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空間にただ音楽を流すだけでは意味がない

神山聴景事務所の神山です。

あらゆる現場で音楽音響設計をしていますが、音楽をただ流しているだけでは何の意味もありません。

それが今の空間に対する音楽音響の関心のなさを表しています。

皆さんは音楽を聴くことはありますか?音楽を聴くと落ち着いたり気分が高揚したりしませんか?

それを空間のブランディングと共にどうやって実現させるのか。

そこで「音響デザイン」の出番です。

皆様がイヤホンで聴いている音楽をそのまま空間で使用すると、どうなるか。

おそらくうるさくて耳障りになったり、すぐに飽きて曲を変えてしまうなど音楽が空間にとって邪魔な存在になってしまうでしょう。

でもそんなことが当たり前のように起きているのが今の音響の現状です。

スピーカーの設置場所によっても大きく聞こえ方が変わります。

座席の近くにそれがあると音は自分の近くで大きな音量で鳴っているのが容易に想像できると思いますが、長時間そこに居て居心地がいいとは思いません。

音響機器と音楽、それから空間の相性が大事になってきますから、この関係性を考慮せずに

特に飲食・仕事の場面ではそのような経験をよくします。

音楽の種類によってその感度が変わることはなく、スピーカーという音の発生源に近ければ近いほど音圧を受けやすくなります。

雰囲気に合いそうな音楽を流せば終わり。そんなふうに考えるのは大きな間違いであり、今後大きな問題が発生しやすくなるでしょう。

飲食店ではBGMに負けないくらい大きな声量で皆さん喋りますので、音の必要性に気づいていないかもしれませんが、その大きな声量を出させているのも実はBGMの効果が働いているという説もあったりするようです。

一方そのぶつかり合う声同士が空間に反響し不快に感じることがあるかもしれません。

本来はお客様にゆっくり過ごしてもらい、そしてたくさん注文してもらうことを目的としているお店でそんなことが起きてしまうとせっかくの空間演出が台無しになってしまいます。

逆に回転率を上げて薄利多売の商売をしなくはいけない居酒屋のような飲食店ではそこまで音楽の必要性がないと思うかもしれませんが、そんなことはないと思います。

どんな場所であれちゃんと設計されるべきです。

そしてそれが大きな価値すなわち利益に繋がる、それが理想的な目標であり私が目指しているところであります。

次回はオフィス音響の話をします。







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