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好きな食べもの

一番好きな食べものってなんだろう。

ちょっと果てしなくて、一生答えなんて出せなさそう。

けど、自分が何が好きなのか、どういうものに惹かれるのかをちゃんと把握しておきたい。そう思って、ただただ超自己満足に「好きな食べもの」を棚卸ししてみようと思った。

「で?」って感じだと思いますが、心優しい暇な人はぜひどうぞ。文章というより、ただのメモ書きですが。誰の得にもならない、けど自分の人生をたぶんちょっとだけ豊かにしてくれそうな、好きな食べものの棚卸し。

今ぼくはガーナという国にいる。マイソウルフードインガーナはレッドレッドだけど、たぶん一番好きなガーナ料理はフフ。みんなでワイワイお餅つきして、もちもちでぷるぷるでふわふわなフフを真っ赤なシチューと一緒に手でかき込んでると、心も身体もおいしくなる。けど毎日ガーナ料理ばかり食べてるとすぐにお腹を壊しちゃう。ここの食事はだいたい辛くて、だいたい脂っこい。ゆるゆるな肛門を引き締めている時ほど、日本に帰ってヘルシーでおいしいものをたらふく食べたいなと思うことはない。

日本に帰ってきて最初に食べたくなるのは、生牡蠣、いくらごはん、ラーメン、寿司、天丼、梅干し、とかそのあたり。ただ、海外にいると日本で食べたい物を無限に妄想しちゃうけど、いざ帰ってくると案外すぐにその欲は減っていっちゃう。だからこそ帰国後1発目の、まだ日本食欲がうずうずしてる状態での食事の価値は計り知れない。はず。それなのに、最初の大事な大事な食事を、成田で思考停止にコンビニ寄ったり、機内食で中途半端に日本食食べたり、なんとなく済ませて最高のフードチャンスを逃しがちな気がする。成田に日本食欲を最高に満たしてくれる料理屋さんができて欲しい。

話を戻すと、やっぱり一番好きな食べものと言われて真っ先に思い浮かぶ有力候補はラーメンな気がする。『鬼金棒』みたいながっつり辛味噌系や唐揚げドーンな拝骨担々麺も大好きだけど、日本帰ってきて一番に食べたいのはやっぱり醤油ラーメン。綺麗で繊細なビブグルマン系醤油ラーメンもいいけど、『青島食堂』みたいな無骨な中華そばがやっぱり好き。油多め塩味強めで、シンプルなのにパンチが効いていて。どこか懐かしい。あー早く食べたい。ちなみに日本に帰国するたび必ず訪れるようにしてるのは、この『鬼金棒』と『青島食堂』と、あと『二郎』のひばりヶ丘店。今さら味は言うまでもないけど、店主の吉田さんがほんと優しくて大好き。

これまでの関根史で特に印象的だったラーメン体験は『長崎屋』。三重の真っ暗闇の田んぼ道にぽつんと灯る赤提灯。屋台の中ではラーメン一筋60年の大将が麺茹でしてる。人生談義を聞きながら食べる500円の醤油ラーメンには、大将のあれやこれやが詰まってる。寒い日にあれほど沁みる食べものがあるだろうか。「東京で悪さでもしたら長崎にいる家族の人生を狂わせちまう。家族のことをいつでも忘れないように、長崎屋って名前にしたんだ。おれは130歳まで長崎屋を続けるつもりだよ。」世界で一番エモいラーメン屋さんは、三重の田んぼ道にあります。

赤提灯は総じて好き。繁華街にある赤提灯というよりも、田舎に訪れた時に夜道をぽつんと照らしてくれてる赤提灯が大好物。

旅先でふらっと入った何気ないバーやスナックで、年配の名物店主みたいな方が切り盛りしてる雰囲気が好き。その雰囲気の中で周りの声に聞き耳立てながら、1人でカウンターでちびちび飲むのが好き。もう2度と来ることはないかもしれないけど、もしもまたこの土地にやってきたら必ず寄ってみようと思えるようなお店に出会えるとテンション上がる。

カップラーメンならやっぱり中本が好き。麺食べ終わったら、コンビニでもやしとサトウのごはん追購入して、中本もやし雑炊にしちゃうのも好き。中本はこれまでたくさんの旅を彩ってくれた恩人でもある。

癖やこだわり強めな店主さんのお話をただただ聞くのも好き。それを聞いて真っ先に思い浮かべるのは『さいめ』さん。店主の嶋田さんがただただ土器について、食や人の歴史について、語ってくれる。人類の、地球の、原点に戻ったような食体験があそこにはあって。ありのままであり、初体験でもあり。世界中を見渡しても、おそらくあそこでしか味わえない、食材の景色そのままを運んでくれる土器料理。

ラーメンと並ぶ一番好きな食べもの有力候補は、たぶん無難にお寿司になる。回転寿司ならハマチやヒカリモノばっかり食べちゃう。極々たまにはカウンターの高級鮨にも行きたいけど、一番好きなお寿司屋さんの系統は、海沿い県で地元に愛されてる、そこまで高くない大衆鮨って感じの個人店。地魚系は総じてテンション上がるし、あとはトロタクがメニューにあったら絶対頼んじゃう。トロたく専門スタンドいつか開きたいくらいトロたくが好き。

コンビニなら『ミニストップ』が好き。総合点は低いけど、エックスフライポテトとレジ中スイーツとフローズンヨーグルトが他を押し上げ過ぎている。フローズンヨーグルトは、マイベストコンビニアイス3の一角に座るほど好き。ちなみに他の2名は、雪見だいふくとカルピスのチューチュー吸うやつ。コンビニアイスの進化は著しいし、もっとおいしいアイスはいっぱいあるけど、いまだにこの3つが最高に好き。ミニストップの次に好きなのはやっぱりセブン。夜に田舎ドライブしてる時に明かりが見えてきて一番テンションあがるのは間違いなくセブン。

焼肉食べ放題はもうさすがに全く惹かれなくなった。高級焼肉よりも、めちゃくちゃうまいと評判の老舗大衆焼肉屋さんが断然好き。秩父の『高砂ホルモン』みたいなところがほんとドンピシャで好み。七輪でちびちび肉を焼くのが好き。胃がもたれやすいからカルビは2枚で充分だけど、マルチョウはなぜだかいっぱい食べれちゃう。お洒落に部位プレートが立てかけられてるよりも、煙もくもくの中でアルミのお皿いっぱいに並べられたお肉たちをジュージュー焼く方が好き。西成の立ち食いホルモンみたいのもすごく好き。昼から飲むおっちゃんに囲まれながら食べるホルモンは超うまい。てか西成みたいなところが好き。大阪に行ったら絶対西成は寄っちゃうし、西成に土日に行ったら絶対『おでん深川』に寄っちゃう。真冬にブルブルしながらぐつぐつの大鍋に入ってる具材を指差して、おばちゃんに注いでもらう。心も身体もぽかぽかになって最高。

昔ながらの大衆酒場でしっぽり飲むのも好きだし、個性的なモダン酒場でメニューを楽しむのも好き。けど量産型の小綺麗なお店で飲み放題とか頼むのは好きじゃない。

クラシックなフレンチコースとかはしんどくなってきたけど、軽めで新しい出会いだらけのコースは楽しくて好き。けどそういうのもたまにでいい。1年に数回行ければもう大満足。コース料理よりも、良い空気感のビストロで好きなものをちょっとずつ頼む方が好き。自家製生ハムとかあったら絶対頼んじゃう。しっかり熟成されてる生ハムが大好きすぎる。だから生ハムうまい国を旅するのが好き。イタリアとかのスーパーのお肉コーナーで好きな生ハム選んで、切りたての生ハムを肴にホステルの端っこでウイスキーちびちび飲むのが好き。

都内に好きなビストロはたくさんあるけど、やっぱりビストロは家の近くで気軽に寄れるかどうかがかなり大事。銭湯とかサウナみたいに。それでいうと、越谷の『uetro』さんが大好き。シャルキュトリーに力入れてて、めちゃくちゃ好み。自家製鴨生ハムとかほんとうまい。

とはいえ、最近は洋食よりも、優しくてじんわりおいしい和な食事がどんどん好みになってきてる。お漬物、白いご飯、おかゆ、梅干し、薬膳鍋、しゃけ、うどん、セリ鍋、旅館の朝ごはんみたいな食事をいつも求めてる。地元のおばあちゃんが作る手料理がほんと好き。なんであんなに美味しいおむすびを作れるんだろう。

おむすびの具なら、梅干しか鮭かツナマヨが好き。鮭は地元の魚屋さん『有明水産』で買ってくる塩鮭がめちゃくちゃ好き。秋田のぼだっこみたいなやつ。一生ごはん食べてられる。

食感のアクセントというか、ついでみたいな部分がめちゃくちゃ好き。おこげや餃子の羽が市民権を得てるように、アメリカンドッグの付け根のカリカリの部分とか、コーンスープの表面で固まってる膜の部分とか、コーラフロートのバニラとコーラの境目のしゃりしゃり部分とか。そういう部分が好き。

蒟蒻畑とか、駄菓子屋のスティックゼリーとか、総じてゼリーを冷凍させて食べるのが好き。たまに食べる冷凍プリンも好き。いろんな人の「自分にとっての一番おいしい食べ方」シリーズ見てみたい。

クレープは『マリオンクレープ』が一番好き。小学生の頃しょっちゅうダイエー越谷の地下のクレープ屋に通ってたな。全品250円セールとかやってても、結局元から安いチョコバナナクレープが一番好きだから選んじゃって、ちょっと損した気分になる。惣菜系クレープもけっこう好き。ツナチーズとかグラタンとか、めちゃくちゃうまい。高校の時もダイエー志木のマリオンクレープはよく行ったな。

ソーセージが好き。皮パリッがやっぱり好きだけど、粗挽きで肉肉しいのも好き。ソーセージうまい国でソーセージ屋さん入るのほんとテンション上がる。ビストロで自家製ソーセージとかあっても、絶対頼んじゃう。昔家庭科の授業で見た血のソーセージへの憧れが強くて、ドイツでご本人と対面した時には胸からこみ上げてくるものがあった。フランスのブーダンノワールではなくて、ドイツの断面綺麗なアレが好き。

ビールはギネスが好き。暑い時はライトなのをジャジャーと流し込みたい時もあるけど、基本ギネスがメニューにあったらギネス頼んじゃう。たぶんアイルランドでの思い出補正なんだろうな。僕の好きな食べものは思い出補正ばかり。それでいうとカニクリームコロッケも小さい頃からずっと大好き。

チャーハンは、パラパラよりしっとりが好き。

長野県伊那市のざざ虫とか、伝統的に食べられてる地域の食卓的なものが大好き。将来もずっと残って欲しい食文化が日本にはたくさんあって日本が好き。けど後継問題が各所で発生してて心配。

初めての味覚を恐る恐る口にする瞬間が好き。旅先で見たことのない料理を試す瞬間はいつだって心踊る。東南アジアで謎の醬を味見させてもらうのが好き。タイの山奥で大量のツムギアリに噛まれて激痛ながらもむさぼり食べた蟻たちの味の多様性はたぶん一生忘れられない。世界で初めてコオロギ醤油を作った時の一口目の味見もたぶん一生忘れられない。

ここ数年、炭酸水ばっかり飲んでる。お酒は弱いし最近はできるだけ控えてる、ソフトドリンクは一杯で十分、水だと物足りない時ある、カフェインもあんまりとりたくない。そんな時に炭酸水は喉越しも良くて、料理の邪魔しなくて、いくらでも飲めて、全てを満たしてくれるからほんとベストな存在。大好き。

生牡蠣とかホタルイカとかは単一食材でもうますぎて、チート食材感あって好き。いくらでも食べられる。

技術や情報の革命のおかげで世界中ほとんどどこにいたっていろんなおいしいに出会うことができるこの時代において、その土地にわざわざ行かなきゃ食べられない食体験はテンションが上がる。好き。

最高品賞とか、品評会でどうこうとかまじで興味ない。コースでそういうのを説明されてもふーんってなる。周りのお客さんがうんちく語ってたり、グレードどうこうとか好きそうなお金持ちばっかりだとちょっと萎える。そういうお客さんに刺さりそうな情報をすごい説明されて、周りのお客さんがへ~そうだよね~みたいな雰囲気あんまり好きじゃない。

だからといって情報が嫌いなわけでは全くない。食材の魅力とか、新しいワクワクする情報とかを、愛を込めて話してくれるのはめちゃくちゃ好き。たぶん権威性みたいなものが話の中にちらっと見え隠れすると萎えちゃうんだと思う。そしてその権威性みたいなものが好きな客席の中に自分もいるって感じちゃうと萎えちゃうんだと思う。ただ、そうなりがちな場自体は面白くて魅力的な場所であることが多いから、たまには行きたい。そこでしか見れない景色もあるし。

あと、こだわりとかを愛を込めて話してくれる系のお店に関しても、最近はたまにでいいかなと思ってきてる。こだわりやストーリーのお話を聞きながら、素敵なこだわりや初めての美味しさに出会うのも大好きだけど、そればっかりだと疲れちゃう。時々そういう食事が、しんどくて、億劫になる。ただシンプルに美味いものを楽しみたい気分になることが最近は増えてきた。

情報どうこうより、シンプルでいいんだよって言って、ほっこり美味しいのが1番好き。

良くも悪くも食に精通した人が集まると素直に感想言いづらくなるのは好きじゃない。だから「おいしい!」以外の言葉をなるべく発したくないし、安易な美味しさだろうと何にでも「おいしい!」って言いたい。(安易な美味しさって書いたけど、この表現は嫌い。簡単で美味しいって企業努力の塊だし、素晴らしく賞賛されるべきことだと思う。)

だから、ただただおいしいを共有できる餃子とか唐揚げとかそういう料理が根本的に好き。からあげはお上品なものより、香辛料がっつり味濃いめで、誰もがシンプルに「うま!」と共有しやすいのが好き。小さい頃から父親が作る唐揚げが好きだった。餃子だったら圧倒的に『ホワイト餃子』が好き。これも完全に思い出補正だけど、小さい頃から餃子といったら基本的にホワイト餃子しか食べてこなかったから、いまだに餃子=ホワイト餃子。まあ餃子とか唐揚げは、どこでなに食べても基本的に「うま!」ってなるから最高。

どこにでもありそうな量産型のお店での飲み会に数千円使うのが1番嫌い。ランチも同じく、どこでも食べれるものに1000円使っちゃうのがほんと嫌い。それだったら極限まで安く済ませるか(それでもおいしい日本はほんとすごい)、値段ちょっと高くても個性あるお店行きたい。ディープなお店が好き。古臭いお店が好き。最先端のお店も好き。こだわりを感じるお店が好き。

キャンプで食べる飯が好き。キャンプは断然冬キャンプが好き。冬に凍えながら、みんなで焚き火を囲んで食べる汁物がたまらなく好き。誰が作っても、何を入れても、世界最高峰のおいしいが出来上がるからすごい。

野外で自ら生き物を捕まえて(捕まえてもらって含む)、それを食らうのが好き。ジビエとか野草もそうだし、イナゴも良い。群馬県中之条で毎年開かれるイナゴ採りの世界大会『イナゴンピック』にはみんな参加したほうがいい。堀口会長が作るイナゴピザは絶品。

『サイゼリヤ』がめちゃくちゃ好き。世界中にできてほしい。サイゼで学生の頃みたいにダラダラ食べるのも好きだし、アミューズから一品ずつ頼んでフルコースやるのも好き。カスタマイズしてオリジナル料理開発するのも好き。サイゼは世界最高のイタリアンだと思ってるけど、他にも好きな外国料理はいっぱい。インドのカリフラワーカレー。タイのヤムパップン。シンガポールの肉骨茶。Café du Mondeのベニエ。ジャマイカのジャークポーク。キリがないので割愛するけど、世界で一番好きなのはたぶんタイ料理。世界で一番好きな国もたぶんタイ。

あんまりおいしくない料理も好き。小学校の時の給食ラーメンとか、たまにすごく懐かしくなる。あれ好きだったし、今めちゃくちゃ食べたい。給食でいうと、わかめご飯もめちゃくちゃ好きだった。もう一生出会えない味なのかもしれないなあ。そう考えると小学校の給食って、誰しもの思い出の中にあって、けど今食べようと思っても難しくて、なかなかな価値を感じる。誰か最高の給食レストラン作って欲しい。

好きな食べものって果てしなさすぎてそろそろ疲れてきたので、まだまだ無限に出てきそうだけど、この辺で一旦やめておこう。

書いていて、矛盾だらけだなと思ったけど、好きなものや瞬間に自覚的になることはけっこう大事かもなとも思った。

また気が向いたら続きを書いてみよう。


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