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歴史を再勉強したら江戸時代が普通に暗黒だった

近年、YOUTUBEなどで江戸時代を礼賛、再評価する風潮がありますが、中公文庫「日本の歴史」で再勉強したら普通に暗黒時代でした。
もちろん平和だったり、町人文化が華開いたりといった一面もありますが、社会としては相当に理不尽だったようです。
特に僕が気になったのが、奉公人への処遇です。
江戸時代では奉公とは労働のことなので、奉公人は労働者という意味になります。
以下「日本の歴史16 元禄時代」p144<奉公人の悲しみ>より抜粋。

貞享三年(1686)水戸家の家臣豊田五郎三郎とその草履取り織平がいました。
織平は主人である五郎三郎を殺し、その母も傷つけたそうです。
その結果、織平はもちろん父、母、兄妹、甥、姪が獄門(首を斬ってさらす刑)に処されたそうです。
時代的に織平の死刑はまあしゃーないとして、両親、兄妹、さらに親戚まで殺すとかありえんでしょう。
また、上州の百姓九郎兵衛が妻を奉公に出すと、奉公先の主人に手をつけられ妊娠してしまいました。
九郎兵衛は幕府に訴えますが、幕府からの回答は「妻を奉公(この場合出稼ぎ)に出すお前(九郎兵衛)に甲斐性がないのが悪いんじゃね?」というものだったそうです。
なお、当時の法律では、

  • 長男(主人、惣領)なら夫のある奉公人とやってもおk

  • 次男と未婚の奉公人なら共に身分降格

  • 次男が夫のある奉公人と不義を働いたら双方斬首

だったそうです。
これも理不尽極まりない法律です。
こうした、労働者は主人(店長、社長)のモノという風習、気風は残念ながら現代まで引き継がれていますね……
江戸時代からの習慣なのでなかなか変えられないのでしょう。

このように、江戸時代っていい面も悪い面もあるので、どっちもちゃんと勉強しておかないと変な懐古趣味に走ったり、思想的に偏ってきそうなのでよくないと思いました。
改めて思うに、歴史を勉強したければちゃんと学者が書いたものを読むべきですね。
YOUTUBEだとどうしても再生数稼ぎに面白おかしくしたり、特定層の受けを狙って過剰に「江戸時代は素晴らしかった」と持ち上げたり、情報が偏ってしまう傾向があるので。
その点学者は身も蓋もない人達ですから、いいことも悪いことも淡々と教えてくれます。
その分ロマンが消えたり、嫌な情報が入ってくることもありますが、僕はその方が自分のためになっていると感じます。

八幡謙介の小説

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