EURO イタリアの変貌と大会特徴
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「サッカーアナリストのすゝめ」
さて、世界大会も大詰めを迎え、EUROもコパ・アメリカも決勝進出国が決まりましたね。
そんな中、私個人的に好きな国「イタリア」が決勝までコマを進めました。なので、今回は決勝を前にして彼らの変貌ぶりをテーマにしながら今大会の戦いぶりと決勝戦の予想をイタリア目線でしてみようと思います。
彼らは開幕戦で登場しました。相手はトルコ。その時のスタメンがこちら。
1-4-3-3と表記しますが、これは守備時の話。それも1-4-5-1が正しいでしょう。
かつてのイタリアに詳しい方であれば分かると思いますが、彼らは守備の国と言われ続けてきましたし、実際の戦いぶりもそうでした。
ですが、守備をベースにして大会を勝ち取る、もしくはリーグ戦でも優勝しているチームが少なくなってきたことを受け、ロベルト・マンチーニ監督は変革にチャレンジしました。
この変革の大変さは、横浜F・マリノス時代に経験済みなので良く分かります。それを国単位でやっているわけですから、想像を超える大変さがあるのだと推察します。
話をイタリアに戻しますが、守備時の話とした理由は、イタリアの試合を「見れた」人からすれば分かりますね。攻撃時は可変するからです。表記するとすれば1-3-2-5ですかね。ただこれも意味はありません。
現代サッカーにおいてフォーメーションの数字表記はどれも正解でなくなるくらい「動く」からです。
1-3-2-5とも言えるし、1-3-4-2-1とも言えるし、1-3-4-3とも言えると。つまり、意味がないんです。
必ず後ろが3枚というわけでもなく、例えば左サイドバックのスピナッツォーラ選手が引いて4枚になっているシーンもあります。そうなると「3バックとは言えない」となります。どこを基準に表記するかで変わってしまうのであれば、表記すること自体が無意味ですね。
今大会はイタリアのみならず、
システムやフォーメーションという概念をなくした中での戦術
が広まった印象があります。
その背景には、相手も試合中にこのシステムやフォーメーションが戦術的に変わるため、それに対応することによって形を変えることもあるからだと思います。
例えばその時のトルコ代表です。予想では1-4-1-4-1でしたが、実際の試合ともなれば、ユスフ・ヤズジュ選手がジョルジーニョ選手を警戒するために1-4-4-2のようなケースもありましたし、オカイ選手が下がってアンカーのような立ち振舞をしていたシーンもありました。さらには、60分過ぎからは1-4-4-2でも中盤をダイヤモンドのような形にして、イタリアのバレッラ選手とロカテッリ選手に対してのパスコースを防ごうとした戦術も見られました。
ちなみにイタリア代表がこちら。
このように、どの国も試合中にめまぐるしくシステムや配置を変更しながら対抗してくるので、自分たちもそれに合わせて少しずつポジショニングを修正するといった細かな駆け引きが行われています。
それに対して、イタリアはかつてないほど「ポゼッションを高める」ことで打開を図ります。ゴールキック時は両センターバックがGKと同じラインまで落ちてピックアップし、ピッチを幅広く使いながら前進を狙います。
奪われずに進入できれば、左サイドバックのスピナッツォーラ選手が相手のサイドハーフの高さやそれを越えるくらいの高さまで上がり、それに合わせて左ウイングのインシーニェ選手が中に入ったり、左インサイドハーフのロカテッリ選手が下がってバランスを取ることもします。一方で右ウイングのベラルディ選手はワイドに張り、空けたところに右インサイドハーフのバレッラ選手が上がることで選手間の距離を一定にしようとします。
ところが、これを「毎回するわけではない」のです。
相手の陣形を見たり、相手のどこのスペースが有効かを考え、例えばインシーニェ選手が外に張ることもあります。ロカテッリ選手が上がることもあるし、バレッラ選手が下がることもあると。
これを戦術的と言うなれば、以前に比べてイタリアは格段に変貌を遂げたと言えるでしょう。それができる選手が揃ったとも言えます。
そんなこんなで、その試合を見た中で各局面ごとに気になった事象をまとめたのが上記の図です。メモベースなのでまとまっていませんが。
第2戦のスイス戦も同様に、相手の守備時1-5-2-3に対して、どこが空くのか、そこに誰が進入すべきかなど考えながら攻撃を組み立てます。
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