ターナー賞2018候補|フォレンジック・アーキテクチャーの理論と展望
建築学会のウェブメディア、「建築討論」に書評を書きました。これをきっかけに、是非いろんな人に読んでほしい一冊です。
どんな本?
取り上げたのは「Forensic Architecture(フォレンジック・アーキテクチャー)」という、イギリスの国際捜査機関の活動について書かれた本です。タイトルは、『Forensic Architecture VIOLENCE AT THE THRESHOLD OF DETECTABILITY (検出境界線上の暴力)』。書評の冒頭を抜粋します。
「フォレンジック・アーキテクチャー(Forensic Architecture)」という組織の名を耳にしたことはあるだろうか。いわゆる設計事務所ではない。建築家、ソフトウェア・エンジニア、映像作家、ジャーナリスト、弁護士らを擁し、Amnesty Internationalなどの名だたるNGOと協働する彼らは、ゴールドスミス・カレッジを活動拠点とするイギリスの研究機関である。若干15名程度の彼らが取り組むのは、例えば国境警備隊によるデモ参加者の射殺疑惑、アレッポの病院に対する執拗な爆撃の解析、パレスチナを襲った空襲の被害測定など…。つまり、人権の侵害が疑われる事件の調査だ。
若干15名の彼らは、建築学の知見と情報技術を組み合わせ、"国家による人権侵害の疑い"をフォレンジック(=科学捜査)するという凄まじい知の実践を行っています。
ポスト・トゥルース、ポスト・デモクラシーが叫ばれる現代を象徴するような活動ですが、ファウンダーでイスラエル人建築家のエヤル・ワイツマンの活動は00年代初頭から脈々と積み上げられたものです。
世界最高峰の現代アートのアワード、ターナー賞にも今年ノミネートされてますが、日本語の資料はまだ多くはありません。理論と展望を中心になんとか3000字(7分位で読める量)にまとめたので、ぜひ。
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さらに詳しく知るには?
大学時代からの盟友、木原共(@kihara_man)がまとめてくれた、ターナー賞展示のレポートが白眉です。リンクから、ぜひあわせて御覧ください。(カバー写真は彼のレポートからお借りしています)
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