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生産者と関わることとは何か?

という題名で、1月号の編集後記を書いた。

創刊当初から、生産者との「つながり」について、書いてきたし、話してもきた。つながることで何が生まれるのか?

食べ物を育てる人の想いを知ることで、より食材に感謝をすることかもしれない。
こだわった人が育てることで、おいしい食べ物に出会えることかもしれない。
生産者を通して、地球環境の変化について知ることができるのかもしれない。
これは、生産者に限らず、人とつながりを持つことで、色々と生まれることはあるのは事実だ。

そんな中で、僕ら、ちば食べる通信は、何をしたいんだろう?

先日、全国の食べる通信の編集長が集まる会議があった。
その中で、「文化は黙っていても残らない」という話を聞いた。

昔は、家の近くに田んぼや畑があった。僕が生まれた松戸でも、近くに結構な畑があった。それが今、どうなっているかと言えば、農地から宅地になっている。

家が集まっている中に、田んぼがあることがある。正確には、田んぼがあった所に家が建ったのだが、引っ越してきた人はそれを知らない。
「なんでここに田んぼがあるんだろう?農作業うるさいな。」という話はよく農家さんから聞く。

僕らが子どもの時にあった風景は、今うちの息子には同じ場所でも違う風景になっている。もちろん、僕らだって、生まれる前は、そもそも牧場だった話を聞いたりしているが、その姿は知らない。

街が発展することは悪いことではない。
僕が高校生の時に街づくりに関わりたいと思ったのは、両親の出身地である岩手県でトンネルが通ったことで、車の流れ、人の流れが変わるのを目の当たりにしたからだ。
「これはすごい」と思った。こんなに便利になるのかと。
不便な所に住んでいれば、やっぱり便利になることは嬉しいこと。

発展というのは悪い話ではない。と同時に、無くなっていくもののことも考えるべきなのかもしれない。うちの田舎も、ダムを作るために、街がダムの底に沈んだという話はある。決して、それが悪いとかではなく、そういうことも含めて、考えたり、知ったりはするべきなんじゃないかとは思うのだ。

特に、「食べる」ことは、生きていくためにも必要なことであり、そして、様々な文化が存在する。日本国内でも、知らない食べ物はあるし、食べ方も違ったり、世界に目を向ければもっと幅広い。

でも、僕らは知らないことが多すぎるし、知ろうとしないのかもしれない。
このままだと、食文化で無くなることは多いのかもしれないとも思う。

生産をする上でも、もちろん買ってもらわないと、作ることはできないし、成り立たない。そうすると、売れる食材ばかりが作られる。
スーパーに行くとよくわかるかもしれない。
じゃあ、売れない食材はいらないのか、、、
ではなく、実は食べ方を知らない、おいしさを知らないという可能性もあると思っている。そして、そこに挑戦している生産者さんは実はいらっしゃる。

文化は黙っていたら残らない。というのは、やっぱり発信をしなければ、それは知ることはない。だから生産者が発信することも大切だし、それを知るきっかけが大切なのだ。

僕らは文化を残そうということを掲げているわけではない、ただ、生産者とつながることが、結果としてそうなるのであれば、これはとても素晴らしいことであり、やる意義があり、やりたいと思う。

知らなかった食べ物を知ったり、 それを育ててる人のことを知ったり、 逆に食べている人のことを知ったり、 その人が本当に思った感想を聞けたり、 そういう関係ができるキッカケの一つにちば食べる通信や全国の食べる通信がなれば嬉しいし、そこに存在価値があるはず。

そういうことを思いながら、毎月、僕は千葉県の生産者の物語を届ける。
その物語を通じて、多くの方に生産者の想い、そして自慢の食べ物を知ってほしい。食べて知ってもっとおいしいを今年も引き続きやっていくので、文化を残すことにつながるこの取り組みにぜひ参加してみてください。

ちば食べる通信について、詳しくはこちらから→https://chibataberu.com/about/




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