八正道と六波羅蜜
お彼岸に菩提寺から頂いた冊子より
心に止めておきたい事項を抜粋し
日記代わりに書かせて頂きます
仏教には
東南アジアなどの上座部仏教
日本などの大乗仏教の
二つの流れがあります
上座部仏教の僧侶は
修行の項目として
八正道を重視して 生活しています
【八正道】とは
悟りに至る実践を説いたものです
お釈迦様は創造の神を否定して
全てのものには
それなりの原因があって生じると考えました
そうした考えの上に立って
自分を律する八つの正しい徳目を
定めたと考えられます
それが・・
① 正見
ものごとを正しく見ると言うことです
② 正思
正思惜の略で
ものごとを深く考えることです
③ 正語
正しい言葉 良い言葉を使えばどうなるか?
悪い言葉を使えばどうなるか?だから
「正語」を使う修行を行います
④ 正業
「しょうぎょう」ではなく
「しょうごう」と読みます
業は行為です
正しい行為を正業 悪い行為を悪業と言います
⑤ 正命
「命」は生命でなく生活を意味し
正しい生活をすることです
⑥ 正精進
「精進」は「励む」ということ
正精進とは正しい努力をすることです
⑦ 正念
「念」は思い考える「思索」で
その内容が正しくなければいけません
⑧ 正定
精神統一 を図るということ
この精神統一 が最終の目的であって
精神統一 をするためには
正しく見!正しく思い!正しく語り!
正しく行い!正しく生活をし!
正しく励まなくてはいけません
それによって精神統一 ができていく!
と言うのが【八正道】の教えです
【六波羅蜜】とは
大乗仏教の六波羅蜜には八正道に無い
「布施」と「忍辱」があります
実は この二つが大乗仏教の他者救済の性格を
強く表すものと言われています
六波羅蜜は六つの要素で成り立ちます
「布施」「持戒」「忍辱」
「精進」「禅定」「智慧」
の六つです
八正道と六波羅蜜の最も違うのが
「布施」になります
八正道は基本的には「我一人」
悟るための修行の道を示したものです
他人に対して積極的に何かを働きかける
ということは言われていません
六波羅蜜の「布施」は
積極的に他人に対して行うものです
「利他の精神を持ちましょう」と言うのが
六波羅蜜の大きな特徴だと思います
「利他」が最終的に「自利」につながる
「自利利他円満」の世界を目指す事なのです
般若心経で「般若波羅蜜多」と言う言葉があります
般若波羅蜜多と六波羅蜜は関係があります
六波羅蜜の詳細を見ましょう
大乗仏教の見方では
人間が完成していくためには
六つの道筋があり
その 一番目は ①「布施」
つまり「与える」というところから始まります
原始仏教では八正道の「見る」が
最初でしたが 大乗仏教になってくると
「与える」事が一番大事になります
布施というと お寺や僧侶の方への
お金や物品を想像すると思いますが
本来の布施の意味は
【人のために善行する】ということです
与えるには何か資財が必要ですが
【無財施(資財がなくてもできる布施)】と
いうものもあります
例えば「微笑み・愛語」など
手ぶらでも人を幸せにする布施を
仏教は高く評価します
【財施】
お金や衣食などを必要としている人に
無償で与えること喜捨とも言い
相手を思って見返りを求めず
喜んで差し出すことが大事です
【法施】
仏教の教え等を相手に伝え
精神面で安らぎを与えること
仏教の教えに限らず 自分の持つ様々な知識で
周りの人を助けること
【無畏施】
相手の持つ恐怖や不安という心を
取り除いて安心させること
この三つが「布施」といわれるものと
されていますが・・
お金が無い人・教える知識が無い人でも
普段の生活で できる七つの布施があります
【眼施】慈しみ・優しい眼差しを持って人に接すること
【和顔施】和やかで 穏やかな顔で人に接すること
【言辞施】優しい言葉 思いやりのこもった言葉を使うこと
(愛語施も言辞施と同じ)
【身施】自分の身体を使って様々なことをすること
(人が嫌がることを進んで行うなど)
【心施】心の底から人を思いやること
【床座施】席を譲ること・相手に安らげる場所を与えること
(壮座施も同じです)
【房舎施】困っている旅人に泊まる場所や休憩する場所を与えること
以上が「布施」です
「持戒」「忍辱」は
八正道の「正語」「正業」「正命」に通じます
②「持戒」「戒」とは「いましめ・決まり」です
「決まりを持つ」と言う事です
ただし「戒」には「慎む」という意味もあります
仏教では多くの戒律がありますが
一般の仏教の信徒も守るべき
五つの戒律があります それは
「不殺生戒」生き物を故意に殺してはならない
「不偸盗戒」他人の物を盗んではいけない
「不邪婬戒」不道徳な性行為を行ってはいけない
「不妄語戒」嘘をついてはいけない
「不飲酒戒」酒類を飲んではならない
他にも十戒律と言う 怒ってはならない
他人を陥れるような事をしてはいけない等々
③「忍辱」ただ耐えるというだけではありません
「認める」というニュアンスがあることを
心に止めておきましょう 例えば
災難など好ましくない事柄であっても
「私が受ける災難は私への指名」であって
誰にも代わってもらえない!と諦観するのが
「認」すなわち「忍」と同じ意味です
苦しい事も 恥ずかしい事も
避けては通れない人生で それらに
耐え強い心を養うことは重要ですし
相手から辱めなどを受けたりしても
その相手を赦す寛容な心を養うことが大切です
④「精進」は八正道の「正精進」と同じ
精進とは怠けず 正しい努力をする事を言います
八正道にもありましたが「励む」と言う事
悪いことをしていたのなら それを止め 今後はしない
良いことをしていたのなら それを続ける
まだしていない良いことがあれば
それを始める
悪いことは悪い結果を生み
良いことは良い結果を生みます
⑤「禅定」は八正道の「正定」「正念」に通じ
精神統一 を意味します
心身を安定することです 心を静め常に
落ち着いた心を持つための修行をする事を意味します
⑥「智慧」は八正道の「正見」「正思」に通じます
智慧は「般若」とも言い
「大乗仏教では精神統一の先に智慧波羅蜜」
智慧の完成のための手段であり
智慧の完成が最終目的になります
般若心経は「空」という
仏教において とても大事な真理を説明しています
「空」とは何かを理解すると
慈悲という 相手を思う本当の考え方がわかります
布施という六波羅蜜の実践が本当の意味で
「相手のため・自分のため」の行為になります
苦しみが なぜ生まれるのかがわかるようになり
苦しみや辱めに耐える強い心を
養うことができるようになります
六波羅蜜がただの綺麗ごとと思っていた人も
「六波羅蜜はとても深い教えだ」と感じるかも知れません
しかし 理解しても それを実践することは
全く別次元で とても難しいことです
それでも六波羅蜜や般若心経を
ただの教えや呪文としてではなく
実用的な物の見方として身に着けると
人生の様々な苦しい出来事に対する見方も
変わることと思います
こころのみち59号
お彼岸・八正道と六波羅蜜より抜粋
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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