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Vol.12 日本の会社は生産効率が悪くて何が悪いのだ

日本の会社は生産効率が悪いと言われます。これは本当です。
でも悪いことなのでしょうか。
もちろん悪い側面もあります。
でも良い面もあるのです。

コロナ渦でこんなニュースが話題になりました。

大打撃を受けているJALやANAが、それでも社員をリストラせず、出向先を探し回っている、という話です。

これに対して、海外はいたってドライです。

シルク・ドゥ・ソレイユの破産、劇団員解雇。
でも、コロナが落ち着いたらすぐに再建を開始しています。

米ディズニーも3万2千人を解雇。
経営状態が良い企業であっても、本当にドライです。

日本のやり方が、うまくいっているかどうかは正直分かりません。また中小企業など、ドライにならざるを得ない会社も多くあったと思います。

でも個々の話をしたいのではなくて、多くの日本の会社は、罪のない社員を簡単に解雇することには抵抗があるということを言いたいのです。
会社で働いてくれた人に敬意を示し、再就職のサポートが行き届いている会社も多いと思います。
他にも、昔と比べると福利厚生はかなり効率化されていますが、それでも結構充実している会社が多いのではないでしょうか。

そうです。「こんなこと」をしていたら、生産効率が悪くて当然なのです。
一方で、みなさんは、生産効率を上げるために「こんなこと」を削って欲しいと思いますか?

私は古い日本の会社と、外資っぽい会社の両方を経験しています。(正確には同じ会社なのですが、経営方針がガラッと変わったのです。)
前者には、社員を守る制度がたくさんありました。リストラもありましたが、今思えば、社員の幸せをかなり考慮して行われていました。

一方、後者には社員を守る制度はほとんどありません。リストラも非常にドライです。そういう会社に実際に身を置いてみると、日々、何かに怯える感覚が生まれます。周りが敵に見えてしまうこともあります。

日本の会社って、とても優しいと心底思いました。
それに甘えるから危機感がなくてダメなんだ、という人がいますが、それ以上に、やはり連帯感が日本人の力の根源だと強く実感しました。

そもそも、いつ解雇されるか分からない危機感なんて必要なんでしょうか。
何の力になるのでしょうか。
そんな危機感から生まれるモチベーションが、本当に欲しい力でしょうか。

やはり日本は組織力です。
もちろん、生産効率が上がる余地はまだまだありますが、むやみに上げる必要はないのです。
今の組織をベースに、モチベーションを最大化する方法を探る方が、よっぽど生産的です。
実際、世界に名を馳せる日本企業の多くは、そういう会社だと思います。


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