GOD SAVES THE わーるど


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気づいたら11月も半分を過ぎて、アルバイト先ではクリスマスソングが流れ始めた。とても寂しい気持ちになる。今年の一年は本当にクソだったね。日本全体が、世界全体が、クソだったよね。沢山の人が死んで、沢山の人が怒って、沢山の人が引きこもって、でも、全く引きこもらない人も居て。

世界って永遠に一つにはならねーなと改めて思った。それぞれの「自分勝手」が何億何十億と重なって、不協和音の中に無理やりに和音を見出すことが、結局の所、世界の全てなのだ。

銀杏BOYZの新譜「ねえみんな大好きだよ」に心を揺さぶられたのが今年の10月の末。音楽の力を感じた。その時まで、僕は腐っていた。ライブできなくて、人ともあんまり会えなくて、ケツが痛くて入院して。本当に頭がおかしくなっていた。でも、「ねえみんな大好きだよ」を聞いて、ようやく前に進む勇気が持てた。

「ねえみんな大好きだよ」を聴いた事をきっかけに、音楽に絶望して、ずっと手に付けられずにいた、僕自身の新曲「らぶみいてんだぁ」のレコーディング作業もしっかりと動かせるようになった。「らぶみいてんだぁ」、最高な曲だよ。パンクスで、ポップスで、オルタナティブで。歌詞はセンチメンタルで情けなくて、でもその格好悪いが格好良くて。正直、めっちゃめちゃ銀杏BOYZみたいな新曲だ。ヨシダくん、影響受けすぎー。ファンの人達から怒られないことを祈る。

新譜の中で、「GOD SAVES THE わーるど 全ての事が起こりますように(GOD SAVES THE わーるど より引用)」と、ミネタは歌っていた。GOD SAVES THE わーるどは、元々、「あなたを殺して 僕もすぐ行くよ ごめんね」という無理心中の曲だったが、コロナ禍を受けて歌いたいことが変わって、歌詞もアレンジもガラッと変えたらしい。

本当に素晴らしい曲だ。「願いをかけて 呪いを解いて GOD SAVES THE わーるど」と曲は終わる。うん、僕も世界からこの呪いが早く解けることを祈っている。今が呪いの中なら、呪いが解けたらきっと僕らは前よりも肩が軽くなる。シャイで童貞で孤独な僕も、呪いが解けたら、女の子にだってもっと気軽に会えるかもしれない。いや、女の子との距離感は相変わらずのままか。…こんなことを書きたい訳ではなかったのだが。えと、なんだっけ?


そして、新譜に心を奪われた結果、2017年の、銀杏BOYZ武道館ライブのライブDVD「デイドリーム 祈り」を半ば衝動的に買ってしまった。ライブに行きたい。ライブがしたい。でも、ライブが出来ない。酒が飲めない時に、ノンアルコールビールを買うのと同じように、僕の抑えきれない衝動には代替品が必要だったのだ。

やってらんねー今週の金曜の夜。オンライン授業の課題は明日やればいい。胸がずっと苦しいから、無理になるよりはマシだ。パソコンにDVDを差し込んで、座り心地の悪い椅子に座って、まだちょっとだけ手術跡が痛い気もして、氷結ストロングをタンブラーに流して、ヘッドフォンの音量はアホみたいにデカくして、難聴になるんじゃねぇか、まあ、死ぬよりはマシだと思いながら、銀杏BOYZのライブを観た。

…そして、見終わった。

泣いた。泣いてしまった。僕は音楽を聴いて泣くことは、実はそこまで多くない。銀杏BOYZは、それだけ僕にとって特別なのだ。峯田は自分の情けなさを感じている気がした。自分以外のオリジナルメンバー全員に辞められて。一回りも若いサポートメンバーとステージに立って。明らかに老けたのに、しょぱなから鼻水垂らして歌ったりして。

でも、演奏も、立ち姿もこれはこれで、最高なんだよなー!だってandymoriのリズム隊と2のギターとシガベッツのギターがサポートメンバーなんだよ。みんな僕の青春のバンド。今のメンバーの銀杏BOYZは、僕にとってはレアルマドリードよりも銀河系集団だ。銀河なのか銀杏なのか。一体何なのか、分からなくなってきたが。とにかく最高。「色々あったけど、この一年は一番楽しかった!」と峯田はハニカンでいた。峯田が楽しいなら何でも良いじゃん。俺らは心で叫んでついていくだけだ。

特典映像に、当日のライブを観に来たファンへのインタビューがある。俺みたいな人ばっかりだった。ダサくて、熱くて、早口で。それを見て、また泣いた。「死なないで、生きていてよかったす」と笑うファン。本当に辛い事が沢山あったんだろうな。でも本当にライブが楽しかったんだろうな。音楽は僕らにとって生きる意味なんだ。不要不急じゃない。必要不可欠なんだ。

2022年3月。社会人になる春。僕はライブをやります。2020年の今の時点でそれを決めています。正確に言うと、今年の夏から決めていました。コロナが終息してなかったら、配信でも一人でもライブをやる。そこで僕は、音楽への未練を成仏させる。最悪その次の日からは音楽への思いが死んでもいいと思っている。銀杏BOYZのライブDVDは、その時のバイブルになる。間違いなく。その日までは頑張って生きたいね。理不尽の中でもね。


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