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企画倒れしました。 in Fiji



僕は今、「お金に限定しない価値交換」に興味がある。

何かサービスを提供し、その代わりに○円を貰うのではなく、相手の特技(歌とか絵とか)やハグなど自由なリターンで返すというもの。投げ銭でも構わない。
一般的なお金に限定した価値交換だと、サービス⇄○円という交換が行われてそれでおしまいだ。それ以上何も広がらない。けど自由なリターンにすれば予想してなかったモノコトが得られたり、その場にいる人の掛け合わせでどんどん面白いことが生まれていくかもしれない。
”こっちの方が絶対世の中面白くなる”。そう思って、僕はこれを”料理作る代わりに何かください”という形で各地で実行しようと思った。

その第一弾として選んだ場所がフィジーだ。

フィジーとは、観光業でなんとか成り立っている、経済的に豊かではなく、平均寿命も短い、小さな南の島である。
ではなぜこの場所に決めたのか。それは、フィジーに関するこんな本を読んだからだ。

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本の内容を簡単に紹介。

発展途上国であるフィジーという国が、世界幸福度ランキングで第1位になった。幸福度の高い国というとフィンランドやデンマークなど北欧諸国を思い浮かべるかもしれないが、これらの国は平均寿命やGDPなど客観的な幸福度指標を用いたランキングで上位にくる国たちだ。
対して今回フィジーが第1位に躍り出たのは、主観的幸福度ランキング。つまり、「あなたは幸せですか?」という質問に対して「YES!」と答えた人の割合が世界一だったのだ。
ちなみに客観的な幸福度ランキングにおけるフィジーの順位は、187か国中88位。

ではなぜフィジー人は、経済的に豊かでもなく、平均寿命も短いのに、幸せだと感じているのか。その秘訣として、

⑴所有や独占の概念がなく、モノもお金も何でも共有する
⑵自分にも他人にもテキトー
⑶どんな時も”現在”にフォーカス
⑷人類皆兄弟の考えのもと、光の速さで繋がりを作る

という4つの習慣を挙げている。

皆が「私の物はみんなの物、あなたの物もみんなの物」と考え、貧困だろうとあらゆる物を共有し、皆がお互いに許し合い、皆将来どうこうよりも今を楽しみ、皆すぐに家族のようなあったかい繋がりを作る。だからフィジー人はいつも笑顔で幸せなのだ。(詳しくは是非本を読んでみてください。僕に言ってくれればあげます。)


長くなってしまったが、この本を読んで僕はフィジーという国にビビッときたのだ。そして、”料理作る代わりに何かください企画”の第一弾をフィジーにしようと決めたのである。

そしてここからが本題。

僕はフィジーに向かい、企画が出来そうな場所を探した。キッチンを求めて道ゆく人に話しかけて歩いた。すると、木の下でチルしていたおっちゃんに「こっち来いよ!」と話しかけられた。ついていくと昼間っから火を焚きキャッサバを食べている、いかにもフィジーな空間。

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まさに人類皆兄弟を地でいくフレンドリーさで、どんどん僕に話しかけてくる。キャッサバくれるし、タロイモわざわざ蒸してくれるし、家の中からバナナやお茶が運ばれてくるし、フィジーの曲も歌い始めるし。さらに、泊まるとこを決めてないなら今夜泊まっていきな!という話にまで。ついさっき会ったばかりの僕に至れり尽くせりである。

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結局、僕は料理をする前に、食事も宿も歌も貰ってしまった。
”お金に限定しない価値交換”の面白さを検証しようとしたこの企画だったのだが、そもそも彼らには”○をもらったから代わりに△を返す”という考え方が無く、何の見返りも求めず当たり前にgiveしてくれたのだ。そう、彼らはいつだってgive&giveだったのだ。give&giveのフィジー精神の前ではそもそも企画倒れだったのである。

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この後も3つの家庭で計4泊させてもらい、食事も何度もご馳走になり、ヒッチハイクでも計7台の車にお世話になった。もちろん一度たりともお金を求められていない。僕が料理をする代わりにどうこうではなく、いろんな場所でgiveされまくり、やはり企画倒れに終わったのである。

こちらの家庭に至っては、フィジーの中でも特に裕福ではない方だったのだけど、それでも関係なしにgive&giveしてくれた。たまたまバス停で仲良くなった僕に、3日間も宿と食事を無償で与え続けてくれた。本当に感謝感謝でしかない。

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ただ話を聞くと、こちらの家庭では料理のレパートリーが5種類くらいしかなかった。基本蒸したキャッサバかタロイモかご飯に、おかずは鶏の煮込みかダール(上写真の豆とスパイスのスープ)がほとんど。毎日の料理自体に特に楽しみは無く、食欲を満たすためだけの食事が多いらしい。

個人的に思うのだけど、食事って全ての人が一日に約3回体験するイベントであって、一年間だと約1,000回もあるもの。この時間が楽しくなるだけで人の幸福度ってかなり向上すると思うんだよね。フィジーの人たちは料理が単調でも他で幸せになる秘訣を知ってるんだからただのエゴなのかもしれないけど、やっぱりいろんな料理があった方が食事の時間がもっと楽しく幸せになると思う。

ということで、本来の企画と順番が逆にはなってしまったけど、こちらの家庭でいつでも手に入る食材で簡単に作れる料理&レシピでお返してきた。

ちなみに使える食材は、キャッサバ、タロイモ、唐辛子、ココナッツ、鶏肉、小麦粉、にんにく、レモングラス、塩砂糖、ダールの素、のみ。冷蔵庫を開けたら、本当ににんにく1個入ってるだけだった。そして電源は入ってなかった。

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(ちなみに、子供たちにココナッツある??って聞いたらこんな感じで登っていった。最初から最後まで本当にたくましい子供たちだったなあ。)

料理は、トムカーガイ、キャッサバガレット、タロポテトサラダ、を作った。みんな喜んでくれてたと思う。

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作り方を教えたら、最終日は逆に僕にガッレットを作ってくれたりもした。これからの食事の時間が少しでも楽しくなってくれればいいなあ。


今回のフィジー遠征を終えて、当初の企画は倒れてしまったけれど、それ以上にフィジー人の幸せの秘訣に触れたことが貴重だったし、give&giveの大切さを知ることができた。
やっぱり、人は無償のgiveを受けると気持ちがいいし、最高のお返しをしたくなる。
”お金に限定しない価値交換”も面白いけど、そんなとやかく考えずとにかく与え続ける方があったかい。皆が与え続ければ、世の中良い方向に向かってく。

これからはフィジー人を見習って、give&giveで生きていきたいと思います。

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