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ビジネスインタビューを通して会社の「今」と「ありたい未来」を理解しようvol.2/2

Xデザイン学校:https://www.xdesign-lab.com/
マスターコースでの学びを自分なりにまとめています。UXデザイン、サービスデザイン、デザイン思考、といった分野に興味のある方の参考になれば幸いです。

昨年通っていたビギナーコースでの学びはこちらにまとめています↓
https://note.com/kenmochitakashi/m/m621a19042e6c

この記事は前回の続きです。

【vol.2/2】Xデザイン学校マスターコース 02 / 2020年9月12日(土)

前回の記事では「UXデザイン」と「サービスデザイン」の違いって何なんだ?というそもそもの確認をしました。振り返りの結果として、ユーザー視点で創出した面白いアイデアを「絵に描いた餅」で終わらせない為にも、ビジネス側のデザインがとても大切。ということが分かりました。

ということで、今回は授業でやった「ビジネスインタビュー」についてnoteを書きながら復習していきたいと思います。

ビジネスインタビューを実施する理由・意図

UXデザインの手法を使った多くのプロジェクトは、クライアント企業から「こういう課題があるんだけど一緒に解決策を考えてくれないか?」という依頼から始まります。

ですので、仮にこのクライアント企業を「A社」とすると、このプロジェクトを通して最終的に生み出される「提案」はA社が実行可能なものでなくてはなりません。

「実行可能」という意味はA社が「提案」を実行するに足りる「人、金、技術、体制、文化、ビジョン…etc」といったリソースを持っているか?ということで、前回の記事から繰り返し述べていますが、A社が「実行不可能」な「素晴らしいアイデア」を提案することに意味はありません。

こうしたUXデザインの手法を求めている企業、デザインコンサル会社に依頼する様な企業は、ある程度資金力があるところが多いので、一番問題になりそうなのは「技術、文化、ビジョン」あたりなのかなと。(他の部分はお金で解決できそう)

とても革新的なアイデアだけど、それを実行するには全社的に取り組む必要があり、縦割り文化が根強い会社だと実現できない…。

そんな場合には、提案する「素晴らしいアイデア」の中に「企業体質の具体的な改善策」も含まれていないと「THE 絵に描いた餅」で終わってしまいます。こうして考えていくと「デザインコンサル」がなぜ「コンサル」と名乗るかが分かってきますね。

ということで、シンプルに言うと「いろいろ考える前にまずはクライアントのことをちゃんと理解しよう!」というのがビジネスインタビューを実施する目的となります。

ビジネスインタビューをやってみよう

ビジネスインタビューといきなり言われても、何を聞いたら良いのか全然分からないので、Xデザイン学校では一定のフォーマット、フレームワークを使いながらインタビューをしていきました。

まずは会社の現状把握から。

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■ 経営者や社員の思い
→ 良い点悪い点含めて、現在の会社への認識。
■ 現在の会社におけるその企業の意味や役割り
→ これはタイトルのママですね。存在意義の話。
■ 現在の企業の商品やサービスに関連する技術
→ おそらく、企業が競争優位性を持っている部分はどこか?を確かめたい項目だと思っています。
■ 現在の企業のビジョンと戦略
→ こちらもタイトルのママですね。現時点でどういう「未来」を見据えているのか。

インタビューだけでこれら項目を全て埋めていくのは難しいので、企業が公表しているIR資料なども活用しながらこれらの情報を整理していきます。

続いて、ビジネスモデル・キャンバスを使ってみます。

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こちらは企業のビジネスモデルを整理するためにフレームワークで、「1,2,3,4…」という順番が振っており、その順に質問をしながら答えを書いていくと「いい感じにビジネスモデルがワンシートにまとめられる」という優れもの。

上のキャンバスはXデザイン学校で頂いたものに
https://media.bizmake.jp/method/about-bmc/
こちらの記事の内容を追加して作成しました。というかこの記事すごく分かりやすいですね!このnoteを読むより全然理解が深まります。おススメ。

授業では某大手IT企業の方にインタビューをしながらこのビジネスモデルを埋めていったのですが、会社名を出さない方が良さそうなので、このnoteでは自分が勤めている会社を例にしてビジネスモデルシート、ビジネスモデル・キャンバスを作成してみたいと思います。

株式会社サインのビジネスモデルを把握してみよう

私が働いているサインという会社は、Webサイトやアプリケーションの設計業務をメインに行っている会社です。では早速やってみましょう!

【ビジネスモデルシート】

■ 経営者や社員の思い
5人しかいない零細企業ですが、経営体質は健全ですし、何より社員にかなり裁量権を持たせてくれているのでとても働きやすい。私が小田原でリモートワーク生活を送れるのも、いろんな意味で信頼して貰っているから。会社には感謝しています。

■ 現在の会社におけるその企業の意味や役割り
官公庁などのWebサイト制作に関わることが多く、社会的意義の高い仕事も多い。他の会社で「代替できないか?」と言えば全然そんなことは無く、社会的には無くなっても全然困らない存在。

■ 現在の企業の商品やサービスに関連する技術
UXデザイン、UIデザイン、プロジェクトマネジメントの領域で狭ーい業界内では一定の評価を受けており、仕事の依頼は多い。でも、それらの評価が「個人」に紐づいており「会社」としての強みにはできていないところに、問題を抱えている。

■ 現在の企業のビジョンと戦略
大きなビジョンは無い。社員が楽しく仕事を続けられるのが一番。現在は受託案件ばかりなので、自社でのサービス開発に取組みたいと考えているが、具体的なところはまだまだこれから。

ひとまずこんな感じでしょうか。まぁ、零細企業なのでこんなものですね。

続きまして、ビジネスモデル・キャンパスをやってみます。

【ビジネスモデル・キャンバス】

① 顧客は誰か
広告代理店、大きめのクリエイティブエージェンシーからの依頼が多い。直クライアントは少ない。

② 顧客への提供価値
Webサイト構築における上流工程(企画、リサーチ、要件定義、設計、プロジェクトマネジメント)をまるっと任せられる専門性の高さ。プロジェクト管理能力。代理店から見ると「サインに任せればいい感じにしてくれるだろう」という安心感があり、管理コストを抑えることができる。

サービスの届け方(どうやってそのようなお客様を見つけるのか?)
基本的に代表や社員の人脈。狭い業界の中で「あの会社ちゃんとしてるよ」という一定の評価を得ると、定期的に仕事の依頼が来る。狭い業界内の口コミ。

④ 顧客との関係構築法(お客様は当社とどんな関係を望んでいる?)
ある程度難易度が高く、内部リソースだけで対応するのは難しい案件の「用心棒」的な存在。

⑤ 収益の流れ
制作物に対する対価。常駐、半常駐といった人月での契約。

⑥ 価値提供のためのリソース
専門性の高い人材。

⑦ 価値提供のためにやるべきこと
専門性を常に磨く続けること。人材の確保、後輩の育成。

⑧ 主要パートナー
信頼できるデザイナー、制作会社。

⑨ 価値を提供するためにかかるコスト
人件費。学習費、家賃など

ニッチな業界の「用心棒」みたいな会社です。でもニッチ過ぎて誰も知らないので、もうちょっと皆さんに知って頂けるような会社にしていきたいです。

現状把握が済んだら次は「未来の話」を聞いてみよう

ビジネスシートとビジネスモデル・キャンバスを使って会社の「今」を把握したら、次は「今後どうして行きたいか?」という「未来」の質問をしていきます。

UXデザインの手法を用いたプロジェクト依頼がある場合、「何か新しいサービスを作りたい」「会社で抱えている課題を解決して欲しい」といった依頼がほとんどかと思いますが、その企業が「どんな未来を目指しているのか?」を把握する事で、その方向性にあった提案を考えていきます。

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私の勤めている会社のことをこれ以上書いていっても誰も興味が無いと思いますのでここから先は省略しますが、「未来(5年後)のビジネスシート」を使いながらインタビューを行い、情報を整理していきます。

ここまでやると
1, ビジネスシート(現状把握)
2, ビジネスモデル・キャンバス(現在)
3, ビジネスシート(5年後の未来)

ができるので、授業の中ではこれらの情報をもとに「某大手IT企業」が取り組むべき新しいサービスを考えて、そのビジネスモデルを

4, ビジネスモデル・キャンバス(未来)

に落とし込むというワークを行いました。
考えたアイデアはまさに今話題の「デジタル庁」的な話だったので、眼の着けつ所は悪く無かったかなと。

最後に、ビジネスインタビューについて思うこと

ここまでnoteをまとめてみてやっと「あぁ、こういう事をやらせたい授業だったんだな…!」と理解することができました。授業の中ではビジネスシートとかビジネスモデル・キャンバスの「目的」が良く分からないママ作業をしていたので、あまり上手くいかなかった。

それと、実際の仕事での経験からも思うのですが、会社全体の方向性に関わるようなプロジェクトですと、こういったビジネスインタビューをきちんと社長にできるようにしないと(もしくはそれにとても近い決裁者)、プロジェクトって上手くいかないですよね。

「一つの部署のTOP」というレベルだと、その人が全社的な声がけをしようとすると、同じレベルにいる人同士の縄張り争い的なものが発生したり、会社全体にプロジェクトを浸透させるまでのスピード感が遅かったりと、けっこう厳しいものがあるよなぁ、というのが実感としてあります。

「ビジネスインタビューを経営層に行う」というのをプロジェクトに組み込めるよう、最初から担当者と交渉しておくというのが大切なのでは?と思っています。


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次回のXデザイン学校の授業は
「UXデザインとビジネスデザインの調査」

タイトルだけ見てもあまり想像ができないのですが、また授業後に分からないことを振り返りつつnoteにまとめていきたいと思います。
(完全オンラインなので授業後の懇親会が無くて寂しいね…!)

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