音楽家/神山聴景事務所代表 神山健太

環境音楽を軸にした音作りで音楽活動する一方、聴景事務所としてオフィスやホテル、商業施設…

音楽家/神山聴景事務所代表 神山健太

環境音楽を軸にした音作りで音楽活動する一方、聴景事務所としてオフィスやホテル、商業施設などの音環境をデザインするサービスを展開しています。 代表の神山健太がデザインのことや音響業界の話、そして日頃思っていることを綴ります。

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サウンドスケープ視点で考える、持続可能なストリートピアノ文化

公共空間で音を楽しむことにこれだけ賛否両論があることに僕は悲しく気持ちになっている。 視聴形式はホール文化が出来上がってから、多くがそれに沿って音楽を営んできた。 そしてそれを良い意味で破壊してみたのが環境音楽だった。 環境音楽は楽器の音だけでなく空間に存在するあらゆる音を音楽と同様に楽しむ、そして演者はその空間特性を考慮して最適な音空間体験を提供する、というのが僕が見聞きした環境音楽の概念である。 まさにストリートピアノ文化は環境音楽的だと言える。 それは演者・聴衆・音

    • 音響設計レベルで考える心地よい空間作り

      神山聴景事務所の神山です。 どんな仕事でもコンセプトを元にあらゆる事柄を設計していくことが多いですよね? でもそれを続けてしまうのはとても危険なのです。 どう危険なのか、音響の面で話をしたいと思います。 その空間は誰のための空間?誰のためと言えば、利用者のためではないでしょうか。 空間を作る際に関係者がイメージするのは人のいない空間です。 人のいない空間を想定して心地よさを追求できるわけがありません。 利用者がそこでどんな行動をするのか、どれくらい滞在するのか、ターゲ

      • 2つの意味を持つサウンドスケープデザイン その2

        神山聴景事務所の神山です。 「その1」を書いてからかなり月日が経ってしまいました。 実は今回のパートが僕がやっているデザインの話になるのです。 「その1」は従来のまたは主流となっているサウンドスケープデザインの話。 「その2」では新しいサウンドスケープ(これから聴景デザインと呼びます)の話をします! おさらい前回のお話からだいぶ時間が経っているので、少し振り返ります。 建築由来のサウンドスケープというテーマで、国内外の活動を紹介しました。 例えば、交通騒音を抑えるた

        • 快適な空間を生むBGM設定の極め方 飲食店編 その2

          神山聴景事務所の神山です。 前回はすでに使用しているBGMの音量調整をまずはしましょうというお話でした。 今回は、楽曲選びの話をしたいと思います。 まずなんで音楽を導入するの?そもそもの話です。 皆さん、なんで音楽を導入しているんですか? 音楽があるとどうなるんですか?(煽ってすみません) まずなんで音楽を導入するのか、その理由を考えてから導入に向けてのつぎステップへ進んだ方が良いのではないでしょうか。 大手配信サービスの場合はレジ機能とセットになっていたりするので

        サウンドスケープ視点で考える、持続可能なストリートピアノ文化

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        • 音の話
          2本
        • 街の聴景を調べてみた。
          0本
        • 聴景デザイン
          5本
        • 快適な空間を生むBGM設定の極め方 飲食店編
          0本

        記事

          音楽活動で困っている方へ 音環境デザイナーがアドバイスします

          神山聴景事務所の神山です。 自分の音楽・音響デザインビジネスの経験から音楽家を目指している人や音楽家として活動している方により広く活動してもらえるような方法を少しずつお伝えしようと思います。 とはいえ僕も道半ばですけど。。。 主な音楽マーケットまず音楽には大きく3種類あると思います。 プレーヤー・プロデューサー・エンジニア 歌を披露する機会がかなり増えてきたのでプレーヤーの人口が圧倒的に多くなってきました。 それを抑えて支える意味でエンジニアがいたり、曲を編曲したり

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          音楽の道はパフォーマーだけじゃない

          神山聴景事務所の神山です。 僕は音楽家の傍らこうした音響デザイン事業をやっています。 実はこうした音響の世界に飛び込む音楽家の人は経験上少ないです。やっぱり花形の歌ったり、演奏したりするパフォーマーにみんなが憧れるし(僕もそうです)、何より楽しそうで華やかに見えますよね。 一方の音響の世界は実験じみていて地味みたいな印象があると思います。 当事者の方々はそんなふうに思っていないと思いますが、僕のように両方の世界にいる人間にとってはそのように感じてしまうことがあります。

          音楽の道はパフォーマーだけじゃない

          環境音って何だろう?

          こんにちは、神山です。 今年からは音のことについてより深く掘り下げて話していこうと思います。 今回の「環境音」です。 みなさん、環境音という言葉は聞いたことありますか?僕も最近頻繁に使うようになりました。 音環境という言葉もあるんですがこれはまた別の話。 環境音は何かというと、 ある環境に存在するある音 のことを指します。 うーん、表現方法はこれであっているのか。。。笑 多分言葉では伝わりにくいので画像を見ながら解説します。 飲食店でどんな音が聞こえてくる

          2021年を振り返る ニーズを生み出す大変さ

          こんにちは神山聴景事務所の神山です。 今年もあっという間に終わってしまいました! 特に下半期にかけて案件がドバッとやってきて、てんやわんや状態であります。 大きな収穫もありました。 様々なことがあった2021年。パンデミックが落ち着いたかと思いきやまた振り出しに戻るなど常に不安な環境下でデザインの普及に努めました。 どういうことを感じどんなことを実践してみたのかを書き綴ってみようと思います。 ニーズを生み出す苦しみある経営者に聞いたことがありました。 「自分がや

          2021年を振り返る ニーズを生み出す大変さ

          空間にただ音楽を流すだけでは意味がない

          神山聴景事務所の神山です。 あらゆる現場で音楽音響設計をしていますが、音楽をただ流しているだけでは何の意味もありません。 それが今の空間に対する音楽音響の関心のなさを表しています。 皆さんは音楽を聴くことはありますか?音楽を聴くと落ち着いたり気分が高揚したりしませんか? それを空間のブランディングと共にどうやって実現させるのか。 そこで「音響デザイン」の出番です。 皆様がイヤホンで聴いている音楽をそのまま空間で使用すると、どうなるか。 おそらくうるさくて耳障りに

          空間にただ音楽を流すだけでは意味がない

          音環境の設計が空間の質を左右する。

          弊社では音空間のブランディングから騒音対策(音のマスキングなど)による音環境の改善と質の向上を提供しています。 想像してください。飲食時の音環境、睡眠時の音環境、まちなかの音環境、仕事時の音環境が悪かったら気分が悪くなりませんか? その場所に相応しくない音楽・音量・響き・スピーカーの位置。。。 この様な場所、大変多いです。 快適環境を作るための音空間設計は、人間と空間と提供されるサービス、そして時間を考える必要があります。 音は空間作りの仕上げなんです。 弊社の手

          音環境の設計が空間の質を左右する。

          話題のホーム上シェアオフィス こんな音空間設計をしました。

          どうも神山聴景事務所の神山です。 まずは久しぶりの更新、ごめんなさい! Youtubeでも本件には触れますが、ここでも解説します。 今年の二月・三月に西国分寺・三鷹の両駅に日本初のホーム上シェアオフィスが誕生しました。 西国分寺駅下り 三鷹駅下り 三鷹駅上り 空間は六畳あるかないかくらい狭いです。 その中で音を流す。正直それが必要なのかどうかわかりませんでしたが、電車がひっきりなしに通るこの場所では音による仕掛けで快適な空間を作る必要がありました。 それぞれ

          話題のホーム上シェアオフィス こんな音空間設計をしました。

          20時で飲食店が閉まるって本当に楽しみが減って悲しいよ。 早く解除されますように。

          20時で飲食店が閉まるって本当に楽しみが減って悲しいよ。 早く解除されますように。

          2021.1.12

          横浜へ仕事のリサーチをしてきた。 寒いと言われているが思っていたよりも寒くない。 足の指はキンキンに冷えていますが… 実際に現場で体感しないとわからないことあるよね。 ちなみに昨日は家族でお墓参りをしてきました。 Ho fatto visita ai defunti. イタリア語でも日記を付けてるので、表現を覚えるためにもここに記しておく。 "お墓参りをしてきた" Defunto(死者)が原形で、ここではdefuntiと複数人なってるけど、先祖は一人じゃないからま

          2つの意味を持つサウンドスケープデザイン その1

          今回は従来のサウンドスケープ論をお話します。 サウンドスケープとは?この言葉聞いたことありますか?これはカナダ人作曲家のマリー・シェファーが言い始めた言葉なんです。 サウンドスケープは直訳すると「音景」になります。 サウンドスケープ論は80年代ごろから提唱され始めていますが、未だ建築系や不動産業界には認知されていません。 そもそもこれが提唱されたきっかけは、産業革命まで遡ります。 産業革命が起きてから生活環境が著しく変わり、労働者は工場などへ働きに行くようになりまし

          2つの意味を持つサウンドスケープデザイン その1

          命をかけて守るモノ、それは自分の知恵と知識、あとはオト

          命をかけて守るモノ、それは自分の知恵と知識、あとはオト

          環境音楽は社会環境を変化させる

          代表の神山健太です。 音楽と社会の関係性 今の世界ではというよりも昔からダンス系(心を鼓舞させる)音楽のマーケットがメインになっています。 そういった音楽がある一方で、クラシックや現代音楽など静かに鑑賞する音楽文化もあります。 産業革命以降、おそらく音楽文化はそのようにガラッと表層を変えていったのかもしれません。 今のダンスミュージックも、元を突き詰めていくとアメリカのジャズ文化が発端なのではないでしょうか? その後も白人と黒人の音楽が化学反応を起こしあい、今日の

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