見出し画像

新型コロナの渦中に、南の島に行く。

南太平洋の島ですよ。そう言われたのは2020年のたしか2月頃でした。そして本決まりになったのが4月。

アフリカから帰国してから既に7年が経過し、そろそろまた海外で仕事をする話になることは想定済み、母の病状が思わしくないのでできれば近い国がいいなと思っていたので、南洋の島国を持ちかけられた時にもそこまでの驚きはなく。

しかし新型コロナの感染が世界的に広がり始め、前の年の11月や年明け2月に予定していた海外出張がキャンセルになっていて、そんな時期に南の島になんか赴任できないよな。

案の定、太平洋の島国はどこも我先にと外からの人の入国受け入れを厳格化し始めました。島という孤立した環境では一度ウィルスが入ってきてしまうと手に負えない、十分な医療体制もないので仕方ない。とりあえず国境を閉じるしかない。

・・・それから1年半近く経ちました。島の人々の感染症に対する過剰なまでの恐怖心も相まって事実上の鎖国が続き、感染者ゼロを記録してはいましたが、海外に取り残されて帰国を希望する自国民にさえ入国を認めないなんていうことをいつまでも続けるわけにもいかず、極端に厳格で神経質な検疫管理措置と引き換えに、少しづつ少しづつ、外からの人を受け入れ始めています。

その1年半の間に母が他界し、四十九日が過ぎ、初盆まで迎えました。母が最期に僕にかけた言葉は「いつ行くとね?」でしたよ。

母よ、その答えは2021年8月でした。あなたの初盆の法会の後、すぐ。

検疫だの隔離だの消毒だの、成田を出発して2週間が経ってもまだ最終目的地に着いていないけど、どこにいても海を感じられる小さな町で、自分史上4か国目の海外勤務が始まろうとしています。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?