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「次、何読めばいいの」に答えます。(後編)

こんにちは、たわら(@kentaroutawara)です。

繰り返し伝えたいことがあります。読書とは素晴らしいものだということです。

そんな素晴らしい読書のリズムを途切れさせないために、次の一冊を選ぶオススメの方法を紹介します。

「本読みネットワーク」。それがあなたに利用してもらいたい資源です。このネットワークは作者の魂である太陽を回る惑星のように運行しています。

3つある「本読みネットワーク」のうち「本読み水星ネットワーク」「本読み地球ネットワーク」については次の記事で解説したのでよろしけば参考にしてください。


1 本読み時空ネットワーク

著者の作品を読み続ける「本読み水星ネットワーク」、著者のエッセイや対談集を読む「本読み地球ネットワーク」はもうご紹介しました。

最後にお伝えするのは「本読み時空ネットワーク」です。

具体的には、その作家が影響を受けている小説・作品に触れることです。

あなたが気になる作家は、先達の作家達が築き上げた文化の上に、意識的にせよ無意識的にせよ、存在しています。

もちろんオリジナリティーあふれる作家がいますが、それでもやはり何かに影響を受けているはずなのです。どんな作家であれ、それはあてはまります。

「ああ、面白かった」とあなたが思ったその本の要素は、小説家が先達から学んで、あるいは引き出して、あるいは増長して、あるいは反発して身に付けたものであるのです。

ですから、「本読み時空ネットワーク」に属する小説を読むことであなたは、著者の本を読んで感じた読書の喜びの源泉に出会うことができるはずです。

具体的な例を紹介しましょう。

2 村上春樹の「本読み時空ネットワーク」

村上春樹の例にとって、「本読み時空ネットワーク」の具体的な様相をみていくことにします。

簡単なやり方をまずご紹介しましょう。ウィキペディアで彼のページを見ることです。

どこかの親切な方が、彼が影響を受けた作家と作品の項を設けています。これを読んで、その名前の作家の本に手を出すことはひとつの方法です。

しかし僕はもうひとつの方法をオススメします。それは「本読み地球ネットワーク」からアクセスすることです。

「本読み地球ネットワーク」とは著者のエッセイや随筆などの一群を呼びます。

エッセイや対談集の中で、彼らは影響を受けた作家や作品について言及しているはずです。その文章のなかでは、先達のどこに心惹かれたのかが本人の言葉で説明されています。

十代の頃に『カラマーゾフの兄弟』と『ジャン・クリストフ』と『戦争と平和』と『静かなるドン』を三回ずつ読んだことを思えばまさに昔日の感がある。当時はなにしろ本というは量があればそれだけで嬉しくて、『罪と罰』なんてページ数が少なくて物足りないと思っていたくらいのものである。
村上朝日堂の逆襲 1989年 新潮文庫 pp144

例えばここに彼が最も影響を受けた「カラマーゾフの兄弟」が登場しているし、長い物語への希求を見てとることができます。

他にもドストエフスキー、レイモンド・チャンドラー、スコット・フィッツジェラルド、レイモンドカーヴァー、カート・ヴォネガットなどたくさんの言及箇所を見つけることができます。

あなたがその作家たちに読書の手を広げれば、生命の樹形図をさかのぼるように、豊かな作家に会えるはずです。

例がひとつでこころもとないですが、あなたがエッセイや随筆を読めばそこに時空を超えて、作者に、あるいは作者の作品につながる本を見つけることができます。

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら

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