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TikTokが信頼される理由は「ノイズの少なさ」。いま、Z世代が情報収集に利用するTikTokの秘密

僕と私と株式会社では、2024年1月〜2月にかけて全国1,154人のZ世代を対象に「Z世代×TikTok」に関する調査を実施しました。

今やZ世代にとって欠かせないSNSとなったTikTok。

最近若者の間で流行っている音楽や「猫ミーム」などの社会現象も、TikTokから話題になったものがほとんどであり、近年のトレンドはTikTokを中心にまわっていると言っても過言ではありません。

また、ぼくわたでは複数の企業でTikTokアカウント運用を行っています。最近では「学校法人 了德寺大学」のTikTokアカウントを企画・プロデュースし、投稿開始1ヶ月で総再生数約390万回を超えるなど、大きな反響もいただきました。

このnoteでもたびたびTikTokの効果について発信していますが、改めて数字を見るとたくさんの方に見ていただけていることを嬉しく思うとともに、それだけ多くの方に短期間で拡散されるTikTokというプラットフォームの偉大さを感じています。

今回はこのような背景を踏まえ、最近のZ世代はどのようにTikTokを利用しており、どのようなことを感じているのかを調査結果から読み取り、僕なりの見解をお話します。


「ググる」時代はもう終わり。Z世代の情報収集のリアル

この調査では、日常的にTikTokを利用する全国のZ世代(15〜27歳) 1,154人に、TikTokの利用状況や、TikTok上での広告・プロモーションへの意識などを聞きました。

・調査を行ったZ世代のうち、全体の約7割がTikTokの利用経験がある
・1日の視聴時間は「1時間以上」が7割を占める

など、さまざまなTikTok事情が判明し、個人的にも興味深く結果を見ていました。特に興味深かったのは、以下の2つの項目です。

TikTokをどのようなシチュエーションで使用しているか質問したところ、1位の「暇つぶし」に続いて「情報収集」が2位にランクイン。

調べるモノ・コトをジャンルに分けて情報収集に使用するSNSを尋ねる質問では「家電」「日用品」の項目で、TikTokがX(Twitter)、Instagramを抜く利用率になりました。

これは、ここ数年で一気に情報収集の手段が増え、Z世代がSNSやメディアなどの媒体を使い分けて情報収集を行っていることを示しています。

これまでの情報収集は、YahooやGoogle検索がスタンダードでしたが、「美容」ジャンルではより多くの商品を知るためにInstagramを使い、「推し活」ジャンルでは横のつながりを得られるX(Twitter)を使う…というような形で、SNSの強みと調べたいことによって無意識レベルで媒体を使い分けているのです。

もう画像や文字に騙されない。「動画」による口コミで、失敗を防ぐ

では、TikTokによる情報収集の強みとはなんなのでしょうか?
なぜZ世代は、TikTokを利用して情報収集を行うのでしょうか?

1つ目は、本物の情報を得やすく、参考にしたときのイメージが伝わりやすいことです。

Z世代の消費の特徴の1つに、失敗を恐れる傾向があることが挙げられます。

「購入した商品が思ったほどよくなかった」「お金・時間を無駄にした」と後悔することを避け、まわりのアドバイスや口コミを見て情報を吟味するのです。

▼こちらの記事で詳しくお話しています

TikTokに投稿される動画は、テキストや写真と比べて誤魔化しが効きにくいメディアです。

例えば食の分野では、写真では雰囲気が最高でメニューも美味しそうだと感じていたお店が、行ってみたら期待していたほどではなかった…という現象が起こりがちですが、動画であれば乖離は起きにくいでしょう。

また、15秒〜30秒ほどに情報がまとめられた動画では、店の外観と内観、メニューを網羅的にチェックできます。タイムパフォーマンス(タイパ)意識のZ世代にとって、リアルな情報を効率的にインプットできるTikTokは、まさにぴったりなツールだといえます。

見つけたい投稿に早く辿り着ける。TikTokは“ノイズ”が少ない

2つ目の特徴としては、余計な情報に邪魔されない点が挙げられます。

皆さんはインターネット検索でお店を検索する場合、どのようなサイトを参考にしていますか?きっと多くの方が「地名 ジャンル」もしくは「地名 ディナー おすすめ」などのキーワードで検索をかけ、上位のサイトをチェックしているのではないでしょうか。

僕は、この方法はたしかに有効なものの、情報に「ノイズ」が発生すると考えています。

検索ブラウザのアルゴリズム上、誰もが知る有名店・人気店が優先的に表示されたり、スポンサー記事にPV数が集中したりするため、知られざる名店や自分好みのお店を見つけるのが難しいのです。

さらにTikTokは「ハッシュタグ検索」によるノイズが少ないツールだともいえます。

その投稿が何について書かれており、どんなコミュニティに向けて発信されているのか表すために使用する「#(ハッシュタグ)」。TikTokは、ハッシュタグ検索を行った投稿を純粋な「いいね順」に表示でき、良い評価を集めた投稿を簡単に閲覧できます。

当たり前のように聞こえますが、実はInstagramやX(旧Twitter)では検索結果をいいね順に見ることができません。代わりにこれらのツールでは、他の人からよく見られている投稿が検索上位に上がります。

その結果、クリエイターのなかには「人に見られるため」の施策を考案し、今話題になっているXの「インプレ稼ぎ」など人のタイムラインを邪魔するような形で閲覧数を稼ぐ人も現れるようになりました。

Instagramでもハッシュタグを多様なジャンル・コミュニティの人に届くように複数つけるマーケティング手法が流行り、検索欄にはハッシュタグとは直接関係がない投稿も表示されるため、本当に探したい投稿が見つけにくいケースが多く見られます。

関係のない投稿に邪魔されず、本来見つけたい投稿に早く辿り着けること。これも、若者が情報収集手段としてTikTokを活用するようになった理由の1つなのではないでしょうか。

ちなみに、僕もディナーやカフェを探すときにはまずはTikTokを参考にしています。

詳しいメニューはお店のホームページやグルメ情報サイトを見ますが、単純に「気になるお店」を探すときは、直感的にさまざまなお店を見られるTikTokのほうが良いお店が見つかりやすいのです。

Z世代が「家電」や日用品をTikTokで調べるわけ

調査のなかで、Z世代が情報を集める8つのジャンルのうち、最も多くTikTokが活用されていたのは「家電」「日用品」でした。

これは、家電や日用品は自分のライフスタイルと似ている人の意見を参考にするのが良く、個人的な意見を重視する一方、使い勝手や色・大きさなどはしっかりと見て決めたいと考える層が多いからだと考えてます。

また、TikTokは他のSNSと比べて匿名性が高いからか、コメント欄が活発なSNSとなっています。投稿にも「これ、買ってよかった!」「私の家には合わなかった」など多くのレビューがつくことから、一気により多くの意見を取り入れることができるのです。

こういったコメントのつきやすさや「程よく深く、程よく広く」調べるのに適したTikTokの特徴から、家電・日用品ジャンルにおける情報収集では他のSNSよりも多くTikTokが使われているのだと考えています。

親近感+ハイクオリティなTikTok広告は、Z世代の興味を惹く

インターネットやSNSの「ノイズ」といえば、代表格にあげられるのは「広告」でしょう。「#PR」のついた投稿や10秒間動画を見なければスキップできない広告動画など、普段スマホやパソコンを長時間利用している人ほど、悩まされている方は多いと思います。

今回の調査では、そんな広告についてちょっと意外な結果が出ていました。「どのメディアで見た広告に興味を引かれますか?」という質問に対して、TikTok(32.8%)がすべての世代で1位となったのです。

ちなみに続いて2位となったのは「テレビのCM」で、「Instagramのストーリーズ」と答えた割合は20%程度に留まる結果に。特に若年層ほど、TikTokで目にした広告に関心を持つ傾向があることもわかりました。

この背景には、TikTok広告の「親近感」が影響していると考えています。やはりクリエイティブのクオリティにおいてはテレビCMが最も高い一方、スマホで撮られた動画や手作り感のある企画は良い意味で広告感がなく、多くの人にとって馴染みがあるものです。

SNSネイティブは口コミや友だちの意見を重要視するという側面があることから、興味の惹かれる広告とはよりユーザー目線に立ち、共感されやすい内容で訴求したものだと考えられます。

ちなみに、TikTokには国内の店舗・サービスが制作した日本人のための広告が流れます。YouTubeやアプリなどと違ってすぐに広告をスキップできることから、好感度が高いのも特徴です。

そんな「飛ばしても良い」広告プラットフォームでもちゃんと投稿を見てもらえるよう、コンテンツとして面白く、最後まで見ようと思える広告を意識して作成しているのも、TikTok広告の特徴だと言えるでしょう。

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Z世代がエンタメだけでなく、情報収集の目的でも使用するTikTok。多くの情報からより自分に適した正しい情報を得るため、今後もZ世代は積極的に検索エンジン以外のツールも活用していくことが予想されます。

このnoteでは、Z世代経営者の僕がZ世代の最新事情や日常で感じたことを発信しています。経営者やZ世代の皆さんの役に立てる情報をお話したいと考えていますので、ぜひスキやコメントお願いいたします!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。他にもこんな記事を書いているので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです!

※このnoteは個人の見解です。

今瀧健登について

今瀧健登 / Imataki Kent(Twitter:@k_hanarida)

僕と私と株式会社 代表取締役 
日経COMEMO キーオピニオンリーダー
一般社団法人Z世代 代表
書籍『エモ消費』『Z世代マーケティング見るだけノート」など

1997年生まれ。SNSネイティブへのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』、お酒とすごらくを掛け合わせた『ウェイウェイらんど!』などを企画。
Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代のコメンテーター。
日経COMEMOではZ目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。

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