海外に出て価値観を変えた話

今まで海外旅行やフィリピンでの生活の中で、様々なトラブルに直面してきました。もう忘れてしまったことも多いけど、それらの経験のおかげで今の自分が成り立っていると強く思います。

海外での生活に憧れて、実際に現地採用という形でフィリピンに住んで働きました。結局、フィリピンでの生活はわずか半年となってしまいましたが、とても貴重な経験が出来ました。

今でこそ海外志向ですが、昔は海外に住みたいなんて全く思わなかったし、むしろ海外に対して強い恐怖心がありました。

こうして変化したのは、自ら一歩を踏み出し価値観を変えた、大きな経験が元になっています。

＊＊＊

小さい頃、家族や祖父母に何度かハワイやグアムなどへバカンスに連れていってもらいました。でも正直なところ、ほとんど記憶には残っていません。かろうじて残っている記憶は、小学生低学年に家族旅行で行ったオーストラリアのケアンズで迷子になったこと。電車から降りて勝手に一人で飛び出していなくなる。つらい思い出ほど濃い印象として残ります。

小学生の後半あたりからは学習塾に通ったり家庭の経済的なこともあり、家族で海外に行く機会はなくなっていきました。

中学生の頃、学校がオーストラリアへのホームステイの企画を立て、参加生徒を募るも、僕は言葉がわからないし、何よりオーストラリアの迷子の記憶もあったので、参加しようなんて全く思いませんでした。この時、海外に対して強い恐怖心を持っていました。

高校では修学旅行でハワイに行くことになりました。それは僕にとって久々の海外経験でした。ただ、修学旅行自体はとても楽しみにしていたものの、未だ海外に対して恐怖心を持っており、内心ビクビクしながらの渡航でした。しかし、ハワイに着いてしまうと、学校が全てセッティングをしてくれる安心感であったりハワイならではの解放感から、そのような恐怖心は一切無くなっていました。

＊＊＊

転機があったのは大学2年生の頃です。母校の高校野球の応援をしに行った時、たまたま会ったかつての世界史の先生から、ひとりで海外へ旅することを勧められました。先生は僕が国内でひとり旅をするなど行動力があることを知っていたし、先生自身が海外に住んだ経験があったことから、僕に海外に出ることを強く勧めてくれました。

ハワイへの経験があるもののひとりで行くのは怖かったし、行きたくない気持ちが強くありました。でも、考えている最中にふと何かに引っ張られる感覚を覚え、その勢いで台湾へのフライトチケットを予約をしてしまいました。今でもそれが何かはわかりません。でも、先生のアドバイスの影響力であったり、自分自身の現状のもやもやする気持ちを打破したい力があったのだと思います。

19歳で初めてのひとり海外旅行として台湾に行きました。台北松山空港のイミグレーションを抜けた時のあの達成感は今でも忘れられません。今までスポーツでも勉強でも目立ったことがなく、自分の力で何かを乗り越えた経験がなかったような僕のような人間にとって、ひとりで海外に行けたという事実はとても誇らしいものだったし、一枚も二枚も殻を破った瞬間でした。

あの時に感じた強い衝撃で、それまで怖いと思っていた海外に対する考え方が大きく変わり、もっと興味を持っていろんな場所にいきたいと思うようになりました。それ以来、海外に憧れを持ち、旅を重ねていくうちに価値観はどんどん変わっていき、実際に住むことを思い立ち、25歳の時にそれまで働いていた会社を辞めて、フィリピンで働く決断をすることにしました。

＊＊＊

価値観は環境や経験の上に成り立つと思います。人はみんな違う環境でみんな違う経験をしてるから、異なる価値観を持つのは当たり前です。海外に来たからこそ出来るようになった考え方はたくさんあるし、それが自分を大きく形作るものになってると思っています。

しかし、この世の中には価値観が異なるからと争いが起きたり、人を押さえつける道具にしてしまっているのも事実です。違うのは当たり前なのに、それが争点となり、対立を生んでしまっています。人と争ったり非難をする道具でなく、経験を知るツールとして他人の価値観を知りにいくべきだと僕は思います。

日本人で海外に行ったことのない人は、国民の4割ほどを占めるそうです。おそらく海外に恐怖心を抱いてる人はそれよりもっと多くを占めるのではないかと思います。怖いのは仕方ないです。僕もかつて海外にとても大きな恐怖心を抱いていたし、自分は海外とは縁がないと思い込んでいました。

実際、この海外は怖いものだという価値観を人に押し付けてしまっている人もいます。特に親が子供にこのような価値観を押し付け、子供の挑戦の機会を奪う例もいくつか見られます。海外に興味を示そうとしている人を制限し、せっかくの意欲を損なうのはとてももったいないことだと思います。もちろんその時点での世界情勢は見る必要がありますが、世界へ挑戦することはとても素晴らしいことだと思うし、僕が感じた価値観の大きな変化を体験してほしいという気持ちがあります。価値観も何かの拍子に大きく変わるし、何枚も殻を破けます。

みなさんもそうだし、自分もそう。これからもたくさんのいろんな経験をして価値観をアップデートし、成長し続けていきたいなと思います。