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夫ががんになった (3) ~一時退院~

3クールの辛い抗がん剤治療を終え
手術日が決まるまで一時退院し、
自宅での生活。

抗がん剤投与中の食欲不振とは打って変わって
食欲は普通に戻っていた。

単身赴任で普段、
食生活をサポートしてあげられなかった
自責の念や、術後、今まで通りの食生活には
戻れないことは想像できるので、
出来る限り夫の好きな物を用意したり自分なりに栄養バランスを考えて食事を作った。

もし心で
「今さら…  」と思われたとしても
それをしないと一生後悔しそうなので
そう思われてもいいと思った。


手術前の大きな不安、
仕事のこと、人事異動のこと
色々考えることがあり過ぎてなのか
普段にも増して口数の少ない夫。

食事に関して質問した時などは返事は
返ってくるものの
私も関わるであろう今後の予定などは
自分から一切何も伝えてくれず、
表情や態度でイライラだけは時々見せていた。


そんな日々が約3週間続き
手術日程が決まり、
手術入院の前々日の夕食時だったと思う。
(さすがに入院前日は変なことで揉めて送り出したくはなかったので… )


私はついに爆発してしまった。


入院中、
洗濯物交換や差し入れ
夫と職場の連絡役など
それは妻として当たり前だし

そして、当たりどころが無く私に当たることでメンタルのバランスをとっていたのも
理解しようともしていた。


でも手術日が近づいても何の相談も
してくれない…。

「私は何なんだろう?」と言う感情に襲われてしまった。

夫の手術の心配はもちろんあるけれど、
先々、夫に代わってやるべきことや
現実的な治療費のことなど(がん保険未加入だったのでなおさら… ←当事者以外からお金のことは中々、心理的に切り出しにくいです)

要領の悪い私は余裕のある時に出来ることはやっておいたり、大切なお金のこともしっかり相談しておきたかった。


特に家族には、心で思っていることは
素直に言葉で伝えたい性格だったのに、
今回だけでなく感情を抑えることが多くなり、
伝え方もかなり溜めて爆発するようになって
しまった。

「今、すごく不安だと思うけど…   」

と言う優しい語りかけから
切り出すことも出来ず、
感情のままに弾丸的に
自分の思いをぶつけてしまった。


その後、夫が言ったのは

「待ってくれ
手術が終わらないと何も考えられない…」と。


本人の不安さを吐き出させてあげたり
受け止めてあげたり
そんな言葉をかけられず、
責めた言い方をした自分は反省すべきだけど、
これも長年の夫婦のコミュニケーションの
足りなさ、不味さの結果なのかもしれません。


こんな一大事の時に…


心の距離をつくることになるとは
思ってもみなかった。



つづく…











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