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「足」と「口」、かな。やっぱり。

「あの人と会ったのは、あれが最後だったのかなあ」と、後になってから想う。別れは突然やってくる。出会いもそうなのだけれど。

 自分の親族は、割と元気で長寿な人が多いけれども、人間なのだから、いつかは必ず終わりがやってくる。そして、だいたい予兆となるパターンは決まっている。
「最近、食が細くなって」
「自分で歩けなくなってきてから、ちょっと」
これを聞くと、その後は、日に日にだんだんと弱ってしまって…と、続くことになる。まあ、もちろん他のパターンもいろいろとあるのだけれど、そこに「足」と「口」は必ずセットになってくっついてくる。定食のごはんとお味噌汁のように、そこに必ずちょこんと乗っかってくる。

 そこでいつも考えることになる。

 「健康で、それなりに充実した人生を送りたい。そして、出来ることならば誰の助けも借りないで、元気な状態で天寿を全うしたい…」と、考えるならば、どうやら「足」と「口」が大切らしいという結論に至ることになるのだ。

 では、どうすれば、「足」と「口」が、長くいい状態でいられるのだろうか?

 要するに、”「足」と「口」を長持ちさせるために大切なものは何か”と、いうことが命題になってくる。こういうときは、身近な別のものに置き換えて考えてみるとよい。パソコン、車、包丁や電子レンジ、冷蔵庫、鞄など、日常の身の回りのものは、新しいものが出てくると、すぐ陳腐化してしまうので余り参考にならない。

 そこで出てくる身近な別のものの代表格が、「スポーツ」なのである。

 どのスポーツにも、第一線で長く活躍している(あるいは、いた)選手がいる。そして、幸運なことに、誰もが、贔屓にしている、あるいは好きなスポーツというものが1つはある。まあ、場合によっては、好きではないけれども習い事や部活動、学校の体育の授業で仕方なく経験したスポーツだったという人もいるだろうと思うけれども、誰もが何かしらのスポーツをやった経験は持っているものだ。

 スポーツのいいところは、時代が変わっても、基本的なところが変わらないというところだ。もちろん、新素材の開発や研究成果、テクノロジーの進展によって新しい器具や道具が更新されることはあっても、野球はバットとグローブを使っているし、サッカーはボールとゴールがあるし、テニスもラケットとボールを使うなど、大きな根幹部分、ルールも含めたベースになる部分は変わらない。
 人の体も、基本的なところは変わらない。サングラスがあろうが、セラミックの歯であろうが、人工心臓であっても、結局のところ老化して劣化していく仕組みは変わることがないのだ。

 第一線で長く活躍している選手は、何が違うのだろうか?もちろん、ある程度の才能ということも大切なのだろうけれども、それだけで万事うまくいくとは考えにくい。ものごとには整然とした、共通した理由というものが存在しているはずだ。
 まず、準備がきちんとなされていることが大前提だろう。練習をしっかりと積み、体が動く状態に仕上げて、競技や試合に臨むということだ。それから、本番中にスタミナが切れたりしないような動き・状態が続き、終了後の短期・中期・長期別のメンテナンスと休息がバランスよく出来ているということが肝要なのだろう。
 時間とともに得られる経験を蓄積して活かすというアドバンテージとともに、時間とともに衰えていく身体能力と戦っていかなければならず、この2つのせめぎ合いの中で得られたトータルバランスが常に高い状態でいられるのが一流の選手なのだろう。
 「足」と「口」を使った運動を、長く上手に繰り返せるかどうかということも、これとよく似ている。準備・試合・メンテナンスの3つがバランス良くそろっていることが求められるのだ。

 また、スポーツには2つの楽しみ方がある。「見るスポーツ」と「体験するスポーツ」がそれだ。ただ、「見るスポーツ」には、更に2つの楽しみ方がある。「見るだけのスポーツ」なのか「体験したうえで見るスポーツ」なのだが、その間には大きな差がある。
 体験している方が、“応援したくなる熱量が明らかに高くなる”と、いうことだ。それも長く続けていればいるほど、勘どころとか、見どころとか、技術の高さなどが、見ていてわかってしまうので、嫌が王にも興奮させられてしまうからだ。
 日本人は見る文化の民族だといわれることがある。音楽を楽しむといえば、多くの場合、音楽鑑賞、音楽を聞く、コンサートに行くということを想像する。楽器を鳴らして演奏するとか、歌を歌うというのは少数派なのである。でも、スポーツを楽しむといった場合、最近はマラソンとかテニス、野球やサッカーとか、昨年からはラグビーも加わって、観戦ではなく体験する姿を想像出来るようになってきているように感じる。それに伴って、応援する姿も、ただ単に観戦しながら声援を上げるという姿から、金銭や物資を寄付してサポートしたり、初心者向け体験教室のサポートをしたり、違う形で応援する社会に移りつつあるのを、感じ取ることが出来る。
 
 冒頭で、健康で長生きするには、「足」と「口」がポイントらしいということを書いた。「口」については、治療から予防へと重点が変わり、治療そのものも、虫歯から矯正まで進化してきたので、相当改善されてきているように思うが、「足」については、まだまだのように感じる。
 実は、ウオーキングシューズを使うと、歩くのが本当に楽になる。人間はもともと直立歩行した時から、踵や膝や腰に負担をかけることと格闘して生きてきた。それだけに、まず、専用のシューズを使い分けるという準備をする習慣を持つことが大切だと思う。
 その人と最後に会った姿が、元気な姿だったと想い出せるように。

#応援したいスポーツ

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