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2025大阪関西万博へ。 「34日間世界一周」

1. 前書き

①Design Future Society for Our Lives




いのち輝く未来社会のデザイン
”Design Future Society for Our Lives”



この言葉、聞いたことありますか。


これ、2025年に向けた、すごく大事なキーワードなんです。



てか

そもそもみなさん。

2025年に何があるか知ってますか。




五年に一度、世界中からたくさんの人が集まる祭典。

人類共通の課題の解決策を提示する祭典。

大阪在住の人はよく目にするかも知れない、あの祭典。


そうです。

来たる2025年に、WORLD EXPO(万国博覧会)が開催されるんです。

いわゆる万博。

2020年に開催予定の DUBAI EXPOの次の万博です。


万博は、新しい技術や商品が生まれ、生活が便利になるきっかけ。エレベーター、電話、電気自動車、動く歩道、AEDなど、過去の万博でも様々な新しい技術が生まれてます。

さらに21世紀以降の万博は、人類共通の課題の解決策を世界に提示する場でもあるんです。2005年の愛・地球博で、環境負荷の少ない技術を世界に提唱したことは、まだ記憶にも残ってるかと。


そんな万博ですが、

今、2025年の開催地を3つの都市で競ってるんです。


その3つの都市というのが、


アゼルバイジャンバクー

ロシアエカテリンブルグ


そして、日本大阪です。


もしも開催都市が大阪に決まれば、2005年の愛・地球博以来、20年ぶりの日本開催に。

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そして、


この大阪万博が世界に掲げるテーマこそが、

冒頭に出てきた


いのち輝く未来社会のデザイン
”Design Future Society for Our Lives”


なんです。


これは、持続可能な社会・経済システムのもと、一人一人がポテンシャルを発揮できる生き方、心身ともに健康に生きれる社会、をデザインするということで、

国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)が達成される社会を目指してるんです。


そしてそのために、大阪万博を、


”未来社会の実験場”


つまり、

 ”人類共通の課題解決に向け、世界80億人が意見を交換し、世界中の先端技術などを集め、新たなアイデアを創造・発信するような場所” 

にしようとしてるんです。



これが、今日本が目指している2025年大阪万博の姿。





で、


なんで僕がこんな話をしてるのかというと、


今、大阪万博誘致のために、いろいろな人たちがいろいろな所で頑張っていて、

その誘致活動の一環で、僕(ともう一人)が世界各国を回ることになったからです。


未来社会の実験場を作るために、実際に世界各国の現場を訪ねて、SDGsとその先にある課題の種と解決のヒントを集める。また実際に現在進行形で課題解決に挑んでいる仲間を見つけに行く。”


そんな旅をすることになったからです。



②なぜ旅をするのか


個人的にも、これまでの経験から、SGDsの達成に(特に食に関係する部分で)関心が高かった為、この度、このプロジェクトにjoinすることにしました。

これまでの経験というのは、いくつかあって、、


<アイルランドの農園のお話1>

以前アイルランドにある農園で生活した際、傷んだり古くなった野菜をぽいぽい捨てまくっている現状を目にしました。もちろん自分たちでその野菜を食べたりもするけれど、食べられる量なんてたかが知れてる。

そこで、野菜や果物を乾燥させてドライフルーツ、ドライベジタブルとして出荷すればいいのではと提案したところ、ぼくの意見が採用されて実際に廃棄食材が減って、美味しいが増えたんです(もともとドライアップルは作られていて、乾燥させる野菜や果物の種類を増やしただけですが)。

これはちっちゃな成功体験の1つになってるし、もっとたくさんの生産現場を見て回って、現場ごとの様々な課題を見て解決策を考えてみたい。そう思いました。

<アイルランドの農園のお話2>

農園生活の中では、毎日仲良く?追いかけっこをしていたガチョウを、クリスマスに向けて何十匹も屠殺し捌くという経験もしました。

その中で、普段の食卓に並ぶ食べ物ってこういう過程を経てるんだ、という気持ちを強烈な実感を伴って学べたんです。やっぱりネットで情報を得るのと現場を見るのとでは、学びの深さが全然違うなと感じました。

ただ、僕がそこで得た学びなんて、食卓に並ぶ食べ物たちのまだほんの一部でしかないので、世界中の食に関わるもっといろいろな過程を見て学びたい。そう思いました。

<レストランのお話>

レストランの中でも、美食を求めるあまり、お肉や野菜の一番美味しい部分だけを料理に使いそれ以外の部分を捨てたり、まだまだ食べられる残飯を捨てたりする光景を見てきました。

しかも、悪気がないどころか、良かれとしてそれをやっているんです。毎日毎秒時間に追われているレストランでは、結局捨てるのが一番楽なんです。

廃棄された食材は、僕が個人的に持ち帰ったりもしていたけれど、根本的な解決には全くなっていなかった。だからこそ、世界各地で実際に課題を解決している人たちに会って、知恵を教えてもらいたい。そう思いました。

<エチオピアのコーヒー農園のお話>

「a film about coffee」という映画を見てコーヒー生産者に興味を持ち、実際にエチオピアのコーヒー農園を訪れたことがあるのですが、その際農園のスタッフから、労働者の貧しさや生活実態などを直接伺う機会がありました。

僕らが東京で一杯500円で飲んでるスペシャリティコーヒーだが、農園労働者には、1キロあたり50円ほど、一杯あたり0.7円ほどしかペイされていないらしい。その為、生産農家の方々は貧困層となっており、子供を学校にすら行かせられない現状なのだとか。

それまでもアンフェアなトレードに関する知識が多少はあったが、実際に話を聞くことで「彼らも僕らと同じように家族がいて友達がいて人生を楽しんでいる」という当たり前の事実を改めて実感し、彼らを身近に感じ、この課題を解決したいという思いが強くなりました。だからそのヒントを探しに各地で活動している人に会いたい。そう思いました。



こういった経験から、大阪万博が目指すビジョンに共感し、運よく旅をさせてもらえる機会に恵まれたので、誘致プロジェクトにjoinすることになりました。

世界中の課題をこの目で見に行くのが、世界中で実際に活動している人たちに会いに行くのが、今からとっても楽しみです。


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2. 世界の現場から


①カンボジア(Battambang)

この旅最初の目的地は、カンボジア第二の都市バッタンバン。

シェムリアップからバッタンバンへはバスで向かったのですが、その休憩ポイントでいきなりのこれ。

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コオロギと芋虫のランチ。
あまりにもスムーズに昆虫食が出てきて、着いて早々東南アジア感が一気に強まる。


余談ですが、最近ぼくは周りの友人たちの影響で、あまりにも当たり前に、普通に美味しい食材として、昆虫食に慣れきっています。

が、一歩引いて今回の旅のテーマから捉えてみても、昆虫食は本当に魅力溢れるジャンルだと思います。

身近だからこそ ”探して捕まえて殺して食べる”という一連の流れを楽しさの中で学ぶことができ、その経験は食べ残しをしないことにも繋がるかもしれない。健康面でも、高たんぱく質低脂質という理想的な食材。

また国連食糧農業機関(FAO)も、世界的な人口増加や中流層の増加によって予期される食糧難の時代において、家畜よりも飼料効率の高い昆虫食に注目しているそうです。温室効果ガスの発生量も、家畜に比べ圧倒的に少ないらしいですし。

ということで、美味しくて魅力いっぱいの昆虫食。
少しでも興味がある人は、ぜひ地球少年のコオロギラーメンを食べてみてください!




ランチを終え無事バッタンバンに着き、僕たちはKNK(国境なき子供達)という施設を訪れました。

ここは、貧困家庭出身や犯罪を犯してしまった青少年、ストリートチルドレンたちが住む施設で、教育や職業訓練を受けたり、街で収入を得るための商品を作ったりしています。

KNKでは、小さな子供達と遊んだり、若者とサッカーやバレーボールで本気で競い合ったり、一緒に商品作りをしたり(この日は可愛いうさぎのキーホルダー作り。みなさんプロフェッショナルでした。)、

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一日中一緒に過ごさせてもらいました。


特に印象的だったのは、みんなでお話しした時間。
社会課題の実際の当事者たちと話し、リアルな悩みをたくさん聞くことができました。

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中でも多かった話が、ドラッグや賭博によって貧困が増えている。そして貧困による教育、医療の格差問題。

カンボジアでは、酒やたばこ、ドラッグに関する法律がなく、マーケットに行けば子供でも簡単に手にいれられる為、若くして中毒になってしまう人が多いとのこと。
ドラッグ代を求めて盗みをしてしまう子供もいるし、親がドラッグ代を得るために子供に物乞いさせたり盗みをさせたりというケースもかなり多い。同様にカジノ代を子供に稼がせるケースも。

さらに酒やドラッグで気が狂ったり、カジノで負けた不満解消の為だったりで、子供への暴力に繋がる家庭も多い。そういった中で学校をドロップアウトせざるを得ない人が後を絶たないのです。
実際に彼女たちの周りにも、それで学校を辞めた人が何人もいるらしい。

またカンボジアでは、お金持ちの生徒は学校や教師にお金やギフトを渡すことで良い教育を受けられ、お金のない人は授業のレベル、教師の質が著しく低いとのこと。この教育格差によって貧困もどんどん加速していく。
同様にお金を持っていない人は病院で治療してもらうことすらできない。どこの病院も前払いを要求してくる為、どんなに大怪我して緊急治療が必要な場合でも、お金を持っていないと治療を受けられないのです。
今回話している中にも、実際にお母さんが事故で大怪我したのに医者が対応してくれず、怪我の翌日に亡くなってしまったという子がいました。

こういう話を聞くと、やはりKNKのようなフリースクールやフリーホスピタルは偉大だなと感じます。確かに被害者のうちのほんのわずかな数しか助けられていないけれど、それでも今日出会った20人くらいの若者は確実に救われてるわけだし。


これ以外にも、彼女たちの様々なリアルな悩みを伺いました。

ただ、みんなの今の姿を見ていると、不思議と、深刻そうな顔なんて一切していないんです。
とっても生き生きしてるし、笑顔が絶えないし、とにかく楽しそうなんです。

ストリートチルドレンというと”途上国に多くいる、貧しくて物乞いをしたりする子供達。かわいそう。助けてあげたい気持ちもある。けどちょっと怖い。けどやっぱかわいそう。” といった感情を抱いて、実際にお金を渡す人もいれば渡さない人もいるし、お金以外の体験をあげたり、人それぞれの対応をしていると思います。
けどそのだいたいにおいて、”自分たちよりかわいそうで不幸せな、遠い存在”(悪気があるとかではなく)っていう認識がどこかにあると思っていて、リアルに彼らに会ったことのない人は特にその認識が強いんじゃないでしょうか。

けど実際に一日中一緒に過ごしてみると、ほんっとうに日本の女子高生たちとなんら変わりないんですよね。
確かに深刻な経験をしてきてることは事実だけど、冗談言い合ってみんな笑顔絶えないし、見た目にも気を使ってるし、恋してる人もいるし、将来のことを真剣に考えてるし、スポーツ始めたらガチになるし。
僕らと何にも変わらない若者なんだっていう当たり前のことを改めて感じさせられました。
だからこそ、彼らを身近に感じ、彼らの苦労を同じ若者として実感し、どうにかしたいなと。



そんな中で、実際にビジネスとして孤児の自立支援をしている取り組みが同じバッタンバンにありました。

それがHOCというカフェレストラン。

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Hope Of Children(ノリア孤児院)の略で、親を亡くしたり、人身売買から保護された子供たちが、自分たちで耕した田んぼや畑でできた安全・安心の農作物を料理して提供していて、
なんと、店の経営自体も子供達に任せられているのです。

つまり、経営者は子供たち!
子供たちが自分たちの手で、このカフェを経営し、運営しているのです。

子供たちに「料理」のスキル、さらには「経営者」としてのマネジメントスキルをつける、新たな自立支援チャレンジ。

最近カンボジアでは農作物に農薬がかなり使用されているようなので、
安心できる食材を使用した料理を食べられるという意味でも非常に貴重なお店です。

そんな魅力溢れるHOCだったのですが、
実はスケジュールの都合上伺うことができなかったんです、、。


ですので、詳しくはこちらをご覧ください。



今度カンボジアを訪れる時には、確実に行ってみたいと思います。


②タイ(Bangkok)

カンボジアを後にし、次に向かったのはお隣タイ王国。

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5年ぶりの訪問でしたが、バンコクの街は前回よりも遥かに活気があって、街中からエネルギーが溢れ出ていました。

宿に着くと、国際平和について研究をしているインドの若者と同じ部屋になり、いろいろとお話することに。
彼は「みんな自分の国のことを知らなすぎる。自国の外交や歴史を勉強しないとまた同じ過ちを繰り返す。」と主張し、勉強の為みんなで深夜3時くらいまで沖縄戦の映画を観ました。


そして次の日。
僕たちは、タイの東大と言われているマヒドン大学のヘルスケア分野の研究室へ。

こちらの研究室では、人々の健康寿命を伸ばすために子供の頃からヘルスケア意識を高めるべきとの考えのもと、子供達の食事改革をしています。

具体的には、タイの小学校や病院、その他様々な施設と協力して、一回の食事で摂取する野菜とフルーツの量を増やす活動で、

シェフ考案の野菜たっぷりで美味しい給食メニューを作ったり、食べ残しをした子供にモニタリングして原因を解消したり、野菜やフルーツの重要性の授業をしたり、いろいろな取り組みをしていました。


個人的に印象的だったのは、タイの子供達の野菜果物不足がどんどん深刻化しているというお話。

タイ料理といえば、ソムタムやグリーンカレーなど、野菜や果物がたくさん入っていてヘルシー!栄養満点!という勝手なイメージがありました。

しかし実際のところ、タイの人たちはチキンライスに申し訳程度に添えてあるきゅうりや、焼きそばにお気持ち程度に加えられてる小松菜くらいしか野菜を食べず、栄養不足は深刻とのこと。

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そもそも、「野菜は野菜」「料理は料理」と分けて考える人が多く、野菜を調理して料理に投入するという発想があまりないらしい。

また最近だと、都市部の子供達が安いお菓子ばかり食べていることも栄養不足に繋がっているんだとか。

だからこそ、栄養不足を解消するために、美味しさや食べやすさを変えずに(むしろさらに美味しくして)、野菜とフルーツを進んで食べる習慣作りを促進しているのです。


また健康面の話でいうと、タイの小学校では体育の授業が極めて少ないことも問題視していました。近年学力重視の意識が強く、体育の授業は週に2時間だけとのこと。
さらに学校が終わった後も、最近は外で遊ぶ子供は少なく、みんな家の中でゲームをしたりユーチューブを見たりしてるんだとか。

この問題は是非ともチャンバラだったりかくれんぼだったりで楽しく解決してもらいたいなあと、ふと思いました。

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とにかく、これからは野菜と果物をこれまで以上にたくさん摂取していこうと思います。

マヒドン大学の皆さん、ありがとうございました!


③トルコ(Istanbul)

続いて向かったのは、
アジアとヨーロッパが交差する国、トルコ。

トルコに入ってまず驚いたのが、スカーフを巻いている女性があまりいなし、ヨーロッパのように街中でキスしているカップルが多いということ。

あれ、ここってイスラム国家じゃなかったっけ?


実はトルコ、人口の9割以上がイスラム教徒でありながら、世俗国家として政治のみならず公の場にイスラムがかかわることを禁じているんだとか。

またトルコ国内には、カッパドキアなどキリスト教ゆかりの神聖な場所が数多く残されており、まさにここは西欧文化と調和している国なのです。


しかし一方で、イスラム教のコーラン世俗主義の矛盾に挟まれている国民の中には、葛藤を抱いている人がいるのも事実です。

例えば、イスラム教ではビールなどの飲酒は禁じられていますが、トルコでは自由に売買することが可能です。

また女性は夫以外の男性に肌を見せないようにする為にスカーフで顔を覆わなければなりませんが、トルコでは大学など公の場でこれを着用することは禁止されています。

そして、こうしたトルコの矛盾が近年表面化してきているのです。


というのも、直近の大統領選でも再選したエルドアン大統領が、アルコール販売の規制を打ち出すなどイスラム色を強めていて、

しかし逆に世俗派国民が大統領に不信感を募らせ、反政府デモが度々行われていたりするのです。


イスラム圏でアラブの春が騒がれていた中で中道的なモデルとされてきたトルコですが、ここにきて問題が顕在化してきているということです。


果たしてこの先トルコはどこに向かうのか。


そんな中、ちょうど僕らが泊まっていた宿の近くにイスラーム研究センターという施設があったので、お邪魔することに。

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こちらの施設は、トルコ随一の規模を誇るイスラムの研究機関であり、一般開放の学問的集会なども定期的に開催しているとのこと。

規制の影響で施設を丁寧に見て回ることはできなかったが、休憩中の研究員や学生とお話しすることに成功。

話を聞くと、多くの人が問題視していたのは宗教というよりも、シリア難民についてでした。

というのも、現在トルコには350 万人を超えるシリア難民がおり、トルコ政府が運営する難民キャンプの定員をはるかに超えています。そのため9 割以上の難民がキャンプの外で生活をしているのです。またトルコ政府は医療や教育などの公共サービスも無料で受けられるようにしているけれど、あまりに多い難民の数に対してサービスの提供が追いついていません。
さらにこれらのサービスは均一性が高く、現実的に難民が抱える多様な課題には対応できていないのです。

実際に彼らの周りのシリア難民も、継続的な仕事を得られておらず、子供を学校に行かせる代わりに働かせざるを得ない人がたくさんいるらしい。

難民の数があまりにも多いため、一人一人の状況に応じた支援をする為には多くの民間の人たちが協力しなければならなず、話を聞いた中にも実際に周りの難民の就活協力をしている人などがいました。

しかし一方で、シリア難民を歓迎していない人が多くいたのも事実。
むしろ今回話を聞いた中だとこちらの意見の方が断然多かったです。

というのも、一部のシリア人の生活態度が悪く、多くのトルコ人から不満の声が上がっているのです。


「街中や電車内で騒ぎ散らしてるのはほとんどシリア人だ。トルコ人は温厚なのにあいつらはうるさいし喧嘩っ早い。早く出て行ってくれ。」

「貧しいトルコ人がたくさんいるのに、政府はシリア人にばかりお金出してサービス提供してる。まずは自国民を助けてくれ。」

「俺らは税金払ってるけどシリア人は何も支払わず、ただ酒飲んで遊んでるだけだ。王様気分みたいでイライラする。」


といった声を繰り返し聞きました。

確かにこれらの難民への不満は理解できるし、うまく管理する必要があると思います。

ただ個人的には、やっぱり態度が悪いのは一部の人であって、大部分は本当に困っている人たちなので、多くのトルコ人に難民を助けてあげる意識を持ってもらいたいなと感じました。もっと寛容で優しい世界になってほしいなあ。

実際に態度が悪いシリア人がどれくらいいて、どれくらいトルコ人が不快に感じているのか表面的な部分しか見れていないし、自分が具体的に何か難民支援をしているわけでもないので、無責任な意見ですが。


そしてこの問題は日本も無関係な話ではないはずです。

2017年の日本への難民申請数は約2万人。一方、難民認定されたのはたった20人。地理的な面などあり数字で単純比較してもしょうがないですが、少なくとも日本は先進国の中でもトップレベルに難民承認のハードルが高い国です。

もちろん安全保障の為だったり、虚偽申請抑制の為だったり、ハードルを高くする理由もたくさんあります。

ですがそのせいで本当に保護を受けたい人を見捨ててしまっているのも事実です。

もっと国際社会における当事者意識を持って、寛容な社会になるべきだと僕は感じました。



またもう一つ、観光地ならではの社会問題がトルコにはあります。


それはぼったくり

バーなどでお酒を飲んで、いざ会計。
伝票を見てみると、驚きの数字が書いてある。あれです。

ぼったくりの横行は国のイメージを下げ、観光客を減らすことにも繋がりかねない社会問題だと思います。
そしてトルコでは、外国人観光客を狙ったぼったくりが毎日至る所で行われているのです。

Googleで「トルコ ぼったくり」で検索してみるだけでも、かなりの数の被害情報があります。
中には、「トルコにはもう二度と来ない!」と書いている人もいました。


恥ずかしながら、僕たちもまさにこの社会問題の被害者となってしまったのです。

始まりはインタビュー。

街中でたくさんの人からお話を聞いていた中で、あるスペイン人と仲良くなりました。彼の名前はアルバーロ。建築系のエンジニアで、今は仕事でイスタンブールに滞在中とのこと。
話しているうちに仲良くなり、今日はサタデーナイトだし一緒に飲みに行こうよ!となり、仲良くバーに行ったんです。

バーでは30分ほどかけてビールを二杯飲みました。
ただ横に女性が座ってきたりでなんとなく怪しいなあと思ったので、そろそろお店を変えようと話し、会計をお願いしました。

そして伝票を見ると、、、10万円?!?!!!

あ、やっぱりやられた。って感じです。

横を見ると、アルバーロは当たり前のように自分のお金を払っている。

アルバーロはグルでした。


ただ僕らも素直にお金を支払った訳ではなく、
その後出てきたガタイの良い強面お兄さんと戦ったりしながら、最終的には二人で2000円くらいの支払いだけして運良く全速力で走って逃げ切ることができました。

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結果的に、ぼったくりという社会問題が誰の身にも起こる身近なものだということを、実体験をもって感じることができました。

ただ今回は最小被害で済んだけれど、運が悪ければ命の危険もあるし、ぼったくりは本当に悪質なものです。

一人一人が被害に遭わないよう意識し、簡単にぼったくりができないような環境になれば、加害者側も減っていくと思います。

皆さんも注意してくださいね!


④エジプト(Cairo)

お次の国は、エジプト。

アラブの春から約8年。
エジプトにおける革命の中心地となったタハリール広場のすぐ近くに、アラブ地域のスタートアップ企業のオフィスが集まるハブがありました。

その名は、「The GrEEK Campus」

元々大学のキャンパスだった広大な敷地に100社以上のテック企業が入居し、起業家と投資家が交流するイベントスペースとしても開放されています。

キャンパス内は、カイロの街中の雑踏とクラクションの喧騒とは別世界。緑も多く、落ち着いた若者が多い印象でした。

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ノンアポで伺った為あちこち彷徨っていると、「RISE UP(ライザップ)」という、なんだかポップな会社が気になったので突撃訪問してみました。

ここは、まさに「The GrEEK Campus」の中心となっている会社で、スタートアップを支援するなど、エコシステム形成における重要な役割を果たしています。

話を聞くと、アラブの春以降の急激なインフレの中を生きてきた今の若い世代は、今あるいわゆる安定した職に就いても将来貧しくなると考えており、だからこそ何かクリエイティブで斬新なことをやっていかなくてはならないと、起業家精神に目覚めている人が多いんだとか。

さらにエジプトでは30歳未満の人口が全体の3分の2を占めているほど若者が多く、彼らは才能にあふれているとのこと。

RISE UPは、そんな若者たちの潜在能力を引き出してあげているのです。

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話している途中で警備員に追い出されそうになったので、最後に、今エジプトで注目しているスタートアップについて質問してみると、いくつか面白そうな会社を紹介してもらうことができました。ありがとうございました。



ということで、

キャンパスを後にし、紹介してもらった会社の一つ、「Reform-Studio」に行ってまいりました。


こちらは、街中に溢れているプラスチックのゴミ袋を集めて、お洒落なバッグや椅子などの製品にアップサイクルしている会社。

エジプトでは店で貰ったゴミ袋を不要になったら道端に捨てる人が後を絶たず、その処理が社会問題になっています。
熱くなったプラスチックから発生する煙が健康に悪影響だったり、道端で動物が食べてしまったり、土に埋まって土壌が汚染されたり、海に流れてしまったり、様々な問題があったのです。

そこで、この問題を解決し、かつ魅力的なものを作ろうと、大学を卒業したばかりの2人のエジプト人女性がこの会社を始めたのです。


Reform-Studioでは、ゴミ袋を回収して殺菌し、そこから糸のようなものを作って、それを織機で織り製品を作っているのですが、

この際も、クラフトマンの雇用、伝統へのリスペクト、美意識、などの理由から100%ハンドメイドにこだわっているとのこと。

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実際にいろいろな商品を見させてもらいましたが、どれもお洒落なものばかりでした。

また社長とお話ししている中で、「ゴミ袋なんてちょっと物を入れるだけのもの。それを捨てるのはとっても簡単だし、気軽に無意識にやってしまう人が多いのが事実。けどそのほんの少しの無意識の積み重ねで、とんでもなく大きなインパクトに繋がってしまうの。だから最終的にはゴミ袋自体を無くすのが目標よ。」という言葉があり、とても印象に残りました。


今回Reform-Studioを訪問してみて、個人的にアップサイクルという考え方がすごく好きだなと感じました。

廃棄物を単に再利用(リサイクル)するのではなく、デザインの力などで新しい素材やより良い製品に変換して価値を高めるアップサイクル。
なんかかっこよくないですか。いらないものをイケてるものにするって、なんていうかすごくしっくりくるんですよね。いずれゴミなんて概念がなくなって、世の中にあるもの全てに価値を見出せるのかなって。なんかワクワクします。QBハウスで、「500円追加いただければ自分の切った髪の毛を美味しい醤油にいたします。それでは次回来店時にお渡ししますね。」とか。いつかありそうですよね。
そして、「廃棄物どうこう以前に、シンプルにイケてるから欲しい。」というのが一番社会を良くするなあ、と改めて思いました。

そして別れ際にはなんと僕らにプレゼントまでくれて、もう感謝しかなかったです。

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Hend社長、本当にありがとうございました!


⑤ウガンダ(Kampala)


5カ国目は、ウガンダ。
いよいよ、いわゆるアフリカに入ってまいりました。

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常に大渋滞の、砂埃と排気ガスで煙たい赤土の道。
異国を感じさせてくれるこの喧騒が、逆に心地よくなってきました。


ウガンダでの目的地は、洗剤や石鹸などで有名な日本の化学メーカー「SARAYA」
日本で初めて手洗い石鹸液を開発した会社です。あの緑の液体石鹸です。

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2011年にウガンダに現地法人を設立したサラヤは、この国の衛生問題を解決する為、これまでに様々なプロジェクトを実施しています。

例えば、

100万人の手洗いプロジェクト

 → ”世界では一日約16,000人もの5歳未満の子供が命を失い、その原因の多くは予防可能な病気です。石鹸を使って正しく手を洗うことで下痢性疾患や肺炎を予防し、100万人もの子供達の命が守られると言われています。そこで、サラヤの衛生商品の売り上げの1%をユニセフ手洗い促進活動に充てているのです。”(リンクHP引用)

病院で手の消毒100%プロジェクト

 → ”「100万人の手洗いプロジェクト」の活動を続ける中、村での手洗いの普及活動だけでなく、劣悪な状態にある医療機関の衛生環境も改善したいと考えるようになりました。病院内での病気の感染を防げば、乳幼児死亡率や妊産婦死亡率をもっと下げることができるのです。そこで、アルコール手指消毒剤を現地生産し、医療従事者に普及させていくことを目指すビジネスを始めました。現地の人々の雇用も生み出しながら、いずれは東アフリカ全域へ広げていくつもりです。”(リンクHP引用)


などなど。

他にも、南スーダンからの難民が暮らす世界最大の難民キャンプ場で手洗いのワークショップをしていたり、健康食品を導入し始めていたり、砂糖工場の廃棄物を使ってアルコール消毒剤を作っていたりと、社会課題解決に向けた活動のお話をたくさん聞くことができました。


特に印象的だったのは、「病院で手の消毒100%プロジェクト」のお話。

実はこのプロジェクトが始まる前に、 WHOからアルコール消毒剤をアフリカに普及させる為、各国の医療品メーカー(日本からはサラヤ)に協力して取り組んでもらうよう依頼が来ていたとのこと。
けれどいわば世界中の競合メーカーが集まって話し合いをしていた為、どこも利益を考えたり相手の出方を伺ったりで全然話が進まなかったのです。
そんな時に、「誰もやらないなら私たちがやろう。なんなら会社を作ってしまおう。」と手を挙げたのがサラヤだったのです。

男気あるなあ。

普及活動を進めていく中で、乳幼児死亡に繋がる様々な感染症がほぼ0に近づいたというお話も聞きました。
元々はアフリカで全く浸透していなかった消毒剤の市場。その市場の立ち上げを自らすることで、たくさんの命を助けているサラヤ。

かっこいいなあ。


そんなサラヤ。

実は、最近東アフリカ地域における食品衛生事業への取り組みも開始したんです。

このプロジェクトは、東アフリカに進出している日本の二つの企業(ケニアにある「KAI GLOBAL Limited」と、ウガンダにある「COTS COTS LTD.」)との協働実施。

そしてなんと、サラヤさんのご厚意でこの「COTS COTS LTD.」の方ともお話しする機会をいただくことができました。サラヤさん、本当にありがとうございます。


というわけで次の日、コツコツさんが経営する日本料理店「やま仙」に行って来ました。

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今夏に出来たばかりということもあり、この辺一帯では圧倒的な存在感を放つ立派な施設。

「やま仙」では、コツコツさん自ら作った農作物で、和食ならではの調味料や調理法を用いて、ウガンダの素材のおいしさ、それを生み出す豊かな自然の魅力を発信しています。


そんなコツコツさんが、今回サラヤさんと協働で取り組む事業は大く2つ。

1つ目は、ケニアの漁港からウガンダの首都カンパラまでのフードバリューチェーンの構築。
2つ目が、「やま仙」に衛生加工機器を導入し、安全安心な食品提供のモデルケースの構築。

低温輸送車がほぼ使われていない東アフリカ諸国では、安全なフードバリューチェーンを構築しなければ、内陸国であるウガンダに海産物を新鮮な状態で届けることは出来ません。そこで、食のバリューチェーン全てに関わって、品質を担保しようとしているのです。

また、まだまだ衛生環境の整わないウガンダにおいて食の安全性を高めることは重要な課題です。そこで日本品質のサラヤ製衛生加工機器を「やま仙」に導入し、飲食店が目指すべき安心安全な食品提供のモデルケースを作るということです。
つまりこの点においては、「やま仙」はサラヤの実験場であり、ここを皮切りに衛生加工機器を東アフリカ諸国にどんどん広めていこうとしているのです。

僕自身、途上国に行くとほぼ100%下痢になる身として(もちろん今回もアフリカ地域にいる間は基本下痢気味でした)、またつい最近本格的な食中毒にかかってしまった身としても、これら食品衛生はアフリカ地域においてかなり重要な課題だと痛感しています。
そしてその課題を、他でもない日本の方たちが協力して解決しようとしてくれていることはなんとも誇らしいことです。


とにかく、サラヤさん、コツコツさん、この度は本当にありがとうございました。

今度ウガンダに来た際は、絶対に食べに来ます!



「やま仙」を後にした僕たちは、国内外から食材が輸送されてくるカンパラ最大のマーケットに寄ったりしながら、次の国ルワンダへと向かいました。

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⑥ルワンダ(Kigali,Butare)

ウガンダからルワンダへと国境を越える深夜バス。

みんな寝ようとしてるのに大声で会話する人やラジオを大音量で流す人、インディージョーンズよりも遥かに揺れる車内。
最高に寝ることが不可能な深夜バスに揺られて、無事ルワンダに到着しました。


この国の目的は、コーヒー。

バス徹夜したその足で、ルワンダはブタレにある、「HUYE COFFEE MOUNTAIN」へ。

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実はこちらのコーヒー農園、
先ほど触れた「a film about coffee」の舞台になった場所なんです!


大好きなドキュメンタリー映画の舞台に来れて、着いて早々興奮気味の僕。

こちらで作っているのは、主にアメリカやオーストラリア、ヨーロッパ、そして日本のコーヒー店に輸出しているスペシャリティコーヒー豆で、契約先の名前を聞いたらこだわりのあるコーヒー専門店ばかり。

森の中を歩きながら、彼らが実践している美味しいコーヒーを作るための様々なこだわりを教えていただきました。

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また本格的なコーヒーチェリーの収穫時期は3〜6月ということだったのですが、まだ赤い実がちらほら残っていたので、試しに味見させていただきました。

てか、みなさん。

そもそも、コーヒーはフルーツだって知ってますか。


コーヒーチェリーというのは、コーヒーの木から採れる果実で、サクランボに似ているためコーヒーチェリーと呼ばれています。この果実の種の部分がコーヒー生豆となり、それを焙煎することでいつも見慣れた茶色いコーヒー豆となるのです。

コーヒーはもともとフルーツだからこそ、作り方によってはとってもフルーティーなコーヒーが出来上がるんです。


そんなコーヒーチェリーを、一粒いただいてみました。

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お、

美味しい、、!

種が大きくて可食部は少ないけれど、しっかり甘みがあってけっこう美味しかったです。


その後も生産設備を回りながら、コーヒー豆の発酵や乾燥のこだわりなどを詳しく教えてもらいました。

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「うちはこの乾燥させる段階で、品質に応じてA1〜A3までランク付けして分けているんだ。A1が最高品質で、2、3となるにつれランクは落ちていく。ちなみにスターバックスにはA3を卸してるよ。まあそれでも高品質なのは間違いないけどね。」

といった裏話もあったり。


事務所に戻った後も、美味しいコーヒーを飲みながらいろいろとお話しさせてもらいました。

もともとルワンダでは、コーヒー労働者は他の低賃金の職種の人と比べても特に貧困だったそう。こちらの農園でも以前は同じような状況が続いていたが、数年前から観光客向けにコーヒーツアーを始めたことで、労働者に対して以前の3倍もの賃金を与えられるようになったらしいです。


また、あの美味しいコーヒーチェリーはただ廃棄しているだけなのか、何か有効活用はしていないのか、と質問してみたところ、

彼らは全て無駄なくコーヒーの木を育てるための肥料にしているんだとか。さらに今後は収入経路を増やすためにカスカラティーとしての販売も検討しているとのこと。カスカラティーというのは、コーヒーチェリーの果実と皮の部分を乾燥させたもの(カスカラ)を、お湯で紅茶のように淹れた飲み物のことです。

従来通りにコーヒー豆だけを売るのではなく、カスカラティーなど廃棄物を無くしてさらに収入経路も増やすことが出来たら、生産者の貧困問題などを改善することに繋がると思います。


そういった意味では、日本の徳之島でコーヒー作りに挑んでいる宮出さんの取り組みもとても面白いんです。

宮出珈琲園では、コーヒー豆だけでなく、コーヒーチェリー、コーヒーの葉、コーヒーの花など、”コーヒーの木”を一本丸ごと商品にしているんです。


この取り組みは、世界中のコーヒー農園のモデルケースになり得ると思います。宮出さん、これからも頑張ってください!応援しています!


コーヒー農園のアルイーズも、本当にありがとうございました!



そして、農園の次は、


ジェノサイド

そう。ルワンダは、美味しいコーヒーの国であると同時に、アフリカの奇跡とも呼ばれている国。

現在は高層ビルがいくつも建ち並び、急速な経済成長を遂げている国として注目されているけれど、つい20年前には20世紀最大の悲劇と言われる程の大虐殺が起きてしまった国なのです。

このルワンダ大虐殺では、たったの3ヶ月足らずで、人口の85%を占める多数派のフツ族が少数派のツチ族と穏健派のフツ族を合わせて約100万人も殺害しました。
主に農耕を営む多数派のフツ族と比べ、牧畜を営む少数派のツチ族は税制や教育などの面で優遇されており、長い間フツ族には不満が溜まっていたのです(実はこの民族の区別は、植民地時代に宗主国のベルギーが「ツチ族の方が身長や鼻の高さがヨーロッパ人に近くて優れている」と勝手に分断したもの。ヨーロッパ諸国の自分勝手な支配によってこの悲劇が起きてしまったのです。)。
その不満が、フツ系大統領が何者かに暗殺されたことをきっかけに暴走し、たちまち人々は殺人鬼に変わってしまったのです。

今までずっと一緒にいた友達や隣に住んでいる人が突然殺人鬼になってしまう恐怖。家族が大きなナタでめった刺しになっているのを目の当たりにする恐怖。日本で平和に暮らす僕には計り知れないほどの恐怖が、街中に広がっていたのです。


この悲劇を二度と繰り返さないよう願って作られた、ジェノサイドメモリアルを訪れました。

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こちらでは、虐殺当時の映像や生き残った方のインタビュー映像、亡くなった方のミイラや虐殺に関わる歴史のパネルを見て来ました。

中でも特に印象的だったのは、犠牲者の方々が生前に撮った写真が展示されているコーナー。
虐殺が起こるなんて想像もしていなかった頃の穏やかな日常が垣間見え、みんな僕たちと何も変わらない楽しい日々を送っていたんだなあと認識し、今後いつどこで同じようなことが起こるか分からない危機感のようなものを感じました。

やはり、こういう悲劇を二度と起こさないためにも、正確に情報を判断できる為の教育が何よりも大事だなと改めて思いました。

ルワンダ虐殺のきっかけは、フツ系大統領が殺害されたことでしたが、この犯人が本当にツチ族だったかは定かではなかったのです。
しかし、溜まりに溜まった不満によって、「犯人はツチ族の奴らだ。奴らは薄汚れた汚らしいゴキブリだ。さあ、ゴキブリを駆逐しよう!潰せ!殺せ!ゴキブリどもを皆殺しにしろ!」とフツ族系のラジオが人々を煽り、虐殺が激化してしまったのです。

情報を正しく判断できないと、メディアなどにより感情が刺激されれば大きな悲劇に繋がってしまう危険性があります。さらに今の時代は、あらゆるSNSなどによって身の回りにある情報量はおびただしいです。

全ての情報を正しく判断することは無理なので、情報の重要度を見極め、重要なものだけをきちんと精査していく力をつけていきたいなと思いました。


⑦ブラジル(Sao Paulo)


続いての国は、日本の裏側。
初めての南米。初めてのブラジル。


南米の経済大国でもあり、観光立国のブラジル。
街中を歩いていても発展した光景が広がっており、東京と何ら変わらないようにも思えてきます。

しかし実際は、貧富の差が世界トップクラスに激しい国なんです。
国民の約60%の人たちが、国民平均所得の半分未満の所得しかないと言われているんです。

そして貧富の差が激しいため、至る所にファベーラと呼ばれるスラム街が点在しています。不法居住者の建てた小屋が並んでいるファベーラや、既存の街がスラム化してしまったファベーラが、大都市の郊外には必ずあると言われているんです。

さらに立派な街とファベーラがしばしばすぐ隣り合わせになっているのもブラジルの特徴。先日のオリンピックでも、メインスタジアムのすぐ横にあるファベーラが何度かテレビで紹介されていました。

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"photo by huffingtonpost"

こちらの写真からも、ブラジルの貧富の差が伺えますね。
盛大な花火が打ち上がる立派なスタジアムのすぐ隣に、とってつけたような屋根が密集したファベーラ。同じ国とは思えません。

リオのファヴェーラでは、オリンピック開催の前月に756件の銃撃事件と、50人の犠牲者が出たという情報もありました。



そんなブラジルの現状を、若い人たちはどう思っているのか。

話を聞くため、僕たちはサンパウロ大学を訪れてみることにしました。


キャンパス内で話を聞くと、多くの学生が教育に関して問題意識を持っていました。

「ブラジルはかなりの学歴社会で、大学を出ないと良い職には就けない。けど良い大学に行くためには予備校などに通わなくてはならず、お金持ちじゃないとそれは出来ない。」

「この学校でファベーラ出身の人は見たことない。知り合いの中に、生まれてから一度も学校教育を受けていないファベーラ出身の子がいる。」

「貧困家庭に生まれた子は家族のために働かなければならず、学校に行ってる余裕などない」


などなど。

教育機会が与えられない極度の貧困状態にある15歳以下の子供たちは2250万人にものぼると言われています。そういった子供たちに質の高い教育を受けさせるにはどうすればいいのか。

今回話した学生が、「恵まれた環境で教育を受けてきた私たちが、彼らのために動かなくてはならない。直接彼らを助けるようなプロジェクトをするんでもいいし、ブラジルの経済発展に貢献するんでもいいし。とにかく私たちが頑張らなくてはならない。」と話していたのが印象的でした。

また一部のファベーラでは、実際に様々な取り組みも動き始めてるんです。

今回は諸々の理由で実際にファベーラを訪れることは出来ませんでしたが、次ブラジルに来た時は必ず、上に挙げた取り組みに参加したり、現地で暮らす人々に会っていろいろなお話を聞いてみたいです。



そして夜はサッカーへ。

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ブラジルと言えば、やはりサッカー。
今回観戦した試合は、ブラジルカップのコリンチャンスvsフラメンゴ。

両チームとも強豪ということもあり、試合はかなり白熱した展開に。
ブラジルで最も気性が荒いと言われているコリンチャンスサポーターは、試合中の相手への罵倒やブーイングがハンパじゃありませんでした。想像以上でした。

ただ、ある意味”これぞ熱狂”なのかなとも感じました。
本気で何かに夢中になっている人、本気で誰かを応援している人、本気で勝ちにこだわっている人、そんな人たちそれぞれの熱狂がこの罵倒やブーイングに表れているのかなと。

何かをするのに最も大事なことはまさに”熱狂”だと改めて感じていた最近の僕。彼らの姿勢を見習っていきたいなと思いました。


⑧オランダ(Amsterdam,Haaren)



ぐちゃぐちゃルートになってきましたが、ブラジルの後はついにヨーロッパに突入です。そろそろゴールも見えてきました。

記念すべきヨーロッパ1カ国目は、オランダ。

まず最初に向かったのは、INSTOCKというレストラン。

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ここは、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食材を地域のスーパーやベーカリー、生産者の元から低価格で購入・回収し、調理しているレストランです。

今、ヨーロッパ全土では年間約8800万トンという膨大な量の食料品が廃棄されていて、
「世界中で飢えに苦しんでいるのにこんなに多くの食べ物がゴミとなっている状況を変えたい……」と、オランダの大手スーパーマーケットで働いていた4人が立ち上げたのが始まりとのこと。

形が不揃いだったり傷のある野菜、前日に焼いたパンなど、毎朝市内の契約店から引き取った食材を前に、その日のメニューを考案。
野菜は発酵させて漬け物、またはピュレ状にしてスープにしたり。前日のパンは、風味が増したところを、鉄板で表面を焼くことでカリッとした焼き立て感をプラスさせたり。

Instockではただフードロスの食材を扱うだけでなく、他のレストランで腕を磨いた一流のシェフが調理を担当しているので、通常のレストランでは手が出ないような一流シェフの料理も低価格で食べることができるのです。

そして、いざ実食。

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まずはビール。

うん、ぅんまああ。

やっぱり晴れた日にテラス席で昼間っから飲むビールは最高です。


実は、このビールまでも廃棄食材から作られたビールなんです。

オランダでは、年間34万トンものじゃがいもが廃棄されているらしく、その問題をどうにか解決しようとINSTOCKが自社ブランドとして作り上げたのがこのビール。

ほんのり苦味とスッキリ喉越しで、本当に美味しいビールでした。


続いて出てきたのが、シェフのおまかせランチプレート。

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ビーツのスープやナスのピュレ、クロケット、サーモンソテーなど、全てが廃棄食材から作られた料理たち。

なのにめちゃくちゃ美味い。



フードロスみたいな社会問題をコンセプトにした飲食店やプロジェクトって、けっこう”美味しさ”などが二の次になっていることが少なくないけれど、こちらのお店はしっかり美味しかったです。お店の雰囲気も抜群でした。

やっぱり、”おいしい”とか”イケてる”とか”面白い”が先行しないと人々には響かないし、”大満足の食事をしたら結果的に社会課題解決にちょっぴり繋がった”っていう方が持続的で理想だなあと。

「美味しいは世界を変える」

本気でそう感じました。


また低価格で食材の調達ができるレストラン側だけでなく、スーパーとしても食品廃棄量が減らせ、社会的評価を得ることにも繋がるメリットがあり、廃棄食材を通じてスーパーとレストランのWinWinの関係が誕生したという意味でも持続可能な取り組みです。

今後も世界各地でどんどん広がってほしいなあ。


美味しいお料理、ごちそうさまでした!!



続いて向かったのは、セックスショー。

リベラルな国とよく言われるオランダ。
有名な話だと大麻や売春が合法だったり、世界で初めて同性婚が認められた国だったり。

この国では、”他人がやりたい事や好きな事にこちらは干渉せず、自由にやらせて見守ってあげる”といったマインドが染み付いているのだと聞いたことがあります。

そんな国で特に気になったのがセックスショー。
人が賑わう大通り沿いに堂々と立ち並ぶこちらの建物の中で、そのショーは観れるという。

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セックスショー、、?

え、、セックスを見るの、、、?

どんなものが観れるのかいまいち分からないけれど、こんなの日本では絶対に見られないと思い、好奇心に駆られて中に入ることに。

劇場の中に入ってみると、200席ほどある観客席はほぼ満席状態。
エッチな顔したおっさんばかりなのかと思いきや、大多数はカップルや友達同士で来ている若者で、見た感じ7割以上は女性でした。


そして

たまたま空いていた最前列の席に着いて、最初に目に飛び込んできたのは、素っ裸の男女。

そうです。
このセックスショーは名前の通り、舞台の上で男女がひたすらセックスをするショーだったのです。

一回約7、8分のセックス演目が次から次へと繰り広げられるこちらの劇場。
ポールダンスからセックスへと移行する演出があったり、回転ベッドでノリノリの音楽に合わせてセックスする演出があったり、観客を舞台に立たせて目の前で誘惑する演出があったり、いろんなパターンがあって観てる方も飽きません。

芸術的な体位があると観客は拍手や歓声で盛り上がったり、時折大爆笑を誘う演出があったり、もうこの空間には「エロ」という感情はなく、男と女の交わりの美しさというか、究極のエンターテインメントのようなものがそこにはありました。

日本という国は、性に関する話をし辛い、授業で性教育をすると問題視される、恥ずかしいものだから公の場では隠すべき、といった空気感が強いです。

けれど本来”性”というものは、人々の人生に直結する大事なテーマであり、最も身近なテーマの1つだと思います。

だからこそ、性は私たちにとってすごく身近なものと感じさせてくれるオランダの空気感はとてもしっくりくるし、日本の堅苦しい性に対する認識を僕の中で少し覆すことができました。

なんでもかんでもタブー視する日本にこういった空気感がもっと広がれば、この旅のテーマである持続可能な社会にもある意味で繋がっていく部分がたくさんあるのかなあと、強く思いました。




セックスショーを終え、アムステルダムとはお別れです。
僕たちが次に向かったのは、ハーレンという田舎町。

ここでの目的地は、小学校。
イエナプランという教育法を導入している小学校にお邪魔しました。

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イエナプランとは、ドイツで始まりオランダで広がった、一人一人を尊重しながら自律と共生を学ぶオープンモデルの教育のこと。”自分で考え、共感力を持ち、社会に働きかけ、協働できる市民を育てる” ”幸福な大人を育てる”という理念に基づいた取り組みをしています。


具体的には以下のような特徴があって、

・3学年混合のクラス編成。
・教室をリビングルームと捉え、生徒が内装や環境などを独自に整えていく。
・みんなで円になって話し合うサークル対話を繰り返し行う。
・社会と理科といった教科別の学習をつなぎ、それに基づいて”学ぶことを学ぶ”ために設けられた総合的な学習の時間が尊重される。
・科目ごとの時間割は作らない。基本的に、対話-遊び-仕事(学習)-催しという4つのパターンの活動を循環させる時間割を作る。
・健常児も障害児も共に学ぶ。
・自立学習など、静かに学ぶ場を作る。
・教員の役割は教えることではなく、生徒が自発的に学びたいという意欲を持つための環境づくり。
・教員は何でも知っている存在ではなく、生徒と同じように1つの個性を持った人間であり、自分の個性を自覚し、学び続けなければならない。
・学校職員のチームワークも重要。
・保護者には学校での状況をオープンに伝え、保護者の質問に対して率直に答える態度を重視する。また、教育活動の中に保護者が参加することを勧める。


これらの考え方を中心に、生徒が成長していく環境作りがされているのです。詳しく知りたい方は、こちらをのぞいてみてください。


このイエナプランで育った子供たちと一日中一緒にいたのですが、本当に感心したんです。

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4年生が難しい問題で困っていると6年生がやってきて丁寧に教えてあげてたり、対話の時間になるとうるさいくらいどんどん意見が出てきたり、はたまた自習の時間になるとみんなすごく集中して自分が興味ある事をし始めたり、生徒自ら興味ある分野を選んで授業をオーガナイズしていたり。

子供たち一人一人が、自分がやりたい事・やるべき事をしっかりと判断して、自主的に行動できているという印象を強く持ちました。

また、異なる年齢の子供たちが同じクラスで学んでいるためそれぞれ役割に違いはあるものの、変な上下関係のようなものが無く、みんな対等な人間という空気感があったことも印象に残りました。

こうやって異年齢で一緒に何かに取り組む事が小さい頃から当たり前になれば、日本のような”部活では先輩の方が偉い” ”上司の命令にはなかなか意見できない”といった悪い意味での上下関係は生まれてこないのかなあとも感じました。

同様に、先生と生徒がある意味で対等な関係性を築いていたことにも感心しました。自習の時間には、生徒を見張ったり一切せず、先生自身も他の作業をしているし、生徒に授業のテーマから進行まで全てを任せていたりもするし。

先生は、生徒が興味あることを自主的に学ぶ環境作りをしたら、あとは良い意味で放任しているのかなあと。
お互いへの信頼関係が見え隠れしていました。


そしてなにより、子供たちが可愛すぎました。
またすぐにでも会いに行きたい。。

とにかく、
小学校の皆さん、本当にありがとうございました!


僕たちは、のどかな田園風景を車窓から望みながら、
次の国、ドイツへと向かいました。


⑨ドイツ(Dortmund)


ドイツ西部に広がる重工業が盛んな地域、ルール地方。その主要都市の1つであるドルトムントに到着しました。

この辺りはドイツの中でも特に難民が多いエリアということで、僕たちは、中東などから避難してきた多くの難民が暮らす難民シェルターに行ってきました。

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が、案の定入れませんでした。

が、メルトというトルコ系移民の若者と出会うことができ、移民難民問題について色々なお話を聞くことができました。

彼は普段、移民に対して、ドイツの言語や文化を教えたり、住居探しやビザ取得の手伝いをするなど、移民がドイツで生活する上での手助けをしてあげているとのこと。
また父親が料理人ということで、実際に何度か難民シェルターにもケータリングしに行ってるんだとか。


様々な話をしたのですが、特に印象的だったのは、難民支援を目的としているはずの難民シェルター内で、実は日々悲惨な事件が繰り返し起きているというお話。

難民受け入れ姿勢を強調しているドイツ政府が提供している難民シェルターですが、実情はというと、バラバラの国籍や宗教の人たちを同じ住居にぶち込んでおり、中では異国籍・異宗教同士の喧嘩や殺しあいが頻繁に起きているのです。

メルトの父親が難民シェルターにケータリングしに行った際にも、目の前でアフガニスタン人難民が斧を持って暴れており、それ以来父親はケータリングを辞めてしまったらしい。

ちなみに政府は、こういった事件を一切公表していないとのこと。

これ以外にも、政府は難民受け入れの良い面しか公表していないけれど、実際ドイツ国内では受け入れた難民によって各地で様々な問題が起きているのだという。

もちろんこれはメルトのお話であり、実際にどれくらい頻繁に凶悪事件が起きているのか定かではありませんが、
少なくとも、一言で難民といっても、その中にはいろんな国籍、いろんな宗教、いろんな考え方の人たちがいるのは事実。

それを一括りにして均一的なサービスを提供しても、何かしらの問題が起きてしまうのは明らかです。

限られた予算の中で、どうすればもっと一人一人に合った支援ができるのか。今後も考えなくてはならない課題です。


またメルトによると、つい最近移民がドイツ人をナイフで刺す事件があり、ここのところナチ派の移民排斥運動が激化しているんだとか(この移民が事件を起こしたのは、ナチ派のドイツ人が挑発したのが原因だとメルトは予想している)。
メルトもトルコ系移民なので道端で暴言吐かれたり、ゴミを投げられたりすることがたまにあるらしい。

さらにナチ派が最も多い街が、まさに僕らが今いるドルトムントということで、「日本人も攻撃される可能性はある。危ないぞ。」と何度も念を押されました。


難民移民に関する問題はまだまだ山積みですが、メルトとの話の中にはポジティブになれる意見もありました。

それが「スポーツは人を1つにできる」という言葉。
同じチームを応援している時は、国籍だって宗教だって政治だって関係ないんです。みんなが一致団結するんです。

香川真司の所属するボルジアドルトムントでも、「Refugees Welcome」の横断幕を掲げ、200人以上の難民を試合に招待するなど熱烈歓迎しています。
ドルトムント以外にも難民支援に向けた取り組みをしているチームは多く、ドイツサッカー界が一体となって難民を有効的に迎え入れているのです。

また、Twitter上では欧州言語とアラビア語を混ぜたハッシュタグで「難民を歓迎する」といった言葉で40000ツイート以上つぶやかれているという情報も。

ナチ派を筆頭に、ドイツ国民の中には移民難民を快く思わない人もいるけれど、スポーツを通じて友好の輪が広がっていけば、もしかしたら気持ちも変わっていくのかもしれないですね。

メルト。
当事者だからこそ分かる、リアルな話を聞かせてくれて本当にありがとう!日本に来たらまた遊ぼうね!



メルトと別れた後は、紹介してもらったTafelへと向かいました。

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Tafelというのはドイツ語で「食卓」という意味で、スーパーなどで売れ残った食品を集めたり、寄付を募ったりして、貧しい人々に無料あるいは低価格で食料を供給する、いわゆるフードバンクのこと。
助け合いの精神で運営されてきた草の根の貧困層支援活動です。

ドルトムントのTafelでは、一週間に3€支払えば、日曜日以外は毎日食料を支給してもらうことができます。パンや野菜、果物、お肉と、支給される食料は様々。訪れる人は一週間に4000人を超え、その内の難民の割合は20%ほどとのこと。

こちらのTafelでは訪れる人数に比べ、仕入れられる食料の量が足りなくなってきているという問題があるんだとか。実際僕らが訪れた際も、かなりの大行列ができていました。

これに対しては、Tafelの想いに共感して、提携してくれるスーパーをもっともっと増やしていきたいと、マネージャーの方が語ってくれました。



しかし他の街のTafelでは、もっと深刻な問題が起きているらしいんです。

それがすぐ近くの街、エッセンにあるTafel。
Tafelで食料を受給するには会員登録が必要なのですが、その応募資格をここでは「ドイツ国籍保有者」だけに限ったというのです。


それは何故なのか。

そもそもこのTafelが支援対象にしているのは主に、何らかの理由で満足な年金がもらえないお年寄りや、シングルマザーたち。
ところがここ数年、そこに多くの難民が加わり、彼女たちに援助が困難な状況になってしまったのです。
さらに列に並ぶ習慣のない人たちが押しかけ、内側に人がいるのに開かないドア(まだ時間になっていないから開かない)を突き破ったり、子供を使って勝手に食べ物をとらせたりと、多くのTafelで大混乱が起こりました。
そうこうするうちに、ボランティアで働いていた人が態度の悪い難民たちを怖がりはじめ、それまで食料をもらいに来ていた人たちもTafelを離れていってしまったのです。
そして限界を感じたエッセンのTafel代表が、2018年1月に「混乱が収まるまで、新規加入者はドイツ国籍の所有者に限る」と発表したというわけです。


ところがこの発表をした途端、あちこちから人種差別だとして「ナチめ、ふざけるな!」「くたばれナチ!」といった強い誹謗を受けてしまったのです。

さらにはメルケル首相など政治家からも「難民はシャットアウト。背筋がゾッとする。」と批判されてしまったのです。


しかし、実際のところは、ボランティアの人たちは自分たちの余暇を割いてまで、ここで長年にわたって人助けをしているのです。

政府が難民を受け入れるだけ受け入れて、貧困問題を未解決のままにしている今の状況。Tafelの人たちは、いうなればその後始末をしているわけで、非難されるのはお門違いだと思います。

そしてそう感じた人はやはり多かったようで、案の定、国民のなかから続々とTafelを擁護し、政治批判をする声が上がりはじめたのです。

ですが、未だにこの論争は収束していないのが現実です。



その後もマネージャーと話していると、このすぐ近くに似たような場所があるという情報が。

ドイツ出発までまだ少し時間があったので、その難民向けの服屋さんにも寄ってみました。

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こちらも、要らなくなった服を集めたり、寄付を募ったりして、貧しい難民に売り出す服バンクのようなお店。

ここでも、難民の男性客が女性店員に差別的な発言をするなど、問題がちらほら起きてしまっているらしい。



難民と貧困という2つの大きな問題があるドイツ。

だからこそ、Tafelやこの服屋のような慈善事業が活発になっているのでしょう。しかし、そんな慈善事業の中でも様々な問題が起きてしまっています。

これらの問題は一体どこへ向かうのか。
今後も気にかけ続けたいと思います



⑩フランス(Paris)


ついに、最後の国に入ってしまいました。

この旅のゴール地点、フランスはパリ。


フランスと言えば、食、芸術、ファッションなど、世界に誇る様々な文化を持った国として有名ですよね。

そんなフランスではやはり、文化に根ざしたソーシャルグッドなビジネスがたくさんあるんです。


例えばこちら。

お洒落なパリジェンヌが始めた、ファッション×環境汚染×テクノロジーのビジネス。日本と違ってマスクを着けることに抵抗がある欧米人にとって、このお洒落スカーフ型デバイスはぴったりの商品でしょう。

世界のファッションの中心地であるパリから生まれたというのが、なんとも粋ですね。


あとはこれ。

チーズを作る際の廃棄物から、なんと電気を作ってしまうというこちらの発電所。
原子力発電が全発電量の77%と、世界一原子力発電比率の高いフランス。言わずと知れたチーズ超大国のフランス。そんなフランスでこのビジネスが生まれていることがとっても興味深いです。

食×エネルギーっていう、またなんともフランスらしいアイデアですよね。


他にも面白そうな取り組みはいくつかあったのですが、今回は日程の都合上パリから離れることができず、実際に現地を訪れることはできませんでした。

ということで、パリで何か面白いことはあるかなあと調べていたら、
「BON POUR LE CLIMAT」というNPOがちょうどパリでイベントを開くという情報を見つけました。

このNPOは、気候変動を抑えるために、フランス国内のレストランやカフェにCO2排出量を減らす料理を出すことを勧める活動を行っているとのこと。

「BON POUR LE CLIMAT」の「BON」はフランス語で、”良い”や”美味しい”という意味を持つため、名前の意味は「気候のために良い(美味しい)」ということになります。

またまた食×気候変動だなんて、フランス感が全面に表れていて良いですね。

具体的な取り組みとしては、肉を半分以下の量に減らし、付け合わせの野菜、穀物、豆類を主役にすることを呼びかけたりしてるという。これは肉を作る際には大量の穀物や大豆を家畜に食べさせる必要があり、エネルギーの無駄が多い、という考え方からきています。(それこそ、カンボジアの部分で触れた昆虫食なんかが解決の糸口になりそうですが。)


そんな「BON POUR LE CLIMAT」のイベントに行ってきました。

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色々な関係者が講演会やパネルディスカッションをして、その合間にご飯を囲むというイベントだったのですが、

なんと、

全てのお話がフランス語だったんです。

簡単な日常会話しかできない僕はもちろん理解不能です。


ということで、講演会から得られることは全然なかったのですが、休憩時間に関係者に話を聞きに行ったところ、「次の休憩で面白いおつまみが食べられるから、せっかくなら試していけば?」と教えてもらい、休憩を待つことに。

そして出てきたのがこれ。

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スピルリナ!?

巷で話題になっていたり、海外のセレブリティの間では既におなじみとなっているらしい、いわゆるスーパーフード。

太陽の光をたっぷり浴びて水中で育つ藻の一種で、地球上に出現した最古の植物だと言われているらしいです。

アミノ酸やビタミンなど50種以上の栄養成分が含まれていることはもちろん、たんぱく質の含有率が、肉や卵、大豆製品などの高たんぱくとされる食品よりも高いことが特徴とのこと。

スーパーフードと呼ばれている食材って意外と多いですが、その中でもトップクラスにスーパーな食材らしいです。

最近はスピルリナチョコレートなるものも販売されているらしく、今大注目?の食材なんです。


そんなスピルリナですが、今回はナッツと合わせてペースト状にしたものをいただきました。

うん。

ふつうに美味しい。


未来の食事の可能性を感じた気がしました。



イベントを出た後は、

LGBTの方やユダヤ人のコミュニティとなっているマレ地区を自転車でぶらぶらしたり、何も知らずにいつも通り生ハムを食べ歩いていたらユダヤの方に怒られたり、
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これぞパリという美味しすぎるレストランで人生最高のフルコースぼっち飯に感動したり、


パリらしい時間を楽しみました。




そして、

いよいよ最終日。

最後にして、とっても大事な行事がこの日にあるんです。


それが、大阪万博誘致に向けた日本のフォーラム。

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"photo by BIE"


日本からのメンバーも合流し、万博誘致委員会に混ざって、僕たちも登壇してきました。

僕らの活動もしっかりアピールでき、とても良い場になったのではないかと思います。



そしてフォーラムも無事終わり、全ての旅程が完了。

34日間に渡る旅の幕切れです。


最後の晩餐は、セーヌ川沿いでディナー。

いろんなことがあったけれど、最後にこうして無事パリにやって来れて本当に良かったです。

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とにかく総じて面白い旅でした!

出会った皆さん、ありがとうございました!



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3. 若者たちの声


この旅では、もう1つのプロジェクトとして”世界中の若者たちにインタビューをして、社会課題解決への希望やアイデアを集める。”というものがあって、各国の若者たちに突撃インタビューをしてまわってたんです。

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観光地や大学から薄暗いストリートまで、本当に様々な場所で若者たちのリアルな声を聞いてきました。

集めてきたみんなの声は、こちら「WAKAZO EARTH」にて確認できるようになってます。

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ぜひ地球儀をまわして、
地球の裏側の若者があげている声に耳を傾けてみてください!





と、実はあともう一つ。

旅の中で、大阪万博誘致に向けた経産省のプロモーションビデオ製作にも参加していました。


各国の子供達と一緒に作りあげたムービーです。
是非ご覧ください!


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4. 最後に


ここまで読んでくださった心優しい人たち。

暇な時間をこんな文章に充ててくれて、本当にありがとうございました。


ここまで書いてみて、これ全部合わせて、しかも大部分が移動時間なのに、34日間で周ったということに自分でも驚いております。

そして期間が短かったということもあり、現地の問題や活動の表面的な部分しか観れてないことが多かったのも事実です。もっと長くいたかった場所、もっと深くまで知りたかった場所、行きたいけど行けなかった場所が、たくさんあります。

けれど、そういう場所があるということをこの旅で知れたということが、大きな収穫だったのかなと思ってます。まだまだ人生長いので、この旅で気になった場所には、これから何度でも訪れてみたいと思います。


とにかく、本当にいろいろなことがあったけれど、結果的にとっても貴重で楽しい旅となりました。僕の人生の中でも、大事なライフイベントの1つになったと思います。

世界中で出会った皆さん、本当にありがとうございました。また世界のどこかで会いましょう。


以上、あり得ないほど長くなりましたが、何か意見だったり、こんな面白いとこ知ってるよ!とかあれば、教えてくれると嬉しいです。


最後に、今回様々な試練を共に乗り越えた重村たいしんに感謝の意を述べ、締めとさせて頂きます。


読んでいただきありがとうございます!サポートしていただいたお金は、今後のガーナでの活動資金に大切に使わせていただきます!