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小学校のときに書いた作文は、パラレル・ワールドへとジャンプする異次元ゲートかもしれない

秘密のアルジャーノン・テクニック

 私が、ずいぶん昔に体験した話ですがね。
 ある女性が、私にこう言ったのです。
「未来に、なんの夢も希望も持てないのです」
 この女性は、病気のお母さんと二人暮らしだったのですよ。大きな経済問題もあり、彼女は未来のビジョンを持てない状態だったのですな。
 私はこう言ったのですよ。
「ならば、夢を思い出すことにしましょうかね。小学校のときに書いた作文とか文集とか、家にないですか? あったら、持ってきなさい」
 やがて、彼女が持ってきた小学校のときに書いた文集には、こんな文章が綴られていたのですな。
《わたしは おおきくなったら アメリカにすみたいです
 がいじんのひとと結婚して ひこうきをもちたいです
 ディズニーランドも ひこうきでいきます》

 幼いピュアな夢が爆発してますな。
 特に、《がいじんのひと》という表現がキュートです。
「パラレル・ワールドと言ってね。じつは、世界は、たくさん存在するのですよ。あなたが幼いときに描いた世界もまた、存在するのです。
 この夢を信じ込もうとか、念ずるとかしなくてよいですよ。
 ちょっと、作文を書き直してみましょう。文体はこのままで、現在完了形で書くのですよ」
 そうして、できたのが次の文章ですな。
《わたしは アメリカにすんでいます
 がいじんのひとと結婚して ひこうきをもっています
 ディズニーランドも ひこうきでいきます》

 ……………………
 さて、数年後、この女性から手紙が来ました。
 その手紙によると、彼女のお母さんは、その後しばらくして亡くなられたのですよ。呆然として過ごしていたある日、あるきっかけから、外国人に日本語を教える仕事を手に入れたというのです。
 その仕事が好評だったので、やがて彼女はアメリカに行くことになったのですな。
 そして、カナダ人の男性と恋愛し、結婚したのですよ。
 その男性は、飛行機学校の教官でした。
 手紙には、「自家用飛行機でディズニーランドに行きました」と書いてあったのです。
 私は、激しく感動しましたね。
「《がいじんのひと》というのは、カナダ人のことだったのだっ!」

異次元ゲート


 この実話からわかるのは、小学校のときに書いた作文は、パラレル・ワールドへとジャンプする異次元ゲートかもしれないということですな。
 最近、有名なサッカー選手が小学校のときに書いた作文が、話題になったのです。その作文には、「サッカー選手になりたい」ではなく、「サッカー選手として活躍している」と、現在完了形で書いてあったのですな。ポジションや海外遠征まで、細かく書いてあったのですよ。
 そして、すべて現実になっていたのです。
 有名なテニスの選手も、同じ内容の作文が見つかっていますね。これもやはり、「テニス選手になりたい」ではなく、「テニス選手として活躍している」と書いてあったのですな。
 私は、ふと思いついて、小学一年生のときの文集を引っ張り出してみたのでした。
《なかよし文集 ぼくが、わたしが将来なりたいもの》
『看護婦さん』岡田ひろみ (仮名)

 なったよね! 看護婦さんに。
 そのあと、退職してネットワーク・ビジネスやりはじめたけどさ。
『カウンタック』 市部ひろし(仮名)
 なってほしいですね……。……カウンタック。
『お嫁さん』 守田ゆうこ(仮名)
 なれたよね。お嫁さん……。……離婚したけど……。
『ママ』 四ツ谷ふみこ(仮名)
 なってるよ! スナックのママに……。
 けっこう、高い達成率ですな(カウンタックは除く)。
 我がアニメイトのビー坊が、こう言いました。
「ケルマさん、やっぱ、小学生のときに書かないとダメなんすかね?」
「そうではないぞ、ビー坊よ! 重要なのはピュアな心なのだ!
 幼いときは、誰もが360度の可能性があるのだよ。
 警察官になりたい! モデルになりたい! 宇宙飛行士になりたい! サッカー選手になりたい! などなど。
 しかし、大人になるにつれて、どんどん可能性を狭めていくのだ。
 ピュアな心を取り戻すにはまず、小学生の状態に戻るのだよ!」
「しょ、小学生ですかい?」
「うむ、まずは小学生の状態に戻り、作文を書くのだ!
 基本は、ほとんどひらがなだな。句読点とかは無視してよい。ボキャブラリーも、シンプルでよいのだ。小学生の表現は、直感的なのだよ!」

  ちなみに、☟これは例文だが。
《私、山田一郎は、魂から愛し合えるパートナーを手にいれ、海の見える丘に家を建てて暮らしています。
 年収は3000万円で、ハーモニー(調和)という名前の犬と暮らしています。
 愛と光が私の人生を包んでいます。
 私たちは、この宇宙に感謝して、毎日を過ごしています》

これだから、大人はダメなのだっ!
 自分に都合のいいときだけ、愛だ、光だ、感謝だと抜かしやがる。こんなのは、ただの言葉遊びだ。正しくは、☟こうだな」
《ぼくは すごいやさしいおよめさんと すごいおおきなテレビのある家にすんでます
 犬のゴローもすんでます
 ぼくは いつも100まん円もってます
 ぼくは よくおよめさんと爆笑します
 すごいです
 すごい爆笑します
 おならしただけで 爆笑です》

「ケルマさん! こりゃあ小学生魂が遺憾なく発揮されてますぜ!」
「うむ! こうやって作成した作文は、こっそりと人目につかない場所に、秘密に隠すのだ。
 カーペットの裏とか、時計の裏とか、テレビの裏とかだな。なぜならば、小学生にとって最大の敵はお母さんだからだっ!
 お母さんに見つからないようにするのだよ!」
ガッテンだっ!

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