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矢沢永吉ディスクレビュー パート1 キャロル編

 私が敬愛する日本のロック歌手矢沢永吉。素晴らしいメロディセンスとステージでの存在感や彼の生き様に惚れたことのある人は沢山いると思いますし、私もその一人で、著書「成り上がり」を読んで頑張って自分の技術で金を稼いでやろう!と奮起したり、美しいメロディの楽曲が自分の琴線に触れ涙したりと、様々な音楽を聴きつつも傍で定期的に矢沢永吉、キャロルの産んだ音楽を楽しんで34年生きてまいりました。
現象としての矢沢永吉、永ちゃんを語る人は多いと思いますが、音楽的な事をあまり文章化されていない事を「Why?なぜに」と思いリリースされたアルバム、シングルを中心に、個人的見解で分析したレビューをまとめたいと思い筆を取りました。

 このレビュー執筆において矢沢永吉がリリースした全アルバム、シングル、公式にプロフィールとなった著書「成り上がり」「アー・ユー・ハッピー?」、YAZAWA CLUB監修「矢沢永吉 (地球音楽ライブラリー)」ジョニー大倉著「キャロル夜明け前」を参考にしました。

キャロル編

 終戦から4年後、原子爆弾が落ちた町広島で生まれた矢沢永吉。3歳にで母親が蒸発し被爆者であった父親は小学校2年生で死別し、父方の祖母に育てられた永ちゃんは極貧の少年時代だったと言う。貧乏ゆえのお金への執着、中学生の時にビートルズを聴いてロックに目覚め、ポップスターである事がいかにお金を稼ぐことができる職業かというのをビートルズから学んだと言うが、このビートルズでの出会いこそが、永ちゃんのメロディセンスと大衆性のバックボーンではないかと思う。

 高校を卒業した永ちゃんは、アルバイトでためた5万円を持って広島から夜行列車で東京へ向かうが途中ビートルズが湊町出身との縁で横浜で下車。以降横浜で働きながら「ザ・ベース」「イーセット」と名乗りバンド活動を開始するがオリジナル曲はバンドでは披露していなかった。後にソロ初期バックバンドメンバー「矢沢ファミリー」で活躍するNOBODYの木原敏雄と大森正治らと「ヤマト」を結成し、キャロルのコンセプトの一部はこのヤマトから続くものであり、キャロル初期の楽曲はヤマト時代に英語で歌われていたものである。

 ヤマト解散後、新バンドを結成のための募集でジョニー大倉、内海利勝、今井茂利が集まりキャロル結成。すべった転んだでちょうちんだあって、フジテレビ、リブヤングに出演し、レコードデビューが決まる。


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-ルイジアンナ 1973年3月25日
A面
1.ルイジアンナ
2.ヘイ・タクシー
3.やりきれない気持(アルバムバージョン)
4.ホープ
5.恋の救急車
6.最後の恋人
B面
1.グッド・オールド・ロックン・ロール
2.メンフィス・テネシー
3.ワン・ナイト
4.トゥティー・フルティー
5.ジョニー・B・グッド
6.カンサス・シティー

 7ヶ月連続シングルリリース企画の3ヶ月目3枚のシングルリリース後1973年3月25日に発売された1stアルバムは、バージョン違いも含む既発のオリジナル曲をA面にR&RのカバーがB面に配置されたキャロルのコンセプトを明確に伝えるLPとなった。デビュー前、革ジャンリーゼント時代のビートルズというのがコンセプトであったはずだが、70年代のR&Rリバイバルやアルヴィン・スターダストの様なグラムロック勢とも同時代的な匂い空気をコンパイルしているのは、ヨーロッパでの活躍経歴もあるプロデューサーのミッキー・カーチスの手腕だろうか。また、カントリーフレイバーたっぷりのジョージ・ハリスンとちがいウッちゃんのギターはブルースロック的なニュアンスでプレーされており、凡百のビートルズインスパイアグループとの違いを聴かせている。また、今井茂利がデビュー直前に脱退し、ユウ岡崎が加入するも、デビューシングル録音後2枚目のシングル制作中にトラブルで離脱、3枚目のシングル制作後にユウが戻ってくるが、ユウ不在を後にダウンタウンブギウギバンドに加入する相原誠がドラムを担当しており、このアルバムでは「やりきれない気持ち」「ホープ」「ワン・ナイト」のドラムをプレーしジャケットにも写っている。
 
 永ちゃんの作曲力、メロディーセンスはここでも強靭な物だが、リードボーカルを取るのはデビューシングルのA面B面の「ルイジアンナ」と「最後の恋人」のみで、殆どをジョニーがリードボーカルをとっているのも興味深い。
 
 様々なところで語られているが、ジョニー大倉の英語日本語が合体したリリックセンスと無茶苦茶な英語で作曲されたバタ臭い矢沢永吉メロディが融合する事で唯一無二のキャロル・サウンドを生み出し、日本語で、英語でロックをするという論争に終止符を打ちその後のロックバンドへ地続きとなる影響を持つ革命的な現象と言えるでしょう。

しかし「やりきれない気持」のアルバムバージョン、シングルでリリースされたものに比べ没テイクとも言える勢いの無さ、シングルと被ってもシングルバージョンんで収録した方がよかったのでは?


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ファンキー・モンキー・ベイビー 1973年7月25日
A面
1.ファンキー・モンキー・ベイビー
2.憎いあの娘
3.レディ・セブンティーン
4.コーヒー・ショップの女の娘
5.恋する涙
6.二人だけ
B面
1.愛の叫び
2.ハニー・エンジェル
3.いとしのダーリン
4.彼女は彼のもの
5.ミスター・ギブソン
6.0時5分の最終列車

 7ヶ月連続シングルリリースの後半4枚リリース後に発売の2ndLPは1stの4ヶ月後1973年7月25日にリリース。発表済みのシングル曲に加え、4曲のオリジナルの新曲が登場でカバー曲無しの全曲で矢沢永吉作曲大倉洋一作詞オリジナル曲のみのアルバムとなった。音楽的には、1stアルバムの延長で、というのもデビューからシングルリリースの勢いをそのまま詰め込み前作と地続きになっているからかと思います。
 
やはりここでもデビュー前のビートルズというのはニュアンスや臭いだけで、70年代のイギリスのR&R/R&Bバンド的なサウンドを聴かせます。もちろん「ファンキー・モンキー・ベイビー」の様な古のチャック・ベリー的なR&Rもありますが、「ミスター・ギブソン」の様なソウルフルなthe Facesの影響を感じるR&Bタイプの曲、グラムブギーな「憎いあの娘」の様な曲も収録されています。

 また、このアルバムが強烈なものにしているのはバラードタイプの曲にあると思われ、「コーヒー・ショップの女の娘」、「二人だけ」の二曲は永ちゃんの美しいメロディを作るセンスが遺憾無く発揮されています。
 
 ちなみにこのアルバムでは永ちゃんが7曲、ジョニーが5曲メインボーカルを担当しています。永ちゃんが前作よりも存在感を増してきていますが、ジョニーの色も非常に強く、キャロルがこの時点で矢沢のワンマンバンドではない事がわかります。もちろんユウのドラムプレー、ウッちゃんの歌物のバックでの素晴らしいギタープレーがバンドサウンドを作っておりそれが唯一無二となっています。


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涙のテディ・ボーイ / 番格ロックのテーマ 1974年2月5日
A.涙のテディ・ボーイ
B.番格ロックのテーマ

 1973年は怒涛の7ヶ月連続シングルリリースと2枚のアルバムリリースを果たしたキャロル。74年に入り、アルバム未収録のシングル2枚をリリースします。73年の11月からジョニーが失踪しジョニー抜きの3人でキャロルはツアーに出ますが、音信不通が続くため、新メンバーに元乱魔堂の猿山サミー幸夫を迎えます。そのごたごたの中制作された「涙のテディ・ボーイ」は永ちゃんが作詞も担当した快作となっています。そのためジャケットにジョニーが写っていません。(ユウも写ってないですが、、、)

 アレンジに大野克夫(元スパイダース!)を迎え、イントロのチェンバロやギターエフェクトの強いサウンド、凝った構成と今までのキャロルとは違った作品となっています。また永ちゃんはこの曲の作詞から「作詞の才能がない」と話ますが、次作の夏の終わりと合わせても問題ないレベルのリリックを提供しています。そう言えば歌詞のテーマは、ミッキー・カーチスが滑った転んだでちょーちんだな事がだとか。雪の世界の恋ってところにシャブ中同士の恋愛に聴こえるんですが、それは考えすぎでしょうね。

 B面はジョニーが作詞し歌った東映映画のテーマ曲です。この曲も展開がころころ変わるタイプの曲ですが、なによりホーンセクションの導入が新しく、映画への提供曲とはいえキャロルがA面と合わせ音楽的に新しいことをしようとしていたことが匂わせます。ジョニーが失踪した事で、バンド内のパワーバランスが変わったと思われますが、このシングルまではジョニーの存在感が永ちゃんと同等だったのではないかと思います。


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夏の終り / 泣いてるあの娘 1974年7月25日
A.夏の終り
B.泣いてるあの娘

 3枚目のLPと同時発売のアルバム未収録シングルです。こちらも永ちゃんが作詞提供。よほど本人が気に入っている曲なのか、ソロで2度リメイクしてシングルリリースしています。また、1974年2月中旬にジョニーはサミーと交代で復帰していますが、B面はウッちゃん作詞作曲本人歌唱のためジョニーの存在感の薄いシングルです。

 フォーキーでウッちゃんのギターがトロピカルな雰囲気を出している「夏の終わり」切ない失恋とばっちりな循環コード進行が、シンプルながらメロディがキチンと活きる永ちゃんマナードンズバな曲になっています。

B面はウッちゃん初の作詞作曲本人歌唱で、永ちゃんの影響を感じられるものの違ったセンスを聴かせてくれます。ワウを使ったイントロのギターフレーズ等、普通のR&Rバンドとの違いを聴かせてくれるのがにくいです。
ソロデビューアルバムでもレゲエアレンジでリメイクされています。


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キャロル・ファースト 1974年7月25日
A面
1.CAROL(子供達に夢を)
2.ヘイ・ママ・ロックン・ロール
3.夢の中だけ
4.素敵な天使
5.カモン・ベイビー
6.甘い日々 
B面
1.ズッコケ娘
2.ふられた男
3.娘(クーニャン)
4.ビブロス・ピープル
5.雨のしずく
6.悪魔の贈り物
7.CAROL(子供達に夢を)

 夏の終わりと同時に発売された3枚目のアルバム。1st、2ndがカバー、シングル曲の寄せ集め的な側面を持っていたのに対し、ミッキー・カーチスプロデュースから離れ、セルフプロデュースし完全新曲だけで構成され、メンバーそれぞれの作曲した作品がまとめられており、ライブ感、ステージ感をスタジオで再現してきたキャロルではなくスタジオでのキャロルの挑戦が収録され、そう言った意味で「ファースト」タイトルが付けられている意欲作です。また、1974年3月21~4月5日、山本寛斎のファッションショー出演のため渡欧しパリでライブを行ったが、バンドでの海外遠征の影響も匂わせます。永ちゃんは、「CAROL(子供達に夢を)」「カモン・ベイビー」「甘い日々」「ズッコケ娘」「ふられた男」ジョニーは、「ヘイ・ママ・ロックン・ロール」「ビブロス・ピープル」「雨のしずく」ウッちゃんは、「夢の中だけ」「娘(クーニャン)」「悪魔の贈り物」ユウは「素敵な天使」をそれぞれ作詞作曲し、作風がそれぞれのバンド後の活動を感じさせます。

 「happiness is a warm gun」現象で和ボッサな「甘い日々」、ラテンフレイバー、トロピカルな「素敵な天使」など、R&Rだけでなく音楽生に幅を持たせようと奮起している様子も伺えます。

 このアルバム、セルフプロデュースと言っても永ちゃん主導で制作が進められ、ジョニー失踪以降のバンドの結束の弱さが見え隠れしている作品でもあるかと思いますし、バンドの終わりを感じる切なさというのも聴けるのではないかと思います。

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ラストチャンス 1974年12月20日
A.ラストチャンス/Last Chanse 大倉洋一 矢沢永吉
B.変わりえぬ愛/Unchained My Love

 「番格ロックのテーマ」以来の矢沢=大倉コンビが復活したアルバム未収録のラストシングルです。「ファースト」に収録された意欲的なサウンドは抑えられ、切ない気持ちが破裂しそうな永ちゃんが歌うR&RのA面とひたすらメロウでジョニーが歌うB面、どちらもジョニーが永ちゃんへ送ったラブレターの様な歌詞が解散寸前のバンドのラストシングルとしてはあまりにもドラマチックに聴こえます。永ちゃんは「もう一度デビュー当時の気持ちでがんばってみようよ」と成り上がりで提案し、ジョニーはこの様な歌詞を残しましたが、同じ気持ちで目線の違う人らのすれ違いってなんでこうも切なくドラマチックなんでしょうね。

 なによりB面の「変わりえぬ愛」ですが、永ちゃんのキャリア史上抜群に切なくメロディアスでセンチメンタルな曲ではないでしょうか?


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GOOD-BYE CAROL 1975年4月5日
A面
1.ルイジアンナ(試作) 
2.ヘイ・タクシー(試作)
3.やりきれない気持ち(試作)
4.恋の救急車(試作)
5.最後の恋人(試作) 
6.涙のテディーボーイ(試作)
7.ラスト・チャンス(試作)
8.捨てたはずのコイン(試作)
B面
1.ドライヴィン・スクール(試作)
2.キャロル曲作り風景
3.ファンキー・モンキー・ベイビー
4.憎いあの娘
5.グッド・オールド・ロックン・ロール~のっぽのサリー
6.メンフィス・テネシー
7.緊急電話

 解散直前、日比谷野音でのライブ数日前にリリースされた問題作。今で言う(って90年代の話だけど)ビートルズ・アンソロジー的な、デモテイクとレアトラックで構成されたアルバムです。

 A面1〜5はデビュー前のデモ録音、6〜7はプリプロ音源、いずれもジョニーが詩をつける前の英語歌詞で歌われています。A面最後の「捨てたはずのコイン」は、永ちゃんのソロ1stで「雨のハイウェイ」として正式にリリースされる音源で英語歌唱ですが、ジョニー作詞の「捨てたはずのコイン」というリリックも残っています。 また、B面1曲目「ドライヴィン・スクール」は、永ちゃんのソロ1stで「恋の列車はリバプール発」としてリリースされ、ここでは永ちゃんの弾き語りによるでもテイクとなっています。

 永ちゃんがキャロルのメンバーや所属事務所社長に意見を求めながら作曲しバンドでのヘッドアレンジを組み立てていくのをドキュメンタリー的にダイジェストで収録したキャロル曲作り風景では、エレキギター一本をバックに永ちゃんが英語のファンキー・モンキー・ベイビーを歌うテイク、ジョニーが自身が制作した日本語詞をメロディに乗せるために試行錯誤している状態が記録されており、バンドの一員矢沢永吉の空気感を聴くことができ、次のトラックでは完成したファンキー・モンキー・ベイビーのライブテイクへ移るという流れになっています。
4曲のライブテイクは、ラストツアーで最後のライブ盤リリースの候補であった両国日大講堂でのライブです。バンドの終盤ながら日比谷での解散ライブよりも粗々しいライブテイクとなっています。
 
アルバム最後に収録された「緊急電話」はキャロル最後のスタジオ録音です。この曲もバンドを恋人と捉えた別れの辛さが歌われます。イントロなどで繰り返されるギターとクラビネットが絡むリフが非常にファンキーな作品です。
最後に逆回転で永ちゃんから「うょしまいらあ をとこういとかいさくになんどはこんまおのちたみき すまれくていきんさなみのいせょじのいかせんぜ」という大変卑猥なコメントが挿入されています。謎に。
ジョニーは、バンドの終わりの美しい季節にこの様なメッセージを録音したことに驚き、汚された気分になったそうだ。

 しかしこのアルバム、権利関係に非常にうるさくキャロルをリリースしていたフォノグラムとその辺で揉めまくる元キャロルベース氏ですが、氏がリリースのアイデアを出したらしく、後年の彼のマインドとはちょっと違うなと思います。また、メンバーそれぞれこのアルバムがリリースされることを全く知らなかったそうです。

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燃えつきる - キャロル・ラスト・ライヴ!! 1975.4.13. 1975年5月15日
※1975年4月13日、東京日比谷野外音楽堂での解散コンサートを収録。
A面
1.ファンキー・モンキー・ベイビー
2.憎いあの娘
3.グッド・オールド・ロックン・ロール
4.メンフィス・テネシー
5.涙のテディ・ボーイ
6.やりきれない気持
7.変わり得ぬ愛
B面
1.ビブロス・ピープル
2.ユーブ・リアリー・ガッタ・ホールド・オン・ミー
3.愛の叫び
4.ヘイ・ママ・ロックン・ロール  
C面
1.ヘイ・タクシー
2.夏の終り
3.(ゲスト紹介)
4.ジョニー・B・グッド
5.ズッコケ娘~スロー・ダウン
6.ルイジアンナ 
D面
1.エニタイム・ウーマン
2.ファンキー・モンキー・ベイビー
3.ラスト・チャンス

 凄絶!絶叫!炸裂!の日比谷野音でのキャロル解散コンサートのライブアルバムです。当note、ライブ盤は紹介しない方針だったのですが、このアルバムだけは紹介しないわけにはいきません。
グッバイ・キャロルに収録されているライブテイクよりもクリアーな録音ですが客席で回されたテープの様に生々しい演奏聴くことができます。75年当時のPA音響設備を想像してもコーラスや演奏のアンサンブルでキャロルのステージでの表現力のすごさを感じることができます。解散後のプランが明確な人の差なのか永ちゃんのコンデイションが非常に調子よく、歌もベースも強烈なものに録音されています。

 選曲に関しては既発のアルバムからオリジナル曲とカバーで構成されていますが、ヘイ・タクシーは新たにFacesのStay With Meを参考にしたイントロ(2018年ごろウッちゃんとギターセッションする機会があり、当日この曲のイントロについて質問をしたところFacesを参考にしたとの教えていただきました。)が追加されていたり、新曲として後々90年代に入りソロで録音されるエニタイム・ウーマンが披露されています。

 そして注目は、ゲスト紹介としてガロの大野"ボーカル"真澄、なぎら健壱、武田鉄矢、デイブ平尾、舘ひろし&岩城滉一、内田裕也が紹介されている。レコードによってバッドボーイズが紹介されているものも出回っているとか。
しかし内田裕也の「俺と矢沢も色々あったけど」っていう色々が大変気になりますよ。

 D面「ラスト・チャンス」演奏が爆竹の音と、火がステージセットに燃え移っている様子まで録音され客席の声とサイレンが聴かれる中、プツッと再生が終わる所に、キャロルというバンドの終焉が演出されている様に聴こえます。

 ちなみにアルバム冒頭に聴かれる音楽は、イギリスのアフロ・ファンクバンドOsibisaのHappy Childrenという曲です。当時キャロルが入場SEに使用しており、当時ウッちゃんのお気に入りで使用されていたとか。ソロ1stでシマロンズと共演するウッちゃんのファンキー志向がここに出ている気がします。

以上、矢沢永吉ディスクレビューキャロル編でございました。電光石火の様に現れ日比谷のステージのごとく燃え尽きたバンド、キャロル。大変素晴らしいロックバンドとして70年代に強烈なパンチを浴びせましたが、ここを始まりにBIGになった矢沢永吉。
次回、ソロになった永ちゃんの活動初期、CBSソニー時代のアルバムをレビューしたいと思います。


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