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1ヶ月間過ごしたリヨンという街【フランスワーホリ】

急に一人になったけど、寂しさはあんまりない。

たぶん、リヨンの街に人間的な温かさを感じたからかもしれない。



Bonjour!

ワーキングホリデーでフランスに来て、1ヶ月半が経過しました。
現在も引き続き、リヨンにある語学学校に通ってフランス語を勉強しています。

オリンピックが開幕し、連日深夜遅くまで中継に張り付いている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、当然ながら開催国フランスでは、日頃の活動時間に試合が行われており、夕方にバーでお酒を飲みながらゆっくり試合を見ることができています。

ちなみにパリから450km離れたリヨンは、パリほどの盛り上がりはありません。
しかし、リヨンでもサッカーの試合が開催されることから、オリンピックを見に来た人たちとすれ違うことがあります。

そんな中、昨日ついにサッカーの試合を見に行くことができました。しかも日本代表!

こんなチャンスめったにない!
高らかにスタジアムを訪れました。

試合は残念ながら敗北。悔しい敗退です。
しかし、とてもとても貴重な経験に、大満足の自分がいます。

リヨンでオリンピックサッカー観戦



リヨンに来て1ヶ月が経過しました。
すっかり慣れてきたし、楽しい日々を送れています。

とはいえ、夏のリヨンはかなり暑い。
35度を超えるのは当たり前。
盆地という地形だからか、温暖化の影響だからか、両方か。
いずれにせよ、額に汗をかきながら、クーラーのない部屋に帰る日々です。

これまで休日や平日の学校終わりの時間を利用して、リヨン市内をあちこち訪れてきました。
ようやくこの街の概要をつかめてきた気がするので、今回は紹介も兼ねて、リヨンという街について書いてみようと思います。

キャッチフレーズは「ONLY LYON」



日本人が思うフランスの場所といえば、まずはパリが思いつくでしょう。
首都であり、フランスで一番大きな都市。古来から様々な作品の舞台になってきた、文化と歴史に彩られた花の都です。

それに次ぐのが、南仏、いわゆる「コート・ダジュール」だと思います。
ニース、カンヌ、サン・トロペ、アルル、モンペリエ、そしてフランス第三の都市・マルセイユ。
青い空に青い海。地中海のリゾートは世界中からセレブが訪れる場所です。

そのほか、モン・サン・ミシェル、ストラスブール、コルマールなどの有名な観光地、そしてボルドー、ボジョレーなどのワインの産地。
他にも有名どころはたくさんあります。

こういった羅列の中には、なかなかリヨンは入りません。
人口230万人を越えるフランス第二の都市圏を持つため、決して知名度は低くはありません。
しかし、他の都市と比べて、インパクトに欠けるのは事実です。

それはなぜなのか。
ずばり、目立った観光地が少ないからかもしれません。

交通の要衝ゆえ、電車や飛行機は数多くやってきます。
しかし、普段街を歩いていて観光客とすれ違うことはさほど多くはありません。
寂しいけれど、これが事実。

とはいえ、それは住民が普段の生活をしやすい環境とも言えます。
個人的には、多くの人に知ってもらいたい魅力的な街ではあるものの、住民ののどかな暮らしを邪魔せず、秘密のままにおきたい街でもあります。

ソーヌ川と旧市街



それでは、リヨンについて説明します。

フランス語では「Lyon」と書き、そのまま「リヨン」と発音します。
たまに「ライオン」と呼ぶ人もいますが、カタカナのまま「リヨン」と呼べば大体は通じます。

リヨンはフランスの中東部に位置しています。
周囲に大きな山はないものの、リヨンの市街地自体は盆地に位置しています。
東側にはスイスや、フランス一高いモン・ブランがあり、その玄関口としての役目も果たしているなど、交通の要衝という立ち位置でもあります。

そのため、古くから交易地として栄えた歴史を持ちます。その流れで、金融業も盛んです。
また、絹織物の産地としても知られ、日本の富岡製糸場にもリヨンの養蚕技術が持ち込まれたと言います。

歴史では、フランス革命期の反革命反乱が起きた場所でもあり、革命政府が市民を弾圧した苦い過去もあります。
反乱後、革命政府によって1年間「ヴィル・アフランシ」(解放市)と改名していた期間もあります。

リヨンの位置(出典



市内について詳しく見ていきます。
中心にはローヌ川ソーヌ川という2本の川が流れており、市内南部の地点で合流します。
それぞれの川には何本か橋がかかっていますが、川を隔てると一気に違う場所に来たように、雰囲気が変わります。

リヨン中心部の観光マップ(出典

市内西部にはフルヴィエールの丘、市内北部にはクロワ・ルース、という2つの小高い丘があります。

フルヴィエールの丘の頂上にあるフルヴィエール大聖堂は、リヨンの象徴のそうな建物です。
その近くには、ギリシャを彷彿とさせる古代ローマ劇場があります。
丘の上からは市内がよく見渡せ、リヨン一の絶景スポットとなっています。

クロワ・ルースは、古くから絹織物の盛んな地区で、今でも昔ながらの建物が多く残されています。
特に、トラブールと呼ばれる入り組んだ建築が多くあり、一部は観光客向けに公開されています。

フルヴィエールの丘はリヨン一の絶景スポット

市の中心は、東西をローヌ川とソーヌ川、北にクロワ・ルース、南に国鉄ペラーシュ駅に囲まれた地域で、プレスクイルと呼ばれています。
市庁舎(オテル・ドゥ・ヴィル)などの公共機関、お店やバー、美術館などはこの地域に多くあります。

その中心に位置するベルクール広場はリヨンのシンボルのような存在です。
ルイ14世や「星の王子さま」の作者、サン=テグジュペリの銅像があります。

ベルクール広場とルイ14世像

ベルクール広場からオペラ座に向かうレピュブリック通りは、市内一の目抜通りです。
おしゃれなブティックやブランジュリーなどが軒を連ねます。
対して、市庁舎前のテロー広場は、夜になるとお酒を飲む多くの人で賑わいます。

その中心地からソーヌ川を隔てて西側、フルヴィエールの丘の間には旧市街(ヴュー・リヨン)が広がっています。
「美食の街」リヨンの古くから続くレストランはこの地に多く展開されています。
サン・ジャン大聖堂という大きな教会もこの地にあります。

ソーヌ川の東側、市内北部には、テッド・ドールという公園があります。
芝生広場から、植物園、動物園、そして湖まで広がるとても広大な公園です。
土日のみならず、平日でもこの公園にはピクニックで訪れる人が多くいます。

テット・ドール公園

他にも、リヨン出身の伝説の料理人「ポール・ボキューズ」の名を冠した、レ・アル・デ・リヨン・ポール・ボキューズ市場があったり、フランスサッカーの強豪「オリンピック・リヨン」が市郊外のグルパマ・スタジアムに本拠地を置いていたり、リヨンには様々な見所があります。

古くからある建物は、世界遺産にも登録されています。
そのため、観光地は決して少なくはなく、言わばオーバーツーリズム時代の穴場的な都市とも言えるかもしれません。

フランスの高速鉄道「TGV」が停車し、市内にはメトロが4路線通り、トラムやバス、ケーブルカーまで走行するなど、フランスを代表する大都市のひとつでもあります。

クロワ・ルースにある有名なグラフィティアート



古くから、交通の要衝であり、金融業や絹織物が盛んで、それは現在にも通じています。

市内にはペラーシュパール・デュという2つの大きなターミナル駅があり、バスはペラーシュ、パリから来るTGVはパール・デュに停車します。
バスはフランス国内のみならず、近隣国も含めた様々な方面に直接アクセスすることができます。

金融業については、パール・デュ駅周辺に新しいビルが建っており、そこを拠点としています。
絹織物は、現在でもクロワ・ルース地区に多くの工房があり、クラフト商品を購入することもできます。

歴史を歴史で終わらせず、現在にも継承している雰囲気がリヨンの特徴かもしれません。

高層ビルをバックにトラムが走るパール・デュ地区



僕がリヨンに来た6月下旬から7月中旬までは昼と夜の寒暖差が大きく、昼は32度まで上がるものの、夜は20度以下まで下がる日々でした。
しかしながら、7月下旬からは夏本番という様相で、毎日35度以上まで上がり、夜も28度あたりを保つ暑い日々が続いています。

リヨンを含めフランスには古い建物が多く、今でもクーラーが設置されていない家屋が非常に多くあります。
だから、最近は暑くて苦しい日々を過ごしているのも事実です。
実際、リヨンのサラリーマンは、リヨンの夏が暑すぎるという理由で、1ヶ月間バカンスを取って他の地域に逃げるそうです。

とはいえ、日本ほど蒸し暑くはなく、日陰は涼しい風が吹いています。
人工的な空気を嫌うフランス人は、おそらくこれからもクーラー無しの生活を続けるのでしょうか。



ネットや観光ガイドでは、リヨンは「美食の街」と紹介されることがあります。
実際、リヨンには、パリにはない独特の料理があったり、パリに引けを取らない美味しいレストランがあります。
かの三つ星料理人、ポール・ボキューズもリヨン近郊の出身で、亡くなった現在もレストランは営業しています。

リヨンのレストランは、ブションと呼ばれています。
一般的な高級レストランとは違い、大衆的な店構え。しかしながら、料理は一級もの。
フレンドリーなお店で食べる料理は、リヨンならではかもしれません。

僕も一度、ブションを訪れてみましたが、その美味しさに感動しました。
こんな美味いメシがあるのか。レベルの高さに驚きました。
高級レストランとはちがい、店員がフレンドリーで話しかけてくるのも印象的でした。

ちなみに普段の生活での食事は、スーパーで簡単に済ませています。
さすがにレストランやブションを頻繁に訪れることはできません。

だから、滞在してみると、思ってたよりも美食の面は感じられないのが、実態でもあります。

リヨンのブションの店内



僕は語学学校でフランス語を学ぶためにリヨンにやってきました。

リヨンを選んだ理由は、特にありません。
パリ以外が良い、なんとなく大都市が良い。

パリ以外のことをよく知らなかった僕は、流れるようにリヨンを知り、リヨンにたどり着きました。

リヨンに対する印象は、まさしく過ごしやすい街。
メトロやバス、トラムを使えば、30分以内に目的地へたどり着くアクセスの良さがあります。
レストランやバー、スーパーやショッピングモールなど、様々なお店があり、基本的に買いたいものはすべて揃う街です。

人は比較的優しく、また外国人には寛容な雰囲気があります。
実際、僕は英語で話しかけられることも多く、いわゆるフランスの「フランス語主義」はリヨンではそこまで大きくない気がしました。

クロワ・ルースから市内に向かう坂道



あと1ヶ月もしないうちに僕はこの街を去る予定です。
最初は語学学校だけの目的で来たものの、いざ離れると思うと寂しい気持ちがあります。

日本人も含めて友達はたくさんできたし、日々いろんなイベントがあり、町中が楽しい雰囲気で包まれています。

1ヶ月前、友達も知り合いも全くない、人脈ゼロの状態でリヨンにやって来ました。

その前に滞在していたパリでは、せっかく友達ができたのに。
自分で決めたとは言え、再び訪れる孤独感に悲しい思いがありました。

しかし、リヨンに着いた瞬間に感じたこの街の温かさ
これが自分の気持ちをやわらげました。

そこからひとり、またひとりと連絡を取ったり、声をかけたり。
今ではとても充実した生活を送れるようになりました。



縁のなかった場所に縁をつくる楽しさ。
自分の視野が広がる楽しさ。

リヨンに来て、ぐぐっと自分の感性が広がった気がします。
出会う人は優しい人ばかりだし、仕事に勉強に、そして生活に充実している人ばかりです。

来て良かった!
週末の朝にふと感じるその感覚を得られただけで、僕は幸せです。

そんなリヨンの街、良かったらフランス旅行の際に訪れてみてはいかがでしょうか?

リヨンでの生活はまだまだ続きます。



参考:リヨン観光局(リンク

↓ワーホリのきっかけなどはこちらに書いてます。

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