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【介入効果の計量分析🌟】「日本の為替介入の分析」:経済論文解説 No.23 2023/08/25


Introduction:卒業論文は早めに仕上げたい💛

私もいよいよ卒業論文の執筆に
取りかかる時期がやって参りました👍

何事もアウトプット前提のインプットが
大事であると、noteで毎日発信してきました

これは、どのような内容で
あっても当てはまります👍

論文を一概に読んでも
記憶に残っていなかったり
大切な観点を忘れてしまっていたりしたら
卒業論文の進捗は滞ってしまうと思います

だからこそ、この「note」をフル活用して
卒業論文を1%でも
完成に向けて進めていきたいと思います

私の卒論執筆への軌跡を
どうぞご愛読ください📖

今回の参考文献📚

今回、読み進めていく論文は
こちらのURLになります👍

『日本の為替介入の分析』 伊藤隆敏・著
経済研究 Vol.54 No.2 Apr. 2003

前回の内容📖

回帰分析をした結果🌟

今回、着目した先行研究では介入効果測定の為にGARCHモデルが使われていました📝

先日の投稿では、このGARCHモデルに基づく回帰式が理論とどのように整合しているのか、ということを考察しました🎊

$$
\\
GARCH(1,1)  Process\\     \\s_t -s_{t-1}=\beta_0+\beta_1(s_{t-1} -s_{t-2})\\    \\+\beta_2(s_{t-1} -s_{t-1}^T)+\beta_3Int_t+\\    
 \\\beta_4IntUS_t+\beta_5IntIN_t+\epsilon_t\cdot\cdot\cdot(2)
\\     \\      \\where,\epsilon_t=v_t\sqrt{h_t}  with   v_t\backsim N(0,1)\\   \\h_t = \alpha_0 +\alpha_1\epsilon_{t-1}^2+\alpha_2h_{t-1}
$$

まずは、以下の表をご覧ください📝
回帰分析した結果が、この表にまとめられています😊

推計結果:介入効果の回帰分析

また、今回のキーポイントである全期間と
その期間をほぼ前半と後半に分けた推計から得られた結果
も記載されていると思います👍

なぜ、このように期間を分けて分析したのか、筆者は以下の理由を述べています

まず、前半と後半の分かれ目を、榊原英資氏が国際局長に就任した日としています

これは、以前の投稿内容で、ご紹介したように、①同氏自身が、介入政策の手法などを変えたと言及していることと
②たまたまその時期が、10 年間の観察期間の半分くらいの時点だったということ
という2点を踏まえ構造の安定性テストのために、サンプル分割することが、適切だったからという理由に基づいています

推計結果の正しい解釈👍

以下では、GARCHモデルに基づく回帰分析の結果を正しく解釈することを試みます

再掲:回帰分析の結果

日本通貨当局の介入の効果(β3<0)

日本通貨当局の介入の効果(β3 < 0)
全期間と、後半の観察期間では
統計的有意であると判断することができます😊

しかし、前半の観察期間では、効果が無かったという結果になってしまっています💦

なぜならば、介入意図に基づく理論に対して
符号が逆で、かつ、統計的に有意になっているからです

この 10 年間の前半と後半で、結果が逆になっていることについては、次のような説明が考えられる、と筆者は述べています

①もし榊原氏の言うことが正しければ
為替介入政策の運営手法により効果が異なりうることになります

すなわち榊原氏およびその後任の介入責任者の介入手法が効果的であり、榊原氏の前任者の介入手法は効果的ではなかったことになるのです

介入手法がどうこうに依らず前半の効果を持たない、という結果は、特定の中でも特定の
期間の結果かもしれない
ということになります

そこでこの問に対して、筆者は
同様の回帰分析を、前半のさらに二分割して
行っていますので、一緒に確認します☺️

その結果、単独介入が、理論とは逆の符号を
統計的に有意であったのは
1993年4月1日から1995年6月20日の観察期間であることが判明します👀

つまり、100円から80円へと突き進んだ
超円高期を含む観察期間において、単独介入が逆効果であったこと
がわかりました📝

アメリカの通貨当局による同時介入(β4<0)

また、アメリカの通貨当局による(同時)
介入は、全期間、前半、後半を分けた場合
それぞれについて、いずれも強い効果を持った(β4 < 0)ことがわかります

なお、同時介入の効果は、係数の値から
判断すると、日本の通貨当局の単独介入の
なんと20倍の強さで為替レートに与えるインパクトを持っていた、と解釈することができるのです

1週間以上間を置いた「最初」の介入(β5 < 0)

日本の通貨当局の介入でも、1週間以上間を
置いた「最初」の介入(β5 < 0)の効果


それ以降、連続的に行う介入よりも
為替レートに与えるインパクトが強い
ことも
全期間について、確認できます👍

つまり、このような結果から介入頻度に対して、しばらく介入していなかったときに
介入するということが、通貨当局のシグナルを送る効果がある(=Signal Effect)ことを示唆していると解釈することに間違いはないと言えるのです📝

介入効果の規模に対する考察

次に、介入効果がどの程度の大きさも持っているのかを推計結果から考えることにしましょう

再掲:回帰分析の結果

まず1900 年代後半の期間について考察します

日本通貨当局の介入の効果を反映する係数β3は、β=-0.0000009という数値でした
この係数の値によれば1000億円の介入は
為替レートを約0.1%動かすことを示唆している
ことになります📝

また、回帰式の係数であるβ4=‐0.000051とは、アメリカの通貨当局が1000 億円分の
円売りドル買い介入を(日本が介入した日に)することによって、為替レートを 5%も
円安方向へ動かす事
を意味しています👍

すなわち同時介入は、為替レートに与えるインパクトが、単独介入の50倍以上の効果であったと解釈することができるのです🔥

また、1週間以上介入が無かった後の「最初の介入」の効果はβ5によって推計されます

同様にして考えると為替レー トを
約0.2%動かすインパクトを有していること
を意味しています

過去のデータを見ると、1000億円規模の
介入
は頻繁に実施されていました

しかしこの介入が、為替レートの変動において0.2%の効果を持っていたことを大きいと見るか、小さいと見るかは、意見が分かれ るのではないでしょうか?
私は、若干効果が小さいのではないか感じてしまいます💦

また、円高が進行しているときに、介入によって、少なくとも円安方向に、あるいは、稀には、1兆円規模の介入も行われていた点も踏まえるとGARCHモデルに基づく回帰分析の結果によれば、1兆円の介入では、2%の円安を引き起こすことができるのです👍

本日の解説は、ここまでとします
このような歴史や先行研究をしっかり理解した上で、卒業論文執筆に取り組んでいきたいです

今回、私が卒業論文執筆において取り上げる
24年ぶりの「円安是正」介入は本当にレアな経済政策
ということを再認識できたような気がします💖

私の研究テーマについて🔖

私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝

日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)

経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します

だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています

決して学部生が楽して執筆できる
簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています

ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥

本日の解説は、以上とします📝

今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように
努めてまいりますので
今後とも宜しくお願いします🥺

マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
卒業論文執筆への軌跡
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠に有難うございました!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

この投稿をみてくださった方が
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考え方の引き出しが増えた!
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今後とも何卒よろしくお願いいたします!

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