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2021年を振り返る ニーズを生み出す大変さ

こんにちは神山聴景事務所の神山です。

今年もあっという間に終わってしまいました!

特に下半期にかけて案件がドバッとやってきて、てんやわんや状態であります。

大きな収穫もありました。

様々なことがあった2021年。パンデミックが落ち着いたかと思いきやまた振り出しに戻るなど常に不安な環境下でデザインの普及に努めました。

どういうことを感じどんなことを実践してみたのかを書き綴ってみようと思います。

ニーズを生み出す苦しみ

ある経営者に聞いたことがありました。

「自分がやっているこの事業と○○さんがされている事業の大変さは変わらないんじゃないんですか?僕にはまだ競合が少ないけど〇〇さんの事業は競合だらけじゃないですか。」

しかし両者の中で圧倒的に違う点があったのです。

それはニーズ。

〇〇さん「僕の業界はニーズがあるけど、君の場合はまだ市場がほとんどないでしょ。だからそもそも必要性を訴えて価値あるものにしなければいけない。そこが決定的に違う。」

そう考えると、土台づくりを自分自身で作っていかなければならず、それが周りの人たちに理解してもらえるかわからない。というよりも自分が普及させようとしている聴景デザインそのものが間違っているのかもしれない。そんなことを考えながら日々苦しんでいました。

仏陀の言葉で人生は生まれた時からすでに苦行とあります。

それからさらに「苦」を自ら与え生きていかなければならないこの環境はとても耐え難いことです。

こんなことしなければどれだけ楽か、思っていることがあっても誰かがやってくれれたらいいと大半の人は思っているのではないでしょうか。

敢えて自ら苦しさを伴う行為を選択する意味がわかりません笑

それでもなぜこれをやり続けているのかというと、音環境を1つでもよくしたい、そして音に対してもっと世間が意識を持ってもらうことを切望しているだからだと思います。

自分が歳を取ったときに後悔しない生き方はこれをやる以外選択肢は無かったようです。

それに加えアーティスト活動もやっているという、明らかにどれかを諦めた方が少なからず楽になるだろと自分でも思うのですがどちらの活動も大事ですし、互いに影響しあっているのに容易に止めることはできません。

そんな葛藤や苦悩の中で起業してからこの2年間ほど闘ってきました。

ニーズを創出するには、クライアントがどんな課題を持っていてどのようなサービスを必要としているのか、当然ですがそれを見つける必要がありました。

アートも商業要素があればデザイン的な側面もありますが、ニーズなど考えなこともなかったのでそもそものビジネスの考え方を学ばなければなりませんでした。

何を求められているのか

音楽と聞けば、エンターテインメントの音楽をイメージすることが多いと思います。

音響業界ですと個人・法人向けBGM配信サービスしかありません。

オリジナル音楽制作会社もありますが、企業数は少なく主に広告・歌手用音楽まれに空間向けの音楽制作会社があるくらいです。

つまりニーズがものすごく少ないというのが現状なのです。

特にこれらはエンタメ要素の強い音演出が必要な空間にしか導入されないようなサービスになってしまいがちで、音の課題がそもそもなく音に拘りたい人が発注するような狭い世界となっているのです。

アミューズメントパークなどエンタメ空間には音演出は必須であるので一定のニーズはあるかもしれません。

それでも案件数は多くはないでしょう。

そんな中他の業界を見渡してみると、実に音環境は様々で問題を抱えている現場も多いことがわかりました。

特に働く環境ではそれが顕著でした。でも誰に相談すればいいかわからない。そんな状況で結局はその環境を野放し状態にしているといった事案が見受けられました。

かといってクライアントさんは音環境デザインを発注したことがないため、こちらが提示する金額に驚かれたり、費用対効果が明確でなくなかなか理解が得られないなどの問題がありました。

現場にどういう問題があってどのようなサービス形態にすると発注しやすくなるのか、クライアントさんの立場になって考え色々と工夫してみました。

資料内容や言葉による伝え方、この2年だけでも大量の資料を作ってきたと記憶しています笑

元々言葉を使うことが苦手だったこともあり、人よりも伝え方に苦労したんだと思います。

それからクライアントさんの音に対する関心度が低いことも問題でした。

音の良し悪しを判断しづらく音の教養があまりないのは、音を扱っている人たちがクライアント側に寄り添ってあげなかったことが最大の要因だと思っています。

音や香りは見えない分、理解するのに時間がかかります。

だからこそ他の分野よりも丁寧に説明することを心がけました。

求められているポイントは以下の3つになります。

・問題提議とデザインの話

・導入事例の取組と評価データ

・音環境のトータルコーディネート(発注までの流れ)

問題提議と音の話

音問題を共有することで音による関心や理解度を高めてもらうことができます。

共感を覚えやすい内容は興味を持ってもらいやすくなるので例えばクライアントさんが該当する環境の代表的な音問題を調査してまとめたものを提示したりしました。

それを踏まえてデザインの話をし、このデザインがいかに必要であるかを理解してもらいます。

導入事例の取組と評価データ

聴景デザインは今までになかったデザインです。

現在オフィス系の聴景デザイン案件が増えていることから該当する業界の方には都度伝わりやすい内容に修正しながらその環境特有の課題と取組みを説明します。

ですのでクライアントさんが属する業界のことを調査してから聴景デザインと結び付けて話すようにしています。

それから弊社で行った任意アンケートデータを提示して既存BGMと聴景デザインの違いを確認してもらっています。

1つ1つ丁寧にこうして伝えることを惜しまないことが大事です。

音環境のトータルコーディネート(発注までの流れ)

多くのクライアントさんは音楽や音に関するサービスを発注したことがありません。

あるとしてもBGM配信サービスくらいでしょう。

どのタイミングで聴景デザインを利用すればいいのか、音響設備はどうするのか、どんなスケジュールでことが進むのかなど始まりから終わりまでの一連の流れも詳しく丁寧に伝えるようにしています。

そうすることで安心して発注することができるようになります。

独自のサービス形式や仕事の進め方を一年近くかけて構築するのに参考になりそうなサービスがなかったのでかなり大変でした。

失敗した回数は計り知れません笑

クライアントさんにも迷惑をかけてしまったこともあるかと思います。

皆様の寛容な心に感謝しかありません。

新しいことをするって本当に辛いなと思います。

でも振り返ってみると僕はあまり人がやらないような事ばかりに手を出しているようです。

音楽にしてもこのデザインにしても。

音の潜在能力を最大限発揮するためにこれからも日々音のことを考えあらゆる音環境を体感し、デザインに生かしていきます。

そしてアーティスト活動も笑

ということで皆さん良いお年をお迎えください。



株式会社神山聴景事務所
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