うみを知るまで(3)

僕は、将来の夢を書くのが、いつからか苦手になった。
生きていても、自分の思い通りにならないことの方が多いし、予期せぬことが起きる方が多いから。
夢を叶える人間は、ごく僅かで、僕はその中の1人ではないと思ったからだ。
いつも困って、人のためになる仕事、人の役に立ちたいと、書くようになった。
つまらない、渇いた人生が、続くと思っていた。
死ぬために生き、その準備をし続けていると思っていた。

その事実から目を背けて、毎日を諦めて、ガムシャラに無駄に過ごしていた。
他の同級生と同じように、笑って、はしゃいで、部活に打ち込み、行事を楽しんで、SNSを更新した。
いつからか、自分が何がしたいか、全くわからなくなった。
同級生を見て、親を見て、姉を見て、自分のテストの点数を見て進路を決めた。
ある程度誉められて、突き抜けていない大学。
正解でも不正解ないと思う。だからこそ、つまらない考え方だと思った。
意志を持って、はっきりとした将来を彩ろうとする人を見て、嫉妬を覚えたし、なんとかなるだろうと話す、気楽そうな友人を見ると、羨ましく思えた。

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