🍎詩)旅路
水滴は岩肌から落ちて
小さな水溜りに融ける
堅い地面を染みて
また地下の水脈に戻る
長い長い道のりを進み
いつかは雲へと変わり
雨となって地上に降り注ぐ
雲で覆われた空は暗く、陽の光を遮る
人々は時に恵の雨だと奉り頭を垂れ
時に天からの災厄だと塞ぎ込む様に頭を垂れる
私は一滴の雫に過ぎず
己の意思では贖えぬ流れに身を委ね
時に反抗の意思を眼に浮かべ
あり様にありたいと願いつつも
欲する物に手を伸ばし
掴めぬ事を知れば諦め、不貞腐れ
無用な事に腹を立て
時に嘆き、時に喜び
繰り返し繰り返し
いつかは意思もその意味すらも失くし
汚れを削いで純水となり
または、黒い塊となって流れて行く