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Yale Summer Session Law Seminar (8/8) - Wrap-up

今回でYSSの振り返りは最終回とします。総括等を書いていきたいと思います。

(写真は、寮の部屋です。)


YSS総括

総じて言うと、合計5週間に及ぶYSSは、いずれのClassも大変充実しており、来たるLL.M.への準備という意味でとても有意義なものだったと思います。それを前提に、プログラム全体を関して特に感じたことを以下に書きます。なお、個々のClassに関する感想は、別途書いておりますので、以下の各記事をご参照下さい。

課題の負担感・日々の取り組み方

いずれのClassも課題が相当に出ます。そもそもアメリカで勉強するということについて、内容面・お作法面いずれにおいても、あまり慣れていなかったこともあり、課題による日々の負担感は重く、平日はずっと予習・復習していた感じです。また、土日も稼働する前提で宿題は出されるので(まあ
当然ですが)、週末も何らかの準備はしていました。ただ、旅行等に当てる時間が全くないというわけでもなく、後述のとおり、旅行等もエンジョイできました。

課題が相当量出ると言っても、結局どのタイミングで何が出るかは、予めSyllabusに記載があることもあり、事前にある程度予測できます。つまり、職場で働くのとは異なり、Urgentなタスクは発生しにくく、スケジュールはmanageしやすいです(所詮学生なので当たり前ですが。)。ただ、限られた授業外の時間の中で(多くの場合、放課後から翌朝までに使えるのは数時間程度)、英語で読み・書きの準備をし、その上で現場で英語で聞き・話し、その後また準備をし…というサイクルを何度もリピートするので、仕事をしているのと同じような興奮はありました。また、仕事するのと同じ類のタスク管理・タイムマネジメントは求められたと思います。

なお、Law Classでは、毎日複数のCaseが課題として出されますが、これへの取り組み方は、時間との関係で中々難しいです。全文読んでいる時間は中々ないというのが現実ですが、やはり原則論・理想論としては、現場での英語の聞き取りに自信がない以上、全文精読するのを目指す必要があると思います。

クラスへの貢献

クラスにどのように貢献するかも、5週間通じて色々考えさせられた問題です。なお、そもそも、YSSの成績評価はCertificateを与えるかどうかだけなので、点数が出されるわけではありません。したがって、いわゆるparticipationにgradeが与えられているわけでもないので、別に貢献がどうとか考える必要はないのです。とはいえ、せっかく出席するからには何らかの貢献をする(存在価値を出す)必要はある、そうしたい、と思っていました。

という意欲・気持ちはあったものの、問題は、やはり語学力でして、現場での英語の聞き取りに自信がないとなると、発言する機会も一気に限定されてしまいます。

ただ、一定の限界はありつつも、日本の法律実務での経験を活かして、少なくとも以下の観点では貢献できると考え、かつ実際に貢献できたと思っております。

  • 実務的な示唆を提供する。
    :最低限何のトピックが話されているかを理解できれば、なにがしかの実務面からのインプットをすることは可能であり、かつ、多少英語が拙くても貴重なインプリケーションになるはずです。

  • 議論を整理し、ロジックを組み立てる。それを文章に書く。
    :例えば、Debateのチーム内で議論して、それをopening statementにまとめる場面が分かりやすいです。雑多なアイディアをロジカルに整理して、かつ、法律家っぽいstatementに仕上げるというのは、実務家ならではの貢献ができるところです。

  • グループワークに際して、ゴールに向けたロジを整える。
    :どのタイミングで打ち合わせを入れるとか、最終的なプレゼンから逆算していつまでにどのようなプロダクトを作成する必要があり、それをどのようにチーム内で分担するかとか、極めて実務的な話です。およその仕事がそうであるように、誰かがロジを敷く必要があります。この点、当然ながら、学生よりは一日の長があるところです。

  • 文字でのコミュニケーション(チャット)で積極的にインプットする。
    :クラス全体のグループチャット(Whats App)があり、授業外で情報交換がされますが、そこでのコミュニケーションは当然文字ベースになるので、貢献するチャンスがあります。

なお、山口真由氏のHarvard LL.M.の留学記(確か、以下のもの)を以前読んだのですが、Speakingだと自分がどれだけ考えているのか中々周囲に伝わらなかったから、いかに自分が色々考えているかを周りに示すために沢山「書いた」(例えば、授業後に教授に感想のメールを書くとか)、というエピソードがあった記憶です。このエピソードについては、5週間のカリキュラムを経た私自信、問題意識及びそれに対するソリューションのいずれについても、十二分に共感できるところです。

以上のとおり、色々もがいてみた結果、日本法実務家としてのアピールもできたのではないかと思うところです。課題を迅速かつ正確に理解する能力、正確な文章作成能力、課題解決へのコミットメントの強さなどは十分に伝わったのではないかと思います。他方、英語面については、「日本人は英語ができない」というステレオタイプ?の増強に一役買ってしまったかもしれませんが…。

(※2023年9月10日追記)

折につけて、英語面での苦労を書いてきたような気がしますが、参考までに私のTOEFLのスコアも書いておきます(留学出願前である2022年5月頃に取得したものです。)。

TOEFL Score (May 15, 2022)

なお、Readingについては別の機会に30を取ったこともあるようですが、上記のTotal 109の回では29に留まったようです。

LL.M.への抱負

YSSでの経験は、それに続くLL.M.で何を、どのように学ぶか(科目選択)に関する考え方にも大きく影響を与えました。もちろん科目のSubstanceも重要ですが、授業の進行スタイルなどの観点からは、概ね、以下のような方針で望みたいと思います。

  • 論文・プレゼンなどのアウトプットの機会を重視する。

  • グループワークの機会や、intractiveな機会を重視する。

Side Story (1) - 生活面

Mainstreamについて総括が終わったところで、Side Storyも少し書いておこうと思います。まずは、Yaleでの生活面についてです。

住環境

On-Campus or Off-Campus?

YSSにアプライする際に、On-campus/Off-campusでの生活いずれかを選ぶことができるのですが、私はせっかくなのでOn-campus(寮生活)にしました。クラスメートの多くは、On-campusだったように思います。なお、Off-campusの場合、マンスリーで借りれるサービスアパートメントみたいなのがNew Haven内にも結構あるみたいです。

College

寮は、いくつかのCollege(Trumbull、Berkeley、Hopperなど)にまたがっています。各CollegeごとにGateがあって、その中で生活が完結する(Dining Hallやら、Laundryやらが備え付けられている)のが原則です。おそらく英国の大学に似ているのだと思います。私は、TrumbullというCollegeでした。

Room

寮の中には、Suite Roomと、個室がそれぞれあります。私は個室でした。

部屋の備品について、ベッド、机、椅子などはあります。ただ、枕・シーツ・ブランケットはないので、自分で持参する必要があります。自分の国から持ってくるか、YaleのBookstoreなどNew Havenに来てから購入するかのいずれかです。私は、すぐ使うのが分かっていたので、日本から持っていきました。

また、備品を語る上で最も重要なのが、部屋にエアコンがついていないということです。New Havenの7月はそれなりに暑い(日中は摂氏30度を超えます。)のでそのままではしのげません。したがって、Fanを買う必要があります。Fanは、日本から持っていくのが難しかったので、Bookstoreで買いましたが、USD 40でした。

なお、エアコンがないことについては、Yaleから事前に送られてくるメールで説明があったので全くの予想外というわけではなかったですが、建物の素材的に暑さがこもりやすい(かつ、私の部屋があったのが最上階の4階だった)ので、部屋の暑さは想像以上でした。

また、部屋が通りに面していたこともあってか、外の音が非常にうるさかったです。夜もです。(おそらくNew Haven特有の問題な気もしますが、)夜になっても音楽を爆音で鳴らしている車が結構多いので、最初は眠りにつくのも苦労しました。加えて、私の部屋は4階でしたが、エレベーターはありません。したがって、荷物を運ぶときや、脚トレをした後などは、文字通り絶望しました。

寮なので、トイレ・シャワーは共用です。必要最低限という感じのシャワールームでした。

以上のとおり、寮生活は基本的に過酷です。

食事

他方で、Dining Hallでの食事は充実していました。

まず、寮生活では、3食×7日の食事が無料でついてきます(もちろん、その分Off-campusを選ぶより、学費が高いわけですが。)。ビュッフェスタイルです。食事内容は、非常にバランスがとられていて、すべてのメニューにカロリー表示が付けられています。Health-consciousな人には満足度が高いと思います。

私は趣味(Bodybuilding)の関係で体重を記録する習慣があるのですが、日本で最後に測ったときと比べ、YSS終了時(すなわち5週間経過後)には、5kg程度痩せることに成功しました(元々、減量したいと思っていたのでよかったです。)。

運動

私は運動する習慣があるのですが、YSSの期間も運動は続けていました。

まず、朝の有酸素ですが、New Havenは、それなりにきれいな街なので、まあまあ走りがいはあります。毎朝走ってました。

そして、何より、Yaleのジムはとても充実しています。Payne Whitney Gymというジムです。できた当初は全米の大学で一番の規模を誇っていたと聞きました。このジムはとにかく盛況でして、朝6時のオープンと同時に行ったことがあるのですが、その時点で結構混んでました。ジムでの学生のトレーニグを観察していましたが、結構我流でやっているように見えるものの、皆真剣に取り組んでおり、フィットネス大国であることを感じました。

なお、当地では、トレーニングギアを使うトレーニーは少ない印象です。床ひきのデッドリフトを、ベルトもグリップもなしで行っている人が結構います(なお、私は、ベルト・グリップどころか、マウスピースもつけてトレーニングしています…。)。YSSのクラスにもトレーニーが結構いたので、クラスメートと合同トレーニングを何回かしました。

Payne Whitney Gym

Side Story (2) - 旅行や、人々との出会いなど

New York City

クラスメートと2人で行きました。一緒に行った方は、NYC初めてだったのですが、私は3回目だったので、私が案内した感じです。ただ、Brooklynは私も初めて行きました。

ホテルの高さには驚きましたね。。。あと、人が多くてもうあんまり来たくないな、と思いました。

Dambo

Boston

クラスメート4人で行きました。全メンバーが建設的な提案をするタイプだったので、だいぶスムーズに計画が進みました。金銭感覚も同じ感じだったので、ストレスも少なかったです。

なお、New Haven - Boston間の移動は、Greyhoundを使ったのですが、復路のGreyhoundが1時間以上待っても現れず(しかもweb上のreal updateを見てもなんの説明・到着見込みも書かれていない。)、結局、Uberを使って帰る羽目になりました。後日、契約違反であると主張して、Greyhoundにrefundを請求するメールを送ったのですが(1st draftを私が担当し、他のメンバーにreviewしてもらいました。)、Greyhoundによると、T&Csに「なんの連絡がなくても2時間は待て」と規定されているので、今回はrefundは不可とのことでした(なお、我々が去った後、実際に、当初の到着予定時刻から2時間以内にGreyhoundが到着したのかは不明です。)。Uberを使ったことにより追加的に要した金額もたかが知れていたので、メンバーで相談して、今回は諦めることにしました。

Fenway Park

Martha's Vineyard

東海岸の富裕層が、夏の避暑地?として訪れることで有名な島です。米国内初となる商業ベースでの洋上風力発電所が建設中と聞いていたこともあって、かねてから関心があったので、この際行ってみました。HartfordのConnecticut Supreme Courtの見学から直接行ったのですが、車で2時間、フェリーで30分という感じでした。)。発電所自体は、沖合のだいぶ遠くにあるようなので、建設現場を見ることはできませんでしたが、自転車で島を一周したところ、中々いい島でした。

??? Beach in Martha's Vineyard

印象的な出会い

ある日、Texas Ragersのシャツ(←将来のTexasでの生活を見据えて日本で購入済み)を着ながらYaleの図書館を歩いていたのですが、突然、Texas出身の元教授(既にリタイアしている)に話しかけられました。TexasのLL.M.に行くことを話したら、色々教えてあげるよ、と言われ、仲良くなり、結局、New Haven滞在中に4回会うことになりました(一緒にハイキングしたり、サウナ行ったり)。Texasに移住してからも、Texasの歴史に関する書籍を送ってくれるなど、関係が続いています。

また、YaleのOutdoor Centerに遊びに行くツアーに参加したときには、Law Seminar以外の生徒(多くはUndergraduate)も来ていたのですが、そこで私の母校の大学から来ている大学2年生の方と知り合いになりました。私が大学生だったときは、在学中に夏休みを利用して米国の大学に留学するなんてあまり聞いたことがなかったですが、最近の大学生は意識が高いですね。医者志望でかつ米国で働きたいとのことだったので、Bostonの病院でポスドクをしている知り合いを紹介してあげました。若者に知り合いを紹介したくなるのは、年をとった証拠かな…と思いました。

映画鑑賞

New Havenでは、計3回映画を見ました。Oppenheimer、MI 7、Barbieです。

世界中で話題になっているOppenheimerですが、公開当初は特段興味がなかったものの、世界中で日本だけ公開が決まっていないという興味深い話を聞き、それ以降、急に「日本人として、ぜひともこの映画をアメリカで見ておかねばなるまい」という謎の使命感に駆られ、見に行くことにしました。

なお、見た映画いずれも字幕はなく、行く前は全く聞き取れずに寝てしまうのではないかと不安でしたが、映像だけで多少は理解できることが分かり、また、映画鑑賞をし始めた時点でそれなりに米国生活スタートから時間が経っており、「全部は聞き取れないので、限られた情報から推測する必要がある」という状態にだいぶ慣れていたこともあり、意外と眠くはなりませんでした。

日本人留学生同士のつながり

初回に多少書きましたが、YSSには4人日本人留学生がいました。この横のつながりがあったお陰で、YSSは何倍も楽しくなったと思います。日本人同士はやはり苦労している点が似ているような感じだったので、まさに苦楽をともにした感じです。授業中もチャットで、聞き取れなかったAssignmentを確認し合ったりしていました。

今後のLL.M.では、日本人は私一人だけなので、このような横のつながりは期待出来なさそうです。ただ、それはそれで自分が求めたことではあるので、別の楽しみを見つけていきたいと思います。

今後の投稿について

以上で、YSSの振り返りを終わりたいと思います。今後も私の米国留学は続く(むしろLL.M.こそが本番)ので、書くべき内容がまとまったところでまた何か書きたいと思います。

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