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【連結会計 Part⑤】ダウンストリームによる未実現利益の連結修正仕訳📚:エッセンシャル会計学 No.46

今回は、成果連結(ダウンストリーム)に対する連結会計処理を学習します!

具体的には商品売買・土地の未実現利益、そして貸倒引当金に対する連結修正仕訳について考えていきます。
親子会社間の取引によって生じた債権債務や収益費用は、連結上、相殺する必要があります。
この際、発生する可能性がある未実現利益はどのように処理するのでしょうか?

基礎的な演習を含めて、一緒に学んでいきましょう💛


会計・財務についてもっと学びたい🔥

会計業務や経理、財務、簿記についての基本的な知識を持つことは、ビジネスパーソンにとって重要であると感じています。

今後、定期的に投稿していく【エッセンシャル会計学シリーズ】では、会計業務の重要性から経理や財務の役割まで、私が勉強したことをわかりやすくアウトプットしていきたいと思います🔥

さらに、経理業務の具体的な内容や財務業務の目的、簿記の種類と特徴についても詳しく掘り下げていきたいです💛
そして、日商簿記検定2級合格を最終的な目標として会計学を勉強していきたいと思います!

ビジネスにおける財務情報の管理や経営判断の基盤となる知識を身につけるため、ご一読いただけますと幸いです💖

前回のお復習い📑

未実現利益とダウンストリーム🎀

まずダウンストリームとは、親会社(P)が子会社(S)に商品等を販売する取引のことを言います。
反対に、子会社が親会社に販売する取引をアップストリームといいます。
※アップストリームは次回解説します!

今回は、未実現利益に対して、ダウンストリームによる会計処理を学んでいきます!

以下では、未実現利益について考えていきましょう!
親子会社間で商品売買を行う場合、利益を加算して販売しています。しかし、この利益は、企業集団からすれば内部取引から生じた利益です。
したがって、連結財務諸表では消去する必要があるのです。
具体的には、子会社の期末商品に含まれる未実現利益を消去するのです。

商品売買に関する未実現利益の消去

以下では、①未実現利益が生じない場合、②未実現利益が生じる場合という2つのケースを想定し、未実現利益について考えて行きましょう!
まずは、①未実現利益が生じない場合です
・X1期に、P社は500円で仕入れた商品を、S社に1,000円で販売した(利益500)
・X1期に、S社はその商品を1,500円で企業集団外部の会社に販売した(利益500)

この場合、個別上では、合計1,000(P社:500、S社:500)という利益が発生しています。
なお、この合算利益は連結上において、一致していため修正は不要です。
すなわち、P企業集団が500円で仕入れた商品を1,500円で販売した(利益:1,000)という流れと同じです!

次は、②未実現利益が生じる場合を考えましょう。
・X1期に、P社は500円で仕入れた商品を、S社に1,000円で販売した(利益500)
・X1期末において、S社はその商品を在庫として保有している(利益ゼロ)
このように、個別上においてP社は500円の利益を計上していますが、P企業集団としてみれば企業集団外部に売却しておらず実現していない利益(未実現利益)が発生しているのです。
よって、 連結上においてこの未実現利益を消去することがポイントとなります📝

そして、期末商品に含まれる未実現利益の消去は以下のような会計処理となります。
つまり、親会社から仕入れた商品を子会社が期末に保有している場合、当期の連結修正仕訳において、未実現利益を消去(利益のマイナス)します。
具体的には、「売上原価」 勘定(費用)を増加させる(⇒利益の減少という考え方)のです📝

そして、期首商品に含まれる未実現利益の実現、すなわち翌期の連結修正仕訳についても考えましょう。
通常、商品は翌期中に販売します。
よって、子会社が企業集団外部の第三者に商品を販売した場合、連結上、未実現利益が実現するのです!
この際、貸方には「売上原価」として前期に計上した費用を減少させ(当期利益のプラス)、貸方には利益剰余金(純資産の減少=前期利益のマイナス)として対処するのです。

それでは、ダウンストリームの商品売買に関する未実現利益に対する会計処理について、以下の仕訳例題で演習しましょう!

P社とS社は支配従属関係にある。
そこで、次の資料に基づき、必要な連結修 正仕訳を示しなさい。 <前提事項>
・P社はS社に対して商品を販売している。
その利益率は30%である。
⑴X1期のS社の期末商品棚卸高には、P社から仕入れた分が20,000円含まれている。
X2期のS社の期首商品棚卸高には、P社から仕入れた分が20,000円含まれている。

$$\\
未実現利益:ダウンストリームの連結修正仕訳\\\begin{matrix}\\No.&借方:金額&貸方:金額\\(1)&売上原価:3,000&商品:3,000\\     \\(2)&利益剰余金:3,000&売上原価:3,000\\   \end{matrix}\\
$$

利益率と利益加算率💴

実際の問題文をよく読みながら対応しましょう!
利益率:在庫金額×利益率=未実現利益
加算率:在庫金額÷(1+加算率)×加算率=未実現利益

この2つの式はしっかり覚えておいてください✨

例えば、8000円で仕入れた商品を10,000円で販売した場合、利益は2,000円ですね。
なお問題上、この利益額2,000円を算定する方法として次の2つがあります。
①利益率:P社は利益率20%で販売している。
②加算率:P社は原価に25%の利益を付加している。
②の場合、S社の期末商品10,000円から未実現利益2,000円は$${期末商品10,000÷(1+25%)×25%=2,000}$$ように算定されます。

総じて、ダウンストリームにおける商品の未実現利益に対する連結修正仕訳は、以下の通りです。

$$
\\\begin{matrix}\\&借方&貸方\\期末商品&売上原価××&商品××\\       \\期首商品&利益剰余金××&売上原価××\\  \end{matrix}
$$

土地の売却に関する未実現利益

以下では、親会社が子会社に土地を売却した(ダウンストリーム)場合に親会社側で生じる土地売却益について考えて行きます!
このような土地売却益は、連結上、 未実現損益に該当します。
よって、連結修正仕訳において、「土地売却益」勘定(収益)を消去し、同額を「土地」勘定(資 産)から減額させることで当該未実現利益を消去します📝
すなわち、企業集団で見れば土地の売却はなかったことになりますね。
このため土地売却益を取り消し、土地を元の金額に戻すのです。

それでは、仕訳例題をひとつ演習していきましょう!
P社とS社は支配従属関係にある。
そこで、次の資料に基づき、必要な連結修正仕訳を示しなさい。 ⑴当期にP社は帳簿価額35,000円の土地をS社に38,000円で売却した。

$$
\\解答:土地の売却の未実現利益\\\begin{matrix}\\土地売却益:3,000&土地:3,000\\\end{matrix}\\
$$

なお、翌期以降の連結修正仕訳については以下の通りです。
基本的に購入した土地は翌期以降も使用し続けることになります。そのため、企業集団外部の第三者に売却することはないでしょう。
よって、商品と異なり、未実現利益は翌期に実現しません。このため、翌期の連結修正仕訳では開始仕訳のみを行うのです🔖

$$
\\翌期以降の連結修正仕訳:土地のダウンストリーム\\
\begin{matrix}\\利益剰余金××&土地××\\\end{matrix}\\    \\※借方は前期の損益項目であるため、利益剰余金
$$

このような点をしっかりと覚えておきましょう!
問題文をしっかり読んで、会計年度別で開始仕訳を作成できるようにしたいですね✨

貸倒引当金の消去

結論、貸倒引当金の消去に関する連結修正仕訳(ダウンストリーム)については以下のようになります。

$$
\\貸倒引当金の消去(ダウンストリーム)\\\begin{matrix}\\借方:金額&貸方:金額\\貸倒引当金××&貸倒引当金繰入××\\\end{matrix}
$$

このように、親子会社間の債権債務の相殺消去に伴って、 貸倒引当金の設定対象となっていた債権を相殺した場合、その債権に対して設定された貸倒引当金も消去する必要があります。
上記のように、子会社に対する貸倒引当金を消去する場合、「貸倒引当金」勘定(資産の控除項目) と「貸倒引当金繰入」勘定(費用)を消去していくのです📝

最後に仕訳例題を演習して終わりにしましょう💛

P社とS社は支配従属関係にある。
そこで、次の資料に基づき、必要な連結修 正仕訳を示しなさい。 ⑴P社の個別貸借対照表に計上された売掛金には、S社に対する金額が10,000円含まれている。
⑵P社は売掛金に対して、債権残高の3%を貸倒引当金として設定している。

$$
\\解答\\\begin{matrix}\\No.&借方:金額&貸方:金額\\(1)&買掛金:10,000&売掛金:10,000\\      \\(2)&貸倒引当金:300&貸倒引当金繰入:300\\  \end{matrix}
$$

なお、翌期の会計処理については以下の例題を確認しておきます。
※前期売掛金相殺額は2,000円としましょう。

・P社の売掛金とS社の買掛金を5,000円相殺消去した。
・P社は売上債権の3%を貸倒見積高として貸倒引当金を設定している。
この場合の、翌期の連結修正仕訳は次のようになります。

$$
\\解答\\\begin{matrix}\\借方:金額&貸方:金額\\買掛金:5,000&売掛金:5,000\\      \\貸倒引当金:150&利益剰余金:60\\&貸倒引当金繰入:90\\  \end{matrix}
$$

このように、貸倒引当金を前期と当期で区別しながら連結修正仕訳を行っていくことがポイントになります!
かなり難易度が上がってきましたが、演習問題をたくさん行うなかで点数につなげていきたいです💛

私が考える会計学を学ぶ意義💖

会計知識は、経理や会計士だけが理解していればいいというわけではありません🔥

なぜならば会計は、経理や監査法人の会計士だけではなく、営業や管理職、経営全般まで、会社に所属している全て人にとって必須の知識であると考えているからです!

ほとんどすべての会社は、営利団体であると思われます!
つまり、ボランティアではなく、利益を追求し、事業活動を行い、会社は成長していくことを本質的な目的にしていることでしょう。

私も株式会社に就職を予定している以上、利益の出る仕組み、お金の流れは確実理解をしておく必要があることを自覚しています。

例えば、営業マンだとしても、売上の目標や予算作成に関わることがあると思います!
そして、その予算の仕組みも、売上の処理も、全て会計が関係しているのです。
また、営業の売上は経理が処理をし、会社の利益がいくらになるかを算出していくことになります!

総じて、会計を知ることで、会社にどれほどのインパクトをもたらしているのかを把握でき、予算の作成においても精緻に行えるようになると言えますね💖
また、数字に強くなり、定量的な分析に基づく思考法やビジネスが行えるようになるでしょう。

そして、会計の知識を洗練していけば将来的に経営者の視点を手に入れることができると思いますので、新規プロジェクトにアサインされたり、昇格のきっかけにもなり得るかもしれません🔥

会計の基礎知識である「財務3表の理解」を中心に理解を深め、財務3表とは何か?
これを見て、何をどう判断するのか?などを考えていきたいですよね
この知識があるのとないとでは、今後の仕事の仕方が大きく変わることに間違いはないでしょう。

これからの時代はグローバルに活躍できる人材というのがより一層求められると思います!
私の投稿でも会計の基礎を身に着けるのであれば、英語も交えて知識をつけると、今後ますます活躍できるフィールドが広がっていくと考えていますので、グローバルスタンダードにも挑戦していくことにしましょう🔥

なお、参考資料は以下の通りです。

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今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠に有難うございました!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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