めて
私は生まれ変わる
殻の外に飛び出すのは
美しい羽をを持つ蝶なのか
オドロオドロシイ異形なのか
明日の夢を抱きながら
微睡を蝕み
欲望と恐れと希望をかき混ぜて
私は作られていく
青い空の下を
私の羽が舞う事は許されるのだろうか
意識は段々と縮んで
また、真っ白な世界へと還っていく