マガジンのカバー画像

狂言和らいの案内書

5
わたくしが好きな狂言を気ままに解説した記事をまとめてござる
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

狂言のことばは知らずとも分かるモノが多ござる『二人袴』の三

狂言のことばは知らずとも分かるモノが多ござる『二人袴』の三

和ろうてござるか〜弁慶の人形やエノコロ(イヌ)
饅頭を買う約束を取り付けた上にも
奥さんの実家へ兄に付いて来てくれと云う聟

一人で行けと云いつも、ごねる弟に押し切られ
仕方なしにも付いて行くことにした兄は
まあまあ弟に甘いお兄ちゃんでござる

大事な袴を弟の腰に結わえて道行でござる

ここで弟を先導しながら兄
「聟入り、と申すものはツ〜ッと晴れいなモノで
 垣からも、窓からも、ただ目ばかりじゃに

もっとみる
狂言『二人袴』の弐 兄は弟の婿入り支度に手を焼いてござる

狂言『二人袴』の弐 兄は弟の婿入り支度に手を焼いてござる

和ろうてござるか〜今の世とは異なる聟入りのお話はすでにしてござるが
要するに自分の妻の父親(舅)に挨拶に行く儀式のことでござる

ただ一人で行く場合もござるが
この二人袴では、付き添いが要るのでござる

演者の歳格好に合わせて
聟が息子、付き添いが父親であったり
聟が弟、付き添いが兄であったりしまする

思えばわたくしは親子の二人袴は観たことがないようでござる

さて舅が名乗り、太郎冠者に用を言い

もっとみる
狂言『二人袴』は聟入りのお話、さて室町時代の聟入りとは

狂言『二人袴』は聟入りのお話、さて室町時代の聟入りとは

和ろうてござるか〜わたくしは十八年前の二〇〇四年に結婚いたいてござる
結婚の前にはお妻様の御両親に挨拶に伺うてござるが

狂言の中では結婚した男は、結婚した後、日を改めて
妻の父親の元へ挨拶に向かうようでござる
すなわち義理の親の顔もまたお家の様子も知らず
新婚生活を始めているようにござる

聟入りとは妻の家に養子になることにあらず

つまとなる娘の親から見た夫を婿(むこ)と申すが現世の通例でござ

もっとみる