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 おばんです(朝読んでいる方は、おはようござりす)。
 たまには、会計人らしいことを書きたいと思い、今、改めて勉強している管理会計から、特に頭に入れておきたいことをまとめてみます。

 今回は意思決定会計の原価のところ。ちなみに、ここでいう「原価」は、売上原価・製造原価のような狭義の原価でなく、経費も含めた広い概念で表現されています。

 意思決定のための原価は、すべて代替案別に異なる未来原価という共通の特徴を持つ。             
                 『管理会計 第7版』478ページより

 「未来原価」という響きがいいですね。

機会原価

 代替案の一つを選んだとき、他を断念した結果失われる利益のことを言います。よく言われる機会損失と同じ意味です。

 例えば設備投資をしないという選択をしたとき、したら得られたであろう利益のことです。イメージや頭の中で済ませることが多いですが、より重要な案件や、金額のインパクトがデカくなりそうなときは、できる限り数字を使ってシミュレーションしてみるべきです。
 機会原価は当然、行わなかった数字なので、試算表や決算書で表現されることはありません。なので見落とされがちになります。すべてこれをやるとキリがないので、重要な案件に絞って、数値で機会原価を測定し、その案を実行するかどうか決めると良いと思います。
 ただ、思いつきで数字を並べると、都合の良い数字、あるいは都合の悪い数字ばっかり出てくる傾向があるので、客観的に数字を見れる人などと一緒にシミュレーションすると良いと思います。


増分原価

 意思決定の結果変化する原価のことです。とやたら難しい表現になっていますが、まあ、皆さんが普段やっている、あるプロジェクトをはじめるとするとき、具体的に数字でシミュレーションして、採算が合うか測定することです。
 この分析をするときに特に重要だと僕が思っているのが、収益、原価の各構成要素の中で、どの数字が変動すると、採算に一番影響するか、ということです。といっても、小さい会社であれば、多くの場合が売上高か売上原価になろうかと思います。
 売上の影響が一番デカかったとして、売上の構成要素は、単価と数量で考えることが多いので、さらにどっちのインパクトがよりデカいのか。仮に数量だったとすると、数量の構成要素は、例えば新規客数とリピート客数があったとして、どっちが、採算を測るうえでよりインパクトがデカいのか。
 仮にリピート客数が、採算を測るうえで一番インパクトがデカいとしたら、リピート客が想定の半分だった場合、採算が合うのか?といった具合に分析し、最終的にその作戦をやるかやらないかを決めます。

埋没原価

 割とよく聞く「埋没原価(サンクコスト)」ですが、意思決定にとって関係のない原価を言います。意思決定にかかわらず、回収できない原価ともいえます。
 こんなのは無いに越したことないんですが、以外と身近にあります。せっかく買ったのに使わなかった、使いこなせなかったシステムやアプリなんかです。少額ならまだしも、高額のシステム投資・設備投資をしたが使いこなせず、放っておいてあるようなのを割とよく見ます。
 そうなるともったいないので、それを避けるためにも、増分原価の分析、代替案の評価をしっかり行いましょう、ということです。

 さっきの繰り返しになりますが、プロジェクトをやるときの採算の分析は、都合の良い数字しかひっぱってこないため、企画倒れにあるケースがしばしばあります。それがそのまま埋没原価になるわけです。

 要注意なのが、補助金を使って設備投資等をする場合。「どうせ補助金おりるから、とりあえず買ってみよう」的なノリでやって、埋没原価になることがよくあります。

 今後、事業再構築補助金など、補助金がより充実してきます。設備投資が埋没原価にならないように、分析・評価はしっかりしていきましょう。

参考文献



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