詩)曖昧

人は生まれいつか死ぬ
その道筋は異なるとしても
必ず死は訪れる

死の間際に肩を叩かれて
考える猶予が与えられる時も
何気ない日常を釦一つで消される時も
如何なる過程があっても
死ぬという結末に変わりはない

不変の真理を前に命の重さは平等であった
色々な出来事が頭をすり抜けては疑念が生じる
疑念は平等という概念に陰を落とし
浮遊していた羽に重さを与える
理想と現実の擦り合わせから
いくつかの命がその光を失う

無名の天秤は均衡を保てず首を傾げる
人の思いは曖昧で虚ろいながら正義を掲げる
曖昧な世界で死という事象だけが
不変の真理として偉容を誇る

釦…ボタン
偉容を誇る…いようをほこる 
姿が誇らしげに栄える様
傾げる…かしげる

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