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やっぱり私は嘘が嫌いだ(小山田圭吾インタビュー『BUBKA』を読んで②)

暴力って、何かカッチョいい!『暴力脱獄』(映画)『暴力教室』(クールス)『暴力青春』(キャロル)『暴力大将』(どおくまん)… そんな男子の感覚。いや大人になっても(ジェンダー?)あとバイオレンスって響きにも、惹かれてしまうんだよね~

ウルトラマンに仮面ライダー、ヒーローもの、戦隊もの、子供向けの特撮番組だって暴力だ。闘いごっこは子供たちの体育、実技。

小学生じゃなくなった頃、近所にできたイトーヨーカ堂の広々とした階段に、ピンクレディやスーパーカーのカレンダーに並んで、矢沢永吉の例の写真(ゴールドラッシュのやつ)が貼られていた。成り上がり?意味わかんね。エーちゃんの、何がいいんだか全然わかりません! だった頃のはなし。

その後、ロック・ミュージック(イズ・ドラムス!)を知ったのは、有志のバンドが中学や高校の体育館でやる『スモーク・オン・ザ・ウォーター』や『大都会』(クリキン! )『メリー・アン』(アルフィー)とかだったけど😂 ※こんな普通の音楽話でも、読んでくれる人いるんだ、書いてもいいんだ! って思わせてくれたツイッター(現X)のlobster‐Kingさんへの感謝をここで! ありがとう~


やっぱ中学に上がった年だった


そんな普通の男子(オレ)ですら、暴力に惹かれる。
ところでこうして書かれた文字は固定され、解釈され(良いも悪いもない)どう裁かれるかもわからない。こんなん書いてしまった…この後どう言われるのだろうか。

初めて学級崩壊したのは小4の時。1組と4組の抗争に発展し、登下校時に拉致されて捕虜になるのが怖ろしかった。中学に上がると背の低い I くんの学生服と五分刈りの頭がいつもチョークの粉で真っ白だったし、ヒョロヒョロのMくんが、テレビでも見たことないくらい高速で、ぐるぐるジャイアントスイングされてるときの、恐怖におののく表情は今でも忘れない。

その1980年頃、「校内暴力」が社会問題になり、徳光さんの『ズーム、イン!』でも朝っぱらから各地の「校内暴力」がリアル(だけどモザイク入り)な映像とともに映し出されるようになった(昭和40年男たち! 覚えてる?ウィッキーさんのワンポイント英会話もあったよね)


先週は糖尿病ほったらかして、つい小山田圭吾さんのこと…にも関わる昔のことを書いてしまったんだけど、ちょい前から二十歳だった頃のこと、が、気にはなっていたんですよ。でもそれは「1986年が『今』でしかなかった話」っていう、まぁたった一言で済んじゃうネタでもあるんだけど、今度のバブルは本物だとか、株価バブバブ言いだしてて。昔の記憶、それもあって(あと、いつだって桐島聡に見られていたし)

その、今って今なんだ~と実感してた記憶で象徴的なのが、第三舞台の芝居を観てる自分で。新宿の紀伊国屋ホール、開演前にロキシーミュージック(モア・ザン・ディス)が流れていて。それは鴻上尚史さんの演劇だからだろう。普通のファッション(といってもD.Cブランド)に、いまキテる、これからゼッタイ来るっていう鴻上さんセレクトの絶妙な音楽、ダンス。高速で連射される台詞とギャグ、笑い。といった華やかさ、が逆に醸し出していく空虚。世界の終わり、悲しみ。でもやるんだよ!な熱いエネルギー。

https://youtu.be/kOnde5c7OG8?si=s80Mb9x0nDsVGeK_



先週、ロリポップ・ソニック観たのいつだっけ?と調べた手帳には「天皇崩御」「ベルリン 天使の詩」とか「夢の遊眠社」「イッセー尾形」「広告批評のイベント」(昨夜BSフジに出てた浅田彰さん見たのも1989年だった)「岡崎京子の『PINK』」などのほか、第三エロチカ、転位21、ラジカル・ガジベリビンバ・システム…などと書いてあった。いま見返すと観劇を中心に毎日が楽しそう!充実してんな~って思う(これ大事な気づきだ)紛れもなく、現代を生きている、と思ってた。


ポストモダンが俺のモダン
(1986年、二十歳)

それで昨夜、改めて第三舞台の戯曲を読んでみるかと書庫から引っ張りだすと…ギョッとした。毒舌の連続だった。これ今できるの?(ついでに学生演劇界の現在ってどうなってるんだろう?気になった)


ブス、当時も笑えなかった

1986年、みんな爆笑してた。雰囲気?同調圧力?ではない。笑った(そこは鴻上さんで。だけどつかこうへいが元ネタだっけね)建前やタブー、抑圧がそれだけ強かったのか?インターネットがなかったから?グローバル資本主義に乗れてない?阪神大震災と地下鉄サリン事件、オウム真理教…これら以前のことだから?(今だと笑えそうにないと思う。試しに観てみるか?)

こんなことすら忘れてたけど、逆に言えばやはり活字として固定されている。ことも含めて考える必要がある(のか不適切でOK! が寧ろ来る?のか)



ロリポップ・ソニックのライブが観れた1989年、もひとつ忘れられない漫画と出会った。

『神の悪フザケ』山田花子

イジメのやり方かと思った。最初。


イジメられっ子こんなデフォルメできる?



ヤンマガですよ!


講談社からのメジャーデビュー♪



『ガロ』には載せてもらえなかったって
(根本敬さんが紹介しても)



「見え過ぎちゃう地獄」
&
「どう思われるか地獄」


わたしが生きづらいのは「便座の裏側を磨いていない」からだと教えてくれ、死んでいった山田花子さん。一生忘れることはない。

そんな山田花子さんが影響を受け、手紙を書き、尊敬していたのが根本敬さんなのであって。「いじめ」という言葉がなかった時代の理不尽な暴力を自分なりに追ってくなかで、わたしの助けになってくれたのは「悪趣味・鬼畜系」という言葉がなかった時代の『ガロ』(特殊漫画)だったりすることを思い出したり、も、した。

「2021年夏の出来事は、大枠ではインフォデミックと言うべき、誤情報の途方もない拡散の帰結だった。そこに至る過程に関し、小山田本人がいくばくかの責任を負うべきことは確かだ。けれども、学校時代に彼が実際にやったことの程度を見定め、1990年代の発言の文脈を理解し、21世紀に匿名掲示板発の偏向的・歪曲的な正義がそのまま全国紙の正義となるに至った経緯を跡づけるなら、今日の彼は不当に過ぎる重荷を担わされていると言うほかない」
(片岡大右『小山田圭吾の「いじめ」は いかにつくられたか』集英社新書 P244  より引用)


何度でも読もう。買おう!

吉田豪さんによる『BUBKA』のインタビューを読み、自分が見たこと聞いたこと、読んだことなどを思い出しつつそれを書いてみたりして、やはり問題の大部分は、ネットミームからのエコーチェンバー、フィルターバブル、インフォデミック等…にあると思い、久しぶりに片岡大右さんの本を開いてみると、1年前にも感嘆した第5章「匿名掲示板の正義が全国紙の正義になるまで」に、改めて驚嘆した。

「わたしの疑問」が克明に調べられ、的確に分析されている上に、そもそも良い人であるかそうでもないか…といった、なんていうか人による人物(人格)評価みたいなこともこの問題を複雑にしてると思うんだけども(良く言い過ぎればそうでもないよ、悪く言い過ぎればそんなことはない! などとと定まらないような。そこで知り合いでもないのにって言われたら終わりだけども)1年前も特筆部分だとは思ったけど、「三木清における人間の研究」にふれた「6.『中間的存在』と『首をかしげたような感じ』P232 」を置いていることの意味と効果?が改めて知れた(この本自体がそうだが、この章、特別な価値のある資料だ。今後の社会のために! )

知り合いでもないのにって本当にそうで、でもわたしはよく言うんですけれど、岡目八目っていうか、弱い紐帯の強さ…もそうだし、そもそも評論なんてそうじゃんね。素人だから笑われたっていいんだ。

前回、個人的な経験をもとに「わからないやつ、話の通じないやつには何も言いたくない主義?」とか小山田さんとも取れる言いかたをしてしまったけど。仮に、仮にです。そうだとしても(ある時から)今は「音楽を聴いて欲しい。他は特に言うこともない」という心境なんだろう(もちろん全部、想像ですよ~)

オリンピック・パラリンピック、あまりにデカい仕事だったけど、本人からしたら「裏方」のつもりだったんじゃないかなぁ(って声明文にも書いてあったわ)

小山田さんの声明文、本当に素晴らしいわ。
その全てを「額面どおり」読む。信じて、読む、必要がある(最初はそこまで読めてなかったかも、わたし)

95~96年の頃、わたしも『BUBKA』(初期の、ね)や『GON!』とか面白がって買ってたりしたけど、ある日妻がこれイヤ~って嫌悪感を示して(恥ずかしくなって)それ以来止めた、ってことを思い出した。

卑近なようでスミマセンだけど、そういうことでもある、と思う。

小山田圭吾さんは昔とまったく変わっていない。でもその言い方は、誤解をまねく、迷惑な、失礼な、取扱注意な書き言葉だった。小山田圭吾さんは、大きく変わっていた。

それを変わっていない、に感じさせてくれた吉田豪さんの凄さも、改めて思いました。
(ありがとうございました)


声明文が重なる✨




当時は誰も予想できないが…



本人が誰より想像してたかも?


失語症?みたいなこの頃のことを思えば…



………………





アナザー桐島。



おまけ。


動物は嘘をつかないから(のやつを貼る)
人も本当は猫🐱だったんじゃないかなあ。


『熊谷守一の猫』より


今回も、ありがとうございました。
寒さが戻ってます。
どうかご自愛ください。



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