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2020年4月に読んでよかったテキストたち

こんにちは、けんず(@kenzkenz61)です。

4月は自宅にいる時間が長くなったので、積読の解消するぞ、本を読むぞと意気込んでいましたが、こういった情勢で気分が乗らない日も多く、それほど捗りませんでした。

あまりテキストを愛せなかったひと月でしたが、今月の「読んでよかったテキストたち」始めます。

1.どこにも敵をつくらないという強さ

正直、今、過去最大の勇気を持ってこのプロジェクトを報告しています。
(中略)
でも、このサービスを提供することで少しでも新たな選択肢を得ることができる方がいるのだとしたら、生活の安全を守れる方が増えて、企業が従業員に会社で寝泊りさせたり満員電車に乗らせずにすんで、ホテル事業者が資金繰りを少しでもよくできて、ホテル従業員が自分の健康を守りながらサービスに従事できるようになって、協賛企業が意義あるCSR活動をできるようになるのだとすれば、このプロジェクトを行い社会の効用を最大化させる意義は大いにあると思うのです。
そう信じて、ホテルシェルターをリリースします。

現在の情勢に対して、自宅が安全な場所ではない人とホテルをマッチングさせるプラットフォーム『ホテルシェルター』のサービスローンチの記事。

短期間で企画をまとめ上げた手腕や、この状況でホテル業界ができる貢献など、経営者や宿泊業という視点で非常に評価を受けていましたが、わたしはサービスの内容と同じくらい、このローンチ記事に一貫している姿勢に、すごさと共感を持ちました。

それは、自身の想像の最大限で、利であることと善であることを訴えられていること。そして同時に、どこにも敵をつくらず、最大限の配慮をされていること。

陳腐なことばに聞こえるかもしれませんが、全員でこの局面を乗り越えるために自分にできることを最大限やるぞ、みなで支え合って頑張ろうというところから出発しなければ、この文章は生まれていないと思います。

2.相手を受け入れ合う関係性

仮に相手と反対意見を持ったとしても、あくまで「僕はこう思うよ」程度にしておく。正解がない今の時代だからこそ、僕らは尊重したコミュニケーションを取って、関係性を構築していかないといけないと思うんです。わかりやすく言うと、相手を受け入れ合う関係性かもですね。

所属するWaseiSalonでコミュニティマネージャーを務めている長田さんのインタビュー記事。長田さんのコミュニティに対する思い、コミュニケーションに対する考えが書かれています。

相手を受け入れ合う関係性、って当たり前に大切なことだと思っていたけれど、気を抜くといとも簡単に忘れて去られてしまうのではないか。特にいまの、正義だと思ったら誰かに石を投げつけてもいい雰囲気はけっこうしんどいです。

利害関係ではなく、尊重しあえる関係性を増やすコミュニティ。オンラインサロンだけでなくて、一対一の関係性でも。

3.お互いの宝物を大切にする

そういう他人が何を大事にしているかにもっと寛容になるべきだと思います。「そういうものはいらない」と言うのではなく、「あなたはそれを大事にしているんですね。私はこれを大事にしています」と、こういうときだからこそ他者理解や他者への寛容さが必要です。

上の記事とほぼ同時期に読んだもの。

なんでも自粛、互いにどんどん制限をかけあい、それは不要不急だ、こちらを優先するべきだという意見が大きくなっていく。取捨選択は必要かもしれませんが、それは選ばれなかったものたちが万人にとって不要ということではないと思います。

自分の宝物と同じくらい、だれかの宝物も大切にしたい。

それから、ベルリンの副市長の、

ウイルスを全て殺したとしても、それで文化を殺してしまっていたら、ウイルスと戦った意味がない

ということば。心に刻みます。

4.知らず知らず、自分の中にも外にも対戦相手を生み出して

食うのに困らないだけのお金があって、そこそこやりがいのある仕事があって、少ない親友と大切な恋人がいるだけで十分幸せなはずなのに。
ちょっと目を向けると、「お前はまだまだだ」と言われているような、そんな気がしてしまう街。
何と戦っているんだろう、灰色の街でもがく僕らは。

人のことなんか気にしないフリと、気になって仕方がないさまと。冷静に分析しているようで熱っぽくなってしまう自己との対話が、手に取るように表現されていて、まるで自分のことを書かれているような共感を覚えながら読み進めました。

だれかと競うためじゃなくて、「自分のリズムで歩くこと」を見つめる時間を、日々の中で適度に持ちたいと思います。

5.自分と社会が混ざりあうところ

まあそれでも赤い服は着る。そしてきっと相も変わらず白いハンカチを桜色に染める。鶏もも肉を揚げる。エリンギも揚げる。「落ち着いたら会おうね」をたくさんこさえる。たくさんたくさん未来の約束をこさえる。いつ会えるかな。いつ話せるかな。わたしの大切なものって何だろうかな。

このエントリ、友人のテキストは選ばないつもりだったんですけど、無理でした。

わたしはこの方の書くエッセイが好きで、思わず声に出したくなることば選びとか、乱雑でぶっきらぼうの中にある芯の強さとか、反対に脆くて崩れそうなものたちとか、それらをひっくるめて読んだあとの気持ちよさみたいなものをずっと感じていました。好きな理由をいろいろと考えていたのですが、このnoteですとんと腑に落ちました。

世の中で起こっていることと、自分がいま考えていることと、昔の話の溶け合わせ方が上手なんだなと。

社会に対してのアラートをただ鳴らす訳でもないし、身の上話だけをしている訳じゃない。このバランス感覚がよい。

ひとつ読んだなら、他のnoteも読んでいってください。好きになりますから。

6.“本当はみんな知っているのに”

がんばりやさんはたくさんいるけど
やすみ上手はまだ多くない
やすんだほうが
もっとがんばれるようになるって
本当はみんな知っているのに

夏生さえりさんがことばを、岩倉しおりさんが写真を担当されているInstagramの連載「読む透明感」。

短いことばの中で、はっとさせられる、大事なことを考えさせてくれる文章が最近好きな気がしています。詩とか、短歌もそうかな。

“本当はみんな知っているのに”の一文で、誰かに向けられていたきれいな日本語を、急に自分に宛てられたメッセージのように感じられる。きゅっと胸が苦しくなりながらも、あたたかいものを注いでくれるような。

大切なことは、短いことばの中にこそ含まれているのかな。

7.今はただ生きているだけで

この不穏でストレスフルな空気を浴び続けながら生命活動を維持してるだけでもう、めちゃめちゃすごいことなんだ。その上でさらに価値あるものを産まなければ、だなんて思い詰めなくていい。自分という価値ある存在を守り切るだけで、もう充分なんだ。

「こんな時だからこそ」と無理に気負いすぎなくてもいい。今は健康で生きているだけで十分すごいことだと、優しく背中を押していただいた記事。

刺さりすぎて、単独でnoteも書いたので詳しくはそちらで。

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共感、想像力、思いやり、励まし合い、わたしにできること。

この期間に集めたことばは、意識的か無意識的か、そういったものたちでした。

こういう状況だからこそ、ことばの力を、信じたいと思っています。

それではまた来月。

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