[すこし詩的なものとして]0026 ゆらめき
皿に乗ったケーキ
たばこにマッチ
たてる物音が僕の心をチクッと刺す
僕の中にいる君が、ケーキを食べた
それを愛おしく眺めながら
僕はたばこに火をつけた
「あなたはどこまでコントーロールできるの?」
「たぶんそれは無理だ」
君はケーキを食べながら、僕の心に寄り添った。
めくるめく日差し
僕は堕ちそうだ
「大丈夫。
あなたと一緒に歩いてあげる」
めくるめく夕暮れ
僕は堕ちてゆく
皿に乗ったケーキは半分くらいになっていた
僕はまた、たばこを取り出して火をつけた
「さて行こうか
あの世界には痛みがいるんだよ」
僕の心の痛みは
コントロールがままならない
「大丈夫だから」
君がいてくれるなら
めくるめくこの世界
僕は素直に堕ちてゆける
茶色のケーキは皿からなくなっていた
たばことマッチはテーブルに置かれたままに
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たぶん僕の心には、自分とは違う何かが住んでいる。
それはきっと何もしない。何もしてこない。
ただあらゆる言葉で、ゆっくりとゆっくりと見えない道へ導いていく。
甘いケーキが好きな君。
くゆらせるたばこが好きな僕。
世界には、大きな穴が空いている。
ひょいと飛び越えるには大きすぎる。
だから多くの人はその穴に落ちてしまうのだ。
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