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パリ在住、スポーツと無縁だった私のパリオリンピック体験記

パリオリンピックが終わった。東京2020でも予告された通り、街全体を使った前代未聞のオリンピックだった。

100年ぶりのパリ開催というタイミングで、私はこの街に住んでいた。今までスポーツとは無縁だったけど、せっかくならオリンピック見てみるかーと、お手並み拝見くらいの気持ちだった。

すべてが終わった今は、パリオリンピック、最高だった!と思う。前代未聞なことに挑戦する姿勢にすごくインスパイアされた。

パラリンピックもパブリックビューイングで見たいし、4年後LAも行こうかな?と思うくらい。すっかりオリンピックファンになるほど、楽しかった!

パリ在住者として、行けるところはほとんど行ったので、オリンピックの思い出をまとめました。パリで観戦した人も、日本から応援していた人も、一緒に感動を振り返りましょう🇫🇷

長編なので、読みたいところからどうぞ!笑

セーヌ川から見た開会式

いちばん感動したのは、やっぱり開会式!
なんとオリンピック公式が4時間超えのフルアーカイブを公開してくれています✨

スタジアムの中ではなく、セーヌ川で行われる開かれたセレモニーは夏季オリンピック史上初の試み。警備などの安全面だけでも果てしない準備があったことでしょう。

開会式は徹頭徹尾、世界観が統一されていたことに感動しました!

コアチームのコミットと責任感の強さ(芸術監督のThoma Jolly、コスチュームディレクターのDaphne Burki、作曲家のVictor le Masne、振付師のMaud le Pladec
そしてコアチームにすべてを一任するフランスの姿勢も素晴らしかったです。

規模は違えど、自分もこれまでの仕事でセレモニーを企画運営した経験があるので、4時間超えの開会式をあのクオリティでやり切ったことに尊敬の気持ちしかありません。

開会式当日のパリの様子

開会式の約1週間からセーヌ川沿いは厳戒態勢で、住人や勤務先がある人は入口で警察にQRコードを提示しなければならず、当日そのへんの橋で立ち見、というのは難しそうな気配がありました。

元々 私は開会式のチケットを持っておらず、家にテレビもないので、パリ市内のパブリックビューイングで見ようと考えていました。しかしSNSで流れてくる前日リハの様子などを見ているうちに、音漏れや歓声など現地の雰囲気を味わいたくなり笑、一旦セーヌ川に近づけるだけ近づいてみることにしたのです。

バリケードの向こうがセーヌ川
チケットかQRコードが必須でした

結局セーヌ川から少し距離はあるもののスクリーンが見える位置を陣取り、ここで立ち見だねと夫と話していたとき、彼の友人から着信がありました。なんと、開会式のチケットが2枚余っているというのです。しかもその友人がいる場所は私たちのすぐ近く。これは運命でしょうか。

急遽チケットを手に入れ客席へ!

…かくして幸運にもチケットを手にして、客席に行くとセーヌ川のど真ん中。右にシャトレ座とスクリーン、左はマリーアントワネットが最期を過ごしたコンシェルジュリーがよく見える席でした。

オステルリッツ橋がトリコロールカラーの煙に彩られ、エディットピアフの「群衆」とともにスクリーンに Enchanté (はじめまして)と出た瞬間、ついに始まった…と鳥肌が立ち、少し泣きそうになりました。

船で選手が入場するところもばっちり見ることができ、日本が来たときは席がお隣だった日本人のお姉さんたちと一緒に必死で手を振りました👋

レディガガのパフォーマンス、河岸でのフレンチカンカンと映像が続く中、現地ではリアルタイムで色々なことが起こっていました。
シャトレ座の屋上に、映像に出てきたフードを被った謎の男が現れたり、コンシェルジュリーから続々と奏者が出てきたり…。なんだなんだと思っていたら、今回の開会式で特に話題にあがったメタル×生首の人が歌うパフォーマンスがすぐ真横でありました。

この時は全方位で何かが起こるので、忙しかった笑

大トリのセリーヌ・ディオンが登場した時は、歓声を上げるというより、息を呑んで見守る人たちが多かったような気がします。会場が静かだった。安直な表現ですが、本当に感動しました。。

日没してからは、客席の私たちもスクリーンで映像を見るのみでしたが、気球は肉眼で見えました。セリーヌディオンの歌声を聴きながら、光る気球が飛んでいく光景はとても美しく、夢のようでした。

セーヌ川でオリンピックの開会式を見るという、人生でまたとない、忘れられない体験でした。

セレモニーの舞台裏が気になる人は、フランスのテレビ局によるドキュメンタリーもぜひ📺日本から観る場合はVPNを試してみてください。

パリを駆け抜けた聖火リレー

私にとって今回のオリンピックが身近になったきっかけが、聖火リレーでした。普段よく行く場所に聖火が来るという非日常。有名な観光名所から、住んでないと行かないような通りまで、あらゆる場所を使ってパリの人たちをムーブメントに巻き込んでいった印象です。突然いつもの道が通れなくなるなど、不便なこともありましたが、今となってはレアなパリを見れたいい思い出。

私が聖火を見に行った場所は、オペラ駅前、ヴァンドーム広場、リヴォリ通り、ルーヴル美術館前、バスティーユ広場、レピュブリック広場。人生初の聖火リレー、こんなにあちこち一緒に行けちゃうのか!と驚きました。街でやるからこその面白さですね。

この写真を撮っているときの自分が、フランスのテレビ France 2 の放送に映っていて後日びっくりしました。笑

ちなみにパリ市の聖火リレーの最終地点レピュブリック広場では、当日無料コンサートがありました。Santa、Jain、Ofenbachなどフランスのアーティストの生パフォーマンスを見て、好きな曲が増えました🎧

日本人としては、聖火トーチに日本の技術が使われていたことも嬉しかったです。開会式は大雨、他の日も雨がぱらつくことが多かったですが、日本製ならトーチの炎は絶対に消えない、と安心感が持てました。愛知県豊川市の「新富士バーナー」さん、素晴らしいお仕事でした🔥

燃料を使わないエコな気球の聖火台

開会式、閉会式ともに登場した気球。オリンピック期間中ずっとテュイルリー公園に設置されており、夜になると浮くというサプライズ付き。オリンピック関連のスポットの中でも、特に人気だった印象です。夜は浮く瞬間を見るために、多くの人が集まっていました。

記念切手も販売されています

実はこの気球に使われているのは水と電気のみ。聖火トーチもデザインしたフランス人デザイナーのMathieu Lehanneurと、フランスの大手電力会社EDFによる新しい発明なんです。モダンでシンプルな見た目も、かつてのフランスの発明を再解釈した技術も素敵なので、パリ市が今後これをどうするのか気になっています。

試合観戦①エッフェル塔スタジアム

開会式の次に楽しみにしていたのがビーチバレー。エッフェル塔のふもとのスタジアムで観戦したのですが、当日は雨。カッパを着て傘をさすレベルでした😭

特設会場は基本的に屋根がありません…

ビーチバレーを見るのは初めてでしたが、司会者が盛り上げ上手で、ブロックやスマッシュのたびに音楽がガンガン流れ、客席でウェーブが起こったり、賑やかでかなり楽しかったです。

チケットはパリに移り住む前から買っており、競技+特別なイベント会場に入れる「ホスピタリティパッケージ」というものでした。ビーチバレーの日は、観戦前に特別会場のPalais de Tokyoに立ち寄り、選手村の部屋の再現や歴代ポスターを見たり、公式キャラクターのフリージュと記念撮影したりと、ちょっとしたVIP気分を味わうことができました。

試合観戦②コンコルド広場

今回はスケートボードやブレイキンなど、アーバンスポーツで日本が大活躍しましたよね!その会場がコンコルド広場です。期間中はアーバンパークという名前が付いていました。

このコンコルド・アーバンパークには、会場内を歩き回る用のお手頃なチケットがあり、間近で観戦はできないものの、同じ場所で雰囲気を楽しむことができます。美しい噴水やオベリスクと、3x3バスケやスケートボードという組み合わせがおもしろく、ワクワクさせられる会場でした。

試合観戦③ヴェルサイユ宮殿

オリンピック最終日、ヴェルサイユ宮殿で近代5種目を観戦。近代5種目は馬術、フェンシング、水泳、射撃、ランを1人の選手がおこなうハードすぎる競技で、キングオブスポーツとも呼ばれるそうです。

グラン・カナルという運河をのぞむ素敵なスタジアム。馬術のとき、お馬さんへの配慮からか観客が静まり返るので緊迫感がありました。

観戦した女子の決勝には、残念ながら日本はいませんでしたが、男子は銀メダルの快挙。この日はバカンスでいなくなったと思っていたフランス人が意外にも来ており、フランス代表への応援が熱狂的でした🇫🇷

無料で参加できるイベント会場の多さ

パリオリンピックは、無料で誰でも参加できるイベント会場が多かったことが印象に残りました。老若男女みんなが楽しめる仕掛けも多く、それを支えるボランティアスタッフも親切でいい人たちばかり。いくつかご紹介します。

🥇メダルセレモニー開催、チャンピオンズパーク
エッフェル塔すぐそばのトロカデロ広場では、毎日メダルセレモニーが開催されていました。その名もチャンピオンズパーク。入場無料ですが、毎日いろんな競技のアスリートがステージに出てきてくれます。
私が行った日はテニスプレイヤーのジョコビッチ、柔道のフランス代表(テディリネールへの歓声がすごかった)、バドミントンの日本代表を見ることができました!

左が日本代表・右がジョコビッチ
選手もファンも楽しめるいい企画!

⛹️‍♂️パリ市庁舎のオリンピックテラス
冬は素敵なクリスマスマーケットができるパリ市庁舎ですが、この夏はオリンピック・テラスになっていました。予約不要&無料で入れて、さまざまなオリンピック競技を体験できたり、毎日コンサートがあったりで連日賑わっていました。私はここで射撃の体験をして、難しさを実感しました🥹

オリンピック参加国が運営する「クラブ」と呼ばれる会場にも、いくつか行ってきました。

🇫🇷 / 🇰🇷 / 🇯🇵

🇫🇷クラブフランス
フランス企業が提供するゲームブース、巨大スクリーンのパブリックビューイング、フォトグラファー常駐の撮影ブースなど。主催国のファンゾーンなので、規模が大きかった!会場はラ・ヴィレットというやや警戒が必要なエリアにありますが、警察や憲兵隊のおかげで普段とは違う安全な雰囲気でした。オリンピック期間は入場料5ユーロ、パラリンピック期間は無料になるそうです。

🇰🇷クラブコリア
韓国のストリートフードの屋台、アスリートと一緒に撮った風のプリクラ、チマチョゴリ着用体験、韓国アーティストのインスタレーション展示など、かなり気合が入っていたクラブコリア。アジア以外のお客さんもたくさん来ており、若い子で盛り上がってました。

🇯🇵クラブジャパン
パリ日本文化会館で開催。招待制だったこともあり、他のファンゾーンと比べて規模は小さめ。東京2020のユニフォームや聖火トーチ以外は、パネルによる展示が中心でした。
フランスや韓国と比べると、体験できるコンテンツが少ない印象は否めませんでしたが、アスリートにはここで一風堂のラーメンが振舞われたそうです🍜

ディオールが手がけた衣装の展示

オリンピック開会式&閉会式の衣装の多くは、ディオールのクリエイティブディレクター マリア・グラツィア・キウリによるデザインです。現在、パリのギャラリーディオールで実際に見ることができます。

セリーヌディオンの衣装、ダイアナ妃着用のドレス、フランスの歌手Aya Nakamuraの衣装
フランス国歌を歌ったアクセル・サン・シレルの衣装
レディガガの衣装

オリンピック衣装の展示は、2024年9月30日までとのこと。近くで見られるレアな機会なので、おすすめです!列に並べば当日入場もできそうでしたが、公式サイトで予約がおすすめです。

閉会式はお城でパブリックビューイング

閉会式を迎える頃にはオリンピックファンになっており、寂しい気持ちでいっぱいに… というわけで閉会式は、賑やかそうなパブリックビューイングで見ました。

無料で見るのが申し訳なくなるロケーション

メトロ1番線の終点にあるヴァンセンヌ城は、13世紀に建てられたステンドグラスが美しいサントシャペルなど、中世の建築が現存しています。芝生に座って、夕焼けとシャペルとスクリーンを見るのはとても贅沢な時間でした。

閉会式は、パリとロサンゼルスのカラーが違いすぎておもしろかったです。パリ側のセレモニーもよかったですが、ヴァンセンヌ会場が沸いたのはKaraokeコーナーと、トムクルーズ、スヌープドッグでした。笑

人生で一度きりの機会を体験する

オリンピックがすべて終わったあと、参加者向けにメールでアンケートが届きました。

オリンピックに出席した動機を訊く設問の回答に “To experience a once in a lifetime opportunity” という選択肢があり、まさしくその通りだったと思いました。

私にとっては海外生活が人生で一度きりかもしれないのに、さらにオリンピックが開催。もし参加しなかったら一生後悔したことでしょう。

同じモチベーションの夫とオリンピック期間を楽しめたこと、素晴らしいデザイナーや歌手を知れたこと、人生を懸けてオリンピックに臨むアスリートを見れたこと。一度きりの機会がもたらしてくれたものが多すぎて、いまだにオリンピックロスです。燃え尽き感すらあります。

今後も人生で一度しかない機会が現れたとき、ためらわず飛び込めるように、ウォームアップしておこうと思います。

東京2020からバトンを引き継ぎ、パリ2024オリンピックに関わったすべての方々に拍手をおくりたいです!👏👏👏

以上が、私のパリオリンピック体験記でした。
この長文をどれだけの人が最後まで読んでくれたか分かりませんが、もし読んでくださった人がいたら、ありがとうございます🏅

4年後のLAオリンピックが待ち遠しい〜!!!

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