I wanna be with...
ねぇ、あなたは今どこにいるの。
どこで何をして、今という時を過ごしているの―。
別の人の彼女になった。
あなたとは、まるでタイプの違う大人な人。
「じゃあ、今日も行ってくるよ」
「うん、いってらっしゃい」
あなたとは喧嘩ばかりの日々だったけれど、すごく余裕があって、口喧嘩すらすることがない。そんな優しい人。
「ねぇ、私のこと好き?」
「え?あぁ」
あなたといたときはこんな会話ばかりだった。
なんで言葉にしてくれないのか聞くと、
「なんだか『好き』ってたくさん言うと、その気持ちが薄れちゃう気がするでしょ?言うべき時のためにとっておいてるんだよ」
いつも決まってそう言った。
あなたのいう「言うべき時」は永遠に来なかったけれど。
でも今の彼は違う。キスや態度だけで終わらせたりしないし、
ちゃんと「好きだ」と、言葉にしてくれる。
いろんなことを知ってて、本当に尊敬できる大切な人。
ダメなところはちゃんと叱ってくれるし、
「ちゃんとしなきゃ」って思わせてくれる。
現実主義で理想論は語らない。
でも、「この人に釣り合う人にならなきゃ」って思える。
今の方が絶対幸せなの。
「あぁ!ごめん!今日すっぴんでいい?」
「ん?いいよ?」
「やった!今日ギリで起きたからする時間なくてさ」
「そんな毎回毎回ちゃんとしなくていいんだよ」
今の方が…幸せだもん…
「ねぇ!聞いてよ!」
「ん?どうしたのさ、そんな熱くなって」
「今日仕事でさぁ!あのじじいがさぁ!」
「うんうん」
今の方が…きっと…
気づいたら私の手の中のスマホの画面は、あなたの電話番号だった。
別れたあの日以来、開きもしなかったこの画面。
でも、電話のマークは押せなかった。
ねぇ、今どうしてるの?
彼女はできたの?
あなたの隣には、新しい誰かがいるの?
考えれば考えるほど、できなかった。
今の彼の方がきっといいはずなのに。
きっとこれから幸せにしてくれるのは彼なのに。
あなたに会いたい。あなたの声が聞きたい。
あなたと一緒に馬鹿なことして、子供みたいに騒いでいたい。
今になって、あなたといた日々を愛おしいと思うなんてずるいね、私。
今の道を選んだのは私なのに。
だからお願い。
早くなって。別の人の彼氏に。
私の手が届かないところへ。早く行って。
私が電話をしちゃう前に。
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