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すこし詩的なものとして

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言葉を書き留めていきます。
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#詩的散文

[すこし詩的なものとして]0095 行き先なんて誰も知らない

感情を押し殺すことにだいぶ慣れてしまった いいんだ 別に言いたいことなんて実はなかったり …

ケンヨウ
2年前
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[すこし詩的なものとして]0094 遠くで聞こえる

妙に静かで 木の床をコツコツと鳴らしながら 人がひとりひとり吸い込まれていく 吐息と咳払い…

ケンヨウ
2年前
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[すこし詩的なものとして]0077 時は風のようにはこびゆく

鼻をやさしくつつむ香り 人の心のなつかしさを ふんわりと ほこりの残像とともに 巡らせる な…

ケンヨウ
2年前
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[すこし詩的なものとして]0076 弱いと思った

自分は弱いと思った それはいつものことだった ただただ自分が弱いのだと 四六時中思っていた …

ケンヨウ
2年前
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[すこし詩的なものとして]0070 あまりに甘くそれ故に

それはそれは とてもなめらかで ゆるやかなその表面 ぼくは舌を走らせる ほんのりあたたかく …

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0069 運命は必然を意味しない

鳥は空を駆け巡り 獣は野を走り去る 魚は海を回遊し 日は空を横断する 目は偶然に 耳にささや…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0068 男と女とそれとあれ

それはそれは ごく単純なこと あなたが男であり あなたは女である ありがとう どういたしまして なんてつまらないことを言う そんなことみんな知っている 先生ならもっとまともなことを言ってみろ 頭蓋骨が積み重なる その静かな森の中 このしゃれこうべは 女なの 男なの 肉を失えば 骨だけだ そこに男女の意味があるのかい 先生どうなんだい 私はあなたの手を取る そこにあるのは小さな心のタネだ 男だろうと 女だろうと どれだけもがいていたって 握り返す手は いつだって燃えた

[すこし詩的なものとして]0067 あなたの証

神さまは みんなに消えない 刻印を押された いたい あつい さむい うるさい もう明日を生き…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0066 寧日ある日常

なんもない なんにもない日々 それはそれで 歩みは遅く 雲を霞と 誰彼おらず 暁光迫る 月の…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0065 移ろいは季節の起因として

なにを目で追っているのだろう 自分の感情に 確かな いぶかしさを感じる それは季節のせい そ…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0064 その矛先

後ろ姿 束ねた髪 遅れて耳にかかるひと櫛 青味がほのかに帯びた頬 物静かに 生命の存在を 軽…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0063 通りの向こうの影—mirror

冷たい風が頬を刺す 肩をすぼめて 街道沿いを歩く 二車線の車道を挟んだ 対岸の歩道 同じ方向…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0062 通りの向こうの影

うつむく横顔 偶然に見つけた 通りを挟んだ 君の顔 並行して歩く どこか物悲しく どこか不安…

ケンヨウ
3年前
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[すこし詩的なものとして]0061 風にまじる雨

ここは知ってる街 僕が育った街 雨が多くて 曇りがちで でもあたたかな日差しが心地いい なんの変化もない 緩急もない 平和といえばそれまでの 広い世界の片隅の ちいさな ちいさな この営み 時は夕暮れ 空が閉まるこの時間 風と雲が 何かを知らせるように 僕らの目の前にやってくる ここの空は広大だ こんな土地の こんな街なんて 大きな目の中の 埃にもならない よくある偶然だ 何の根拠もない よくある偶然だ 何の根拠もない 風に雨がまじってきた ここは知っている街