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第1回 架空の映画レビュー

ことの経緯

高校3年生の2人が受験終わりに映画レビュー対決をした時の記録。

1人目

『灼熱!メッシャガ火鍋部!!浪人編』
☆☆☆☆
2014年に空前の火鍋ブームを巻き起こした「灼熱!メッシャガ火鍋部!」の誰も予想しなかった続編である本作。
前作(第1作)は所謂快作青春コメディであったが、今作は青々とした学園生活とは対比的に、煮えたぎり混濁する鍋の底を生きる浪人生達が葛藤しながら前へ進むヒューマンドラマ。
「全国競技火鍋大会で優勝に輝いた揚場高校火鍋部のその後」を描いた監督のエゴでしかないアフターストーリーである。
前作で敵対した湯豆腐手掴み部の阪東と脱法フグ刺し調理同好会の谷崎が前作主人公の東海林と同じ予備校に通う中で次第に互いの主張を尊重し合うようになるシーンは涙なしでは見られない。
浪人寮へ帰る際に偶然出くわしたかつての火鍋部員であった蒲原の「人生ってまるで火鍋だな。」というセリフは、「熱く濃厚な辛苦を乗り越えた未来こそお前の人生に相応しい」という激励が込められ、前作で毎朝薬味を口に含んで登校し、誰よりも涙して猫舌を克服した蒲原だからこその言葉だろう。

架空の映画レビュー①

2人目

『アドルフ・シャンシャンあるいは、ヒトラー2度目の死』
☆☆
映画の結末が、全てタイトルで表現されている意欲作。西暦3000年A Iは、第四帝国の建設を目論みヒトラー復活計画を開始する。しかし、同時にパンダのシャンシャンのサイボーグを製造していたため配線が絡み合い、頭は、(物理的に)総統、体はパンダというキメラサイボーグが誕生してしまった。優生思想に則って行動するようプログラミングされたアドルフ・シャンシャンは、自身の矛盾に苦しみやがてその怒りの矛先は、地球全土を支配するA Iに向かうこととなる。タイトルから分かるように、ヒトラーことアドル・シャンシャンは、A Iにコテンパンにやられて死ぬ。映画の後半一時間は、延々とヒトラーがA Iたちに拷問されるシーンが続く。笹の葉での鞭打ちはまだいいとして、飢えたレッサーパンダの群れに襲わせるシーンでは、監督の倫理性を疑った。正直、強烈なナチパンダ嫌いでなければ見ない方が幸せな人生を送れる。

架空の映画レビュー②


結論
勝利基準が『よりみたいと思わせるレビュー』にも関わらず、2人とも絶妙に観たくない映画のレビューを書いた。

よって、火鍋部の勝利。

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