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地域を超えて学ぶ価値【お仕事レポ】

この記事は2017年12月14日のブログ記事を再編集しています。(内容は当時の記載になっています。)

2017年12月11日から3日間、鹿児島県南九州市頴娃町で活動しているNPO法人頴娃おこそ会の観光プロジェクトチームの方々と岡山県西粟倉村と兵庫県たつの市に訪れてきました。

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西粟倉村で学んだことを基に、地域を超えて学ぶことの価値がどこにあるのかを私なりにまとめてみました。

1.複数の視点からインプットを得る

ただ取り組みを知るだけでなく、その地域で起こっているプロセスを多面的に捉えるために複数の方にお話しを伺うようにしました。

今回の視察では、
西粟倉・森の学校とエーゼロ株式会社を創業された牧さん
Iターンでエーゼロ株式会社の立上げに参画された林さん
村の現状に向き合いチャレンジャーを支える西粟倉村役場の萩原さん
のお三方をはじめ、
エーゼロ株式会社の不動産関連事業で不動産の企画をされている森田さん
実際に村で行われたローカルベンチャースクールに採択され、西粟倉でハンドメイドの帽子屋さんをされているUKIYOの山口さん
にお話しを伺いました。

西粟倉村のこれまでの話や、それぞれのお話しを伺った方々にどんな変化があって、どのようなチャレンジをしてきたのかをそれぞれの立場からお話しを伺うことができました。

個人的には、小さな役場特有の仕事の進め方が今につながる起点であったり、「できる・できない」ではなく、「やるか・やらないか」を考える風土が組織にあったり、役場職員自らがどんな村にしていきたいかを考え、アクションされていることを改めて知ることができ、こんな心強い支えがあるからこそ多くの挑戦が生まれて、今の西粟倉の現状があるのかと再認識することができました。

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またエーゼロさんが大切にされている考え方の基になったフィールドや、実際に進んでいる現場を見ることでより理解を深めていきました。

"地域にとってのA0(エーゼロ)層"のような会社をめざして
多様な植物が繁茂し、生き物たちが棲息する森。日本は国土の3分の2が森に覆われています。
森を歩いたのは、いつになるでしょうか。
森の土の表面にある腐葉土層を、森林生態学の用語で「A0(エーゼロ)層」と言います。A0層が豊かであれば、土壌がしっかりと生き、川が守られる。生命を育むための大切な層です。
地域経済を醸す「地域にとってのA0層」のような会社でありたい。
社名の「エーゼロ株式会社」には、そんな願いを込めています。
A0層があるからこそ、森の物質循環が維持されることと同じように、私たちは、人口の減少など大切なものが失われていく日本地域において、人や自然の本来の価値を引き出し、地域経済の循環を下支えしていきたい。
そのために、スモールビジネスの創発や、地域の関係人口創出、情報発信、地域資源の活用などを地域に寄り添って展開していくことで、地域からさまざまなアイデアが育ち、豊かな土壌が広がっていくことをめざします。
https://www.a-zero.co.jp/aboutus/

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2.結果に学ぶのではなくプロセスに学ぶ

どうしても最終的な結果に目がいきがちですが、
・どういった経緯で始まったのか
・何がターニングポイントだったのか
・当事者にどういった変化があったのか
・どういったプロセスで仲間が巻き込まれていったのか
・マイルストーンとしてどのような出来事があったのか
などのプロセスで捉えることを意識的に行いました。

西粟倉で起きている結果を他の地域に持ってきても、前提条件が全く同じな地域はないわけで、どういった前提条件があり、どういったプロセスを経ると地域が望む結果に行きつけるのではないかと思います。

プロセスや背景をより見せることで、次にまとめている振り返りをより効果的に行えるようにすることがポイントになりました。

西粟倉村では、2004年に合併協議から離脱し、単独村制継続へ舵を切ったことが現在地に至るスタート地点となりました。
役場の職員数が30名ちょっとと、人的リソースも限られる中、一人で業務を完結していくことを求められる環境だったからこそ柔軟な対応力や民間との協業に結びついたのかと感じています。

また少し話が変わりますが、経産省若手次官PJに示された行政の限界と民が公を担う一つの可能性ではないかと感じました。

行政が全ての仕事を担わなくてはならない。というところから離れ、多くの業務の領域を民間との協業に切り替えていくことで、より柔軟な発想やより専門領域に対するチャレンジが可能になる。(良い意味でのあきらめ)
また行政は、今まで専門性が高くない中で多くのことを要求されてきていたが、その専門性の担保を民間に切り離すことで、本来取り組む仕事でもある地域の経営者として、どうすれば街にお金を引っ張れるかという仕事に集中して取り組むことができるのではないかと感じています。

というのと、現実に西粟倉村では、そんな変化がすでに起こっていると思います。

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3.振り返りと現状に立ち返る

また今回の視察ではインプットだけで終わらずに、現地でクロージングセッションを行いました。

「西粟倉はやっぱりすげー。」という一言に終わってほしくなく、

・視察の中で伺った話の内容や、自分自身が感じた気づきを整理する。
・自分の取り組みと比較して、どういった違いがあるのかを認識する。
・得られた知見を明日以降のアクションにどう活かすかを考える。
・アウトプットしたものに対話を通じて得られた気づきを加える。

ということを最後にまとめることで、参加していたメンバーが今後立ち返る一枚絵を作ることに取り組みました。

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ワークショップで作った一枚絵は、今後アクションを起こしていったあとに振り返るために貴重なギフトとして持ち帰れるものになったと思います。

ワークショップを通じて、現状を改めて認識し、何を目指していて、どんなアクションができて、視察で学んだことをどう活かすのか。をそれぞれの立場に立ち返ったときに、

・西粟倉で大切にされている価値観や考え方
・トップとしての在り方、組織との向き合い方
・起業家としての在り方、心構え
・行政の心境や行動・姿勢の変化

など、視察で得られた知見が参加された方に活かされていたのを感じました。

この視察を経て、参加者の心境の変化を生み出せたことやこれまでの取り組みに自信をつけることができたのも成果になったのかなと思います。(やはり参加する人を状況は選ばれるのと、効果的な学びの場の選定は大切ですね。)

4.越境して学ぶことの価値

日々、周囲で誰もやっていないようなアクションを重ねていると、周囲とのコミュニケーションや上手くいっていることから上手くいっていないことも含めていろんなことが起き、スタートから時間が経てば経つほど、取り組む意味や意義、方向性が見えづらくなることが多々あると思います。

そんなちょっと行き詰りつつある状況や、アクションを始めてから時間が経った方であれば、非日常の体験から得られた学び・気づきを言葉にすることで、内発的な動機付けに結びつけられると私は考えています。
また内発的な動機付けに加えて、他の地域に似たような経験や背景を持っている仲間ができることで、自らのアクションの軸が太くなり、しなやかに前進していく土台を作ることができることが価値になるんじゃないかと信じています。

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5.おまけ

これまで複数回、プレーヤー向けのフィールドワークを企画設計、実施してきた経験から、これからも地域でアクションしている方々が自ら前進していく力を高めていくために、西粟倉村をフィードに、『地域と地域が互いに高めあえるプログラム』を今後も企画していきたいと考えています。

対象は、「地域の中で何かしらのテーマでアクションしていて、ステップアップしたいプレイヤーの方」「地域おこし協力隊や職員向けの研修を検討している自治体の方」を主に活用いただける機会を提供したいと考えています。

毎回、西粟倉村に訪れて感じているのは、自分が本当にやりたいことを実現するためには、始めることを宣言しないと何事も進まないし、仲間も集まらないんだなと思っています。
そのためには、「本当に自分が何をやりたいのか」という問いを明らかにすることで進めるもので、私の中でも少しずつ姿が見えてきました。

もし関心がある方がいたら、コメントをいただけましたら幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!またリアクションいただけたら嬉しいです!

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