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「ガス燈」レビュー

公式動画

監督

ジョージ・キューカー

キャスト

シャルル・ボワイエ
イングリッド・バーグマン
ジョゼフ・コットン

感想

心理的虐待の手法「ガスライティング」の語源となった映画。

「ガスライティング」を調べているので映画も観ておこうと思って初見視聴。
モラハラを題材にした映画かと思いきや、普通にサスペンス映画だった。
さすがに戦前にモラハラという概念はないか…

古い映画は名作とはいえ期待はずれなことが多いのでつまんなかったら途中でやめようと思って見始めたらのめり込んでしまった。

イタリア音楽留学中にグレゴリーと出会い恋に落ちたポーラは、叔母を殺人事件で亡くしている。
グレゴリーはそんなポーラとの結婚をなぜか急ぐ。
無事結婚にこぎつけた二人は、空き家となった叔母の家で生活を始める。
ここまではちょっと冗長で不安になるが、ここから先は展開も速く、サクサクとドラマが進む。
二人の生活が始まるまでは我慢しよう。

さて、新婚生活が始まると同時に、グレゴリーのいわゆる「ガスライティング」開始。
ポーラにプレゼントしたブローチをわざと自分から隠したり、壁にかけてあった絵をわざと外してそれらをポーラのせいにする、メイドに対し嫌な女だと印象付けるなどなど、冷酷な心理的虐待で妻の正気を奪っていく。
最初は明るく天真爛漫だったポーラがだんだんげっそりしていき我を失っていく姿と、氷のように冷酷な目で彼女を追い詰めていくグレゴリーの演技は見物で、現代の映画ではなかなか観られない代物。
今の役者に同じことやらせても画がもたず、結果演出やらなんやらでごてごてしたうるさい作品になるのだろう。

まあそれ以外のところ、場面転換やアクションが少なかったり、ゆるゆるのサスペンスとかラストの妙なあっさり感、説明的な終わり方などは古くさいが、久々に「映画を観た」と感じられた作品。
「ガスライティング」に興味がなくても十分楽しめる名作だった。

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