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進化する地方のDX

48%という割合が何を指しているかわかる方はいるでしょうか?
実は2020年3月時点の全国の駅に対してどれくらいの無人駅があるかを国土交通省が算出した割合です。

地方では進学や就職などで人が都会に出てしまうことで人口が減り、さまざまな事業やサービスが今までのやり方では維持できなくなってきました。
この問題は地方にある駅も例外ではありません。

そこで今回は鉄道のインフラを担っている東日本旅客鉄道株式会社(以下 JR東日本)がどのような取り組みで無人駅の問題を解決していくのかやそのほかのDXの取り組みについて紹介していきます。

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無人駅の改革

無人駅の経緯

無人駅が増える経緯は鉄道会社が経営を合理化を進めているためです。地方では少子高齢化などの原因で駅を利用する方や鉄道業務を担う社員が減少していっていました。その結果、鉄道会社は利用者が少ない駅に人を配置できなって無人駅が増えていってしまいました。

無人駅の問題点

無人駅が増えてしまうとさまざまな問題が出てきました。

駅で起きた有事に対応できない
駅のホームで利用者が倒れてしまった場合やベビーカーを使っている方が歩道橋を使って線路の向こう側に行かないといけない場合、無人駅だと対応が遅れたり間に合わなかったりします。

また、券売機などの施設が故障していたり、利用者が駅から目的地までの経路を相談するときに駅員がいなかったらたどり着けません。

このように無人駅が増えてしまうと日常的に使っている方や観光できた方が不便になってしまいます。

無人駅問題を解決する取り組み

JR東日本は2020年に駅と民間企業を一体化して運営することで無人駅問題の解決に取り組んでいます。

全国で初めてその取り組みを実現したのが千葉県にある江見駅で、無人駅と郵便局が一体となって運営しています。
運営が一体化となったことでJR東日本側は有事の対応やサービスの維持をしてもらえ、郵便局側は定期券の発行ついでに貯金や投資信託などの金融商品を紹介できるといったメリットが期待できます。

運営を一体化した相乗効果

地域経済への貢献
また、民間企業はJR東日本からの業務委託から地元の雇用を生み出すきっかけとなり、雇用と消費がうまく回って駅周辺の地域経済が活性化していくことが期待できます。

新たなサービスの導入
さらに、人が集まってきた駅で小売りや飲食サービスの提供などを設置することで地域に合ったビジネスモデルが形成されていき、駅利用者にとって魅力的な場所になっていく可能性があります。

広がる取り組み

これらの取り組みは他の地方でも行われていて、2024年1月には仙台市青葉区の作並駅でも取り入れらています。

ちなみに、国が施設を保有したまま民間企業に運営を任せることをコンセッションといいます。地方のさまざまな公共施設が運営に行き詰まっているため、このような制度を有効活用してもらいたいですね。

コンセッション
公共施設等運営権制度とも言う。空港や道路、病院などの公共施設において、国や地方自治体が土地や建物などの所有権を保有したまま公共インフラの運営権を一定期間、民間企業に売却すること。

国や地方自治体などの公共団体にとっては税負担が減り、民間の資金や運営手法を活用できる一方、民間企業は施設の取得や保有に伴う税負担が生じず独自の工夫によって収益を拡大できる等のメリットがある。

コンセッション|証券用語解説集

鉄道インフラのDX

JR東日本は業務委託だけでなくさまざまなDXでも地域活性化に取り組んでいます。その中で伸びそうなDXを3つほど紹介します。

Maas(Mobility as a Service)

Maasは鉄道やシェアサイクル、観光地などを1つのシステムで予約・検索・決済できるサービスです。

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。

MaaS とは|国土交通省

特に注目なのはオンデマンド交通で、岩手県一関市の「よぶのる一関」はAIが車両を配車し、予約する利用者に応じて運行する時刻や経路が変わる「フルデマンド化」されています。
観光地に足を運んだ時に予定とは違った場所に行きたいときにも活用できるため、現地の魅力を堪能しながら効率よく観光できるのはいいですね。

はこビュン

はこビュンは新幹線などの列車の空きスペースに収穫・梱包された農産物などの地産品を載せて地方から都内に運ぶサービスです。

このサービス自体は2017年から駅内の商業スペースで開催される産直市向けのものでしたが、2021年4月から駅外の商業施設に向けて本格展開しました。
列車の時刻通りに目的地に到着する機能と空きスペースを有効活用して採れたての特産品をエキナカからエキソトへ展開しているのは素晴らしいですね。

バス・ラピッド・トランジット

バス・ラピッド・トランジット(以下BRT)は交通手段であるバスと道路整備や通信システムを組み合わせることで従来よりも早く確実に目的地に到着するようにするシステムです。

「BRT」とは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムです。

BRTの特徴|国土交通省

実は、この仕組みの導入は東日本大震災からの復興が背景にあります。
JR東日本の安全報告書2011によると、3/11の震災で東北新幹線の地上設備の主な被害状況が約1,200箇所、在来線の地上設備の主な被害状況が約4,400箇所ありました。

安全確保などの復旧には整備に時間や費用などのコストがかかることから、早くて安全に運用できるこのシステムが提案されました。
バス専用の道路を整備し、GPSを使って運行情報を管理することで鉄道を運行していたときに比べて1.5~3倍の便を昼間の時間帯に運行できるようになりました。この運行だと通学や通勤で使用する方に使いやすいですね。

地方のDXは進化していく

最近の地方は最新技術によってさまざまな社会問題を解決しようと取り組んでいます。紹介したDXなどが地方で活躍することで効率的で便利な場所となって観光客や移住者の増加が期待できます。地方のDXは着実に進化を遂げ、人とIT技術の新たな可能性を切り拓いてくれるに違いありません。

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参考文献


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