読書の効用は世界の解像度を上げて、より深く味わえること

こんにちは、たわら(@kentarotawara)です。

小説読んでいますか? いいですよね小説。

最近は読書欲が高まり、書店につい足を運び、目についた小説をとりあえず買ってしまいます。積読が増えるばかりです。

どうしてこうも小説に魅了されてしまうのか。

そこで、なぜこんなにも小説に魅せられているのかについての考えを記事にしました。

「小説ってあんまり読まないんだよな」「映画やマンガのほうが手っ取りばやいし」「そもそも小説を読むって楽しいの?」という方がこの記事を読んで、「そんなに言うなら」と言って書店に足を運んでもらえたらうれしいです。

1 登場人物に寄り添って物語をくぐり抜けることできる


物語に触れる醍醐味は、やはり主人公を中心にした登場人物に心を寄せることです。優れた物語の登場人物は知らず知らずのうちに読者の心に入り込み、気付けば読者は登場人物に伴走して物語を駆け抜けます。

登場人物に心を寄せることで読者はその登場人物の喜びを感じることができます。それには物語の構造が関係しています。

物語はざっくりいえば、登場人物が困難に直面して心が成長する、という構造になっています。悪を倒して己の信念を磨く、家族の死を乗り越える、借金を返す過程で仲間の大切さを感じる、などを例としてあげることができます。

単純化すれば、「 A → 困難 → A’ 」のようになります。

この過程を、読者であるぼくらは登場人物に心を寄せることで、彼らと一緒に心の変化を味わうことができます。自分では経験できないことを経験できるのです。ステキですね。

つまり、

「 ぼくらの心 → 困難 → (ぼくらの心)’」となるわけです。

もしその変化が、いまのあなたが求める心の変化であればきっと深く感動します。

面白いことに、自分が求めてる変化は自覚するのが難しいため、予期せぬ登場人物の心の動きに、いたく感動することもあります。あなたの知らない心の領域を、優れた物語が引き出したことになります。とてもステキですね。

同じ物語を接しても、お気に入りのキャラが知人と異なるのは、人によって求めている心の変化が違うことを考えれば当然のことです。

物語に接すると、心を預けた登場人物とともに困難をくぐり抜けて成長できる、というのが小説を読むステキな効用です。

小説以外の映画やマンガにもこの効用は当てはまりますが、登場人物の成り立ちが異なります。小説の場合は文章から想像して自分でその人物を立ち上げる必要があります。

心を寄せる登場人物を自分で生み出せる余地がある、というのにぼくは魅せられているのです。

2 ものの見方を学ぶことができる


新しい考え方を身に付けることも小説を読む喜びのひとつです。ぼくらのものの考え方は、生まれてこのかた学校教育、家庭教育、友人・知人による教育などが大部分を占めているはずです。

物語に接することで、自分とは違うものの考え方を学ぶことができるのです。

例えば、戦場で死んだ仲間に対する心の接し方として、悲しむ、のではなく、誇りを与えてあの世に送り出す、などの考え方を知ると、なるほどそういうものの見方もあるのか、と思わず納得してしまいます。

自分の殻を破るには、他の人間がどう振る舞っているのかを学ぶことが大切です。人生に降りかかる困難の対応の仕方のモデルケースを増やすことができます。

自分にはなかった困難に対する考え方、行動、生活習慣などを学ぶことで、感情の幅が広がり彩りのある日常生活を送ることができます。とてもステキですね。

こんなときあの登場人物だったらどうやって考えるだろう、と自分を相対化して考える力は柔軟な思考力を養ってくれるはずです。

3 世界観をより豊かにできる


ぼくらひとりひとりは世界観を持って生きています。死生観、性善/性悪説、社会秩序の原理、生きる意味など大仰なものからはじまり、好きなものを先から食べるか、映画館でポップコーンを購入するか、AppleかWindowsかなどの小さな項目まで網羅した世界観を持っています。

人間は独自の宗教を持っていると言い換えてもいいかもしれません。

なにごともひとつでは頼りないです。その世界観が壊れたり、信用できなくなったときに困ってしまいます。あるいは心を苦しめてしまうかもしれません。

読書を通して、世界観をより豊かにすることができます。

多くの物語に触れると登場人物の世界観だけでなく、著者の世界観を知ることもできます。

風景をどこまで細かく描写をするのか、ものの名前に正式名称を活用するのか、セリフの長さはどれくらいか、登場人物の交流をどこまで心理描写するのか、死をどのように扱うのか、どんな信念が繰り返し顔をだすか、特に、どんな困難を物語に用意するかなどから著者がこの世界をどう考えているのかがわかります。

だいぶ抽象的なはなしに入り込んでしまいましたが、著者が物語を生み出すとは、著者の世界をまるごと立ち上げることに等しいことを伝えたいのです。

鳥の羽ばたき方ひとつとっても著者によって違うのです。だから、死生観や社会観には大きな差が生まれているのです。

同じ著者の作品を続けて読むと世界観をつかみやすいです。世界観が繰り返し形を変えて表現されているからです。

村上春樹的な世界観、村上龍的な世界観、中村文則的な世界観など自分に合った世界観をいくつか持っているとあなたの世界観が生まれ変わる際に力強く助けてくれるはずです。

自立とはなるべく多くの他者に適切に依存することだと安冨歩は喝破しました。依存できる世界観をひとつでも多く持つことは生きていくうえであなたを助けるはずです。ステキです。

4 想像力により心象イメージを増やせる


ここまでなんやかんやと指摘してきましたが、小説だけでなく映画やマンガにも当てはまることでした。しかし、心象イメージを増やせるというメリットは小説を読むことに特に当てはまります。ただし実生活でどれほど役に立つかは自信がありませんが、、、。

映画やマンガと違って、小説は文字だけです。しかし読書をすると頭の中にぼんやりとその場面のイメージを浮かべることはないでしょうか。セリフであれば、はっきりとしないまでも声のトーンやしゃべるスピードをイメージするはずです。

この能力の作動によって想像力が鍛えられます。場面を頭の中に浮かべたり、登場人物を想像する力は、ビジネスシーンでマーケティングなどで役に立ちそうです。

ただ、ぼくが強調したいのは、それによって頭にビジュアライズされた映像そのものに価値がある、ということです。

物語の中のふとした風景は読了したあとにも心の深いところで浮遊しています。そして実生活のふとした風景や会話がトリガーとなって、想像した風景が頭に浮かんできます。ぶわっと。

その予期せぬ浮上には自分でも驚くことがあります。なんでこんなイメージが流星のごとく去来するの? と不思議なくらいです。

どんなことに役立つのか? これはよくわかりません。すみません。ただ結構気持ちいいです。ああ、あんな本も読んだなぁ、しみじみ。この位です。それで話が拡がることもありますが。

いまのところあまり効用を明確にできてはいませんが、ステキですよ。

5 世界の解像度を上げてより味あうため


小説を読む楽しみはひとそれぞれですが、ぼくにとっては、「世界の解像度をあげてより深く味わうため」というのが決定的な魅力です。

物語をひとつくぐり抜ければ、新しい人物に会うことができ、彼らの困難のくぐり抜け方を参考にすることができます。そのようなモデルケースを増やすことで生きていくために必要な柔軟性を手に入れることができます。

また読書を続けていると著書の世界観に触れることができます。多様な著者のさまざまな世界観に接することで、あなた独自の世界観をより豊かにすることができます。

新しい考え方、新しい世界観を読書を通して身につけることで、自分の考え方、世界観を相対化することができます。相対化を繰り返すことで、自己認識あるいは世界認識を改善することができます。

いままで目に見えなかったものが見え、聞こえなかった音が聴こえるようになります。世界への解像度があがったのです。

使える色の種類が豊富なほうが、絵を書くのが楽しいです。また、たくさんの色を識別できるほうが、絵の感動を深く味わえます。

読書をすればするほど世界への解像度があがり、新しい発見があります。ステキです。

さあ、本を読みましょう。

他にも文章自体を楽しむといった文体や言葉のリズムも小説を読むことの楽しさですが、こちらは別の機会にします。

読んでくださったかた、ありがとうございます。

たわら

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