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【#7読書感想文】ラーゲリより愛を込めて

こんにちは。KENTAです。

本日は、辺見じゅん著書「ラーゲリより愛を込めて」の読書感想文を書いていきたいと思います。


概要(主観)

太平洋戦争の終戦間近~終戦後において、捕虜・戦犯としてラーゲリ(収容所)に収容された兵士たちの戦いの物語。

その兵士たちの帰りを待つ家族の苦しい戦いの物語。

そして、双方を繋ぐ希望の物語。

読書前予想文

1. なぜ泣けるのか

なぜ泣けるのか。

僕は、「ロシアと日本にいる2人が懸命に生きようとしている」ことが交互に分けて書いているから、泣けるのではないかと思います。

ロシアのラーゲリで山本幡生が懸命に生きようとしているけれども、日本でも格闘しながらも、待ち続けている妻や子どもたち、母親がいる。

そういうことが、ラーゲリでの出来事を邪魔しないくらい(数ページ分)入っているからこそ、頑張って生きてほしいと思える。

実際に、手紙が日本から送られてくる場面でも、読者には「ラーゲリ側から得られる情報」でしか日本での状況は伝わっていませんでした。

また、視点がコロコロ変わることも関係しているかなと思います。

松田や新谷、原、相沢などなど…

コロコロ変わるだけでなく、その人の考えや葛藤が厚く語られているからこそ、それぞれの発する言葉の重みが増して、辛く感じたり、泣けるのだと思います。

2. この本の大テーマ

大テーマは、「希望」だと思います。

この本のタイトルにもあるように、これは壮大な遺書だと僕は思っていて。

山本幡生の人生の大きなテーマでもある「希望」という言葉は、ラーゲリでの生き様にも現れていて。

今の平和な日本では、希望という言葉はそれほど珍しいものではない。

けれども、戦争下、しかもラーゲリでの生活においては、あまりにも珍しい。

それでも、その生き方を変えなかった。

生き方を変えず、貫き通したからこそ、仲間に愛される男になった。

仲間にもその「希望」を分かち合ったからこそ、亡くなってもなお、こうして語り継がれる物語となった。

そして、その希望を紡いでくれる人が現れたからこそ、こうして物語となり、「希望」を持つことを忘れない大切さだけでなく、「戦争の恐ろしさ」や「今の生活の有難さ」を多くの人に思い出させてくれた。

3. 文の表現

文章丸々そうだ、というわけではないんですけど…

セリフの後に、「誰々が、○○で△△しながら、□□(行動)した」

みたいな感じです。

「ありがとう。山本くん。おかげでこの手紙を読むことができました」
原は涙をいっぱいにためながら、山本に感謝した。

辺見じゅん「ラーゲリより愛を込めて」p.165

「なんで俺には届かねえんだ・・・・・・」
バラックの隅で、片膝を抱えた相沢が、暗い目で呟く。

辺見じゅん「ラーゲリより愛を込めて」p.165

それに加えて、ものすごく丁寧に状況を説明しているなと思いました。

セリフより、その状況説明に力を入れているなと。

例外として、緊迫している状況など、読者を前のめりにさせたい場面では、セリフが詰まって入っている感じがしました。


ちゃんと使い分けているんだなぁ、と。面白いなぁ、と思いました。

読書感想文

めっちゃ、泣きました。

久しぶりにティッシュをちゃんとした使い方をしました(笑)

どこの文章も、すごく残酷で苦しくて、なのにどこか暖かくて。

けれども、やっぱり終盤に尽きるなと。

人が亡くなるときって、こんなにも美しくて、はかなくて、発する言葉のどれもが美しいんだな、と。

不謹慎ながら思いました。

そして、その美しい言葉の中でも、更に「本当に伝えたい思い」が綴られた遺書は、残されたものたちにとって、大事なものなんだと思いました。


限られた時間の中で交わされる言葉は、これから亡くなる人にとっても、これから生き続ける人にとっても、その人と交わす時間は限られているからこそ、美しくなる。

そんなことにも気がつきました。

そんなことに気が付いたとともに、あとどのくらい大切な人と一緒にいられるんだろう、と思い、泣けてきます。

大切な人と残された時間は、僕らからでは分かりません。

今、何が起きるか分からない。

だからこそ、今の生きている時間を大切にしたい。

陳腐な言葉ではあるけれども、そう深く思った。


残された時間を精一杯生き抜きましょう!


映画、観たかったなぁ!

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