受験を無事に完走するためのアドバイス
諸々の状況は芳しくありませんが、中学受験は何とか予定通りに実施されそうではあります。
今年の受験生ならびにその保護者の方々は、例年の比ではない不安やストレスを抱えて受験に突入することとなるでしょうから、まずは皆様が無事に完走できることを祈るばかりです。
折に触れてアドバイス的な記事を投稿してきましたが、今年度の受験前における大きなアドバイスはこれが最後になるかもしれません。(細かいアドバイスとなるような記事は今後もちょこちょこ投稿していきます。)
すでに受験はほぼ成功している
これまでは模試の結果ですら一喜一憂していたことと思いますが、本番で突きつけられてしまう厳しい現実のせいで、味わったことのない感情に飲み込まれてしまう可能性もあります。
そんな感情に飲み込まれないようにするには、今までやってきたことに自信を持つこと、最後までやりきるんだという覚悟を持つことが重要です。
そして、受験本番に臨める、ここまできたこと自体が一つの「成功」であると認識することです。
受験の本番には誰もがたどり着けるわけではありません。様々な事情で受験を諦めた方も数多くいらっしゃることでしょう。そういう決断をされた方と比べれば、この受験によって大きな経験値を得ることとなります。
最後まで受験勉強を続けて自分を高め続けたという経験、そして緊張の中で迎える受験本番の経験、合格不合格という結果を受け止めて前に進むという経験。
どんな結果が待っているにせよ、必ず受験は終わるもの。そしてそこから新たなステージの扉が開きます。
受験を通して得られた経験を次のステージでどのように活かしていくか。受験が終わってからはそういう思考回路になっていくのが理想的ですし、受験をして良かったなと思えている方は自ずとこのような考えが浮かんでくることでしょう。
例年授けているアドバイス
私が例年生徒本人やご家庭に授けているのは、「早く終わったらいいな」という考えは捨てましょう、というアドバイスです。
「ここで合格したら受験は終わりだ!」などと期待して受験して不合格だった場合、不合格という結果だけでも辛いのに、なかなか受験が終わらないという負の感情が上乗せされてしまいます。
予定している受験スケジュールは最後まで受けきるつもりで心の準備をしておきましょう。そしてどんな形であれ必ず終わりが来ることを意識しましょう。決して早く終わることを望まないように。受験が長引いたのならそれはそれでかけがえのない経験となります。
試験に臨む際、親御さんにはそのような姿勢でいてほしいのですが、受験生自身はそれに加えて「これで最後かもしれない」という思いも抱いてほしいというのが正直なところです。
「早く終わったらいいな」
「これで最後かもしれない」
この二つの言葉は終わりを意識するという意味では重なる部分もありますが、心構えとしての差は明白です。
初日に受験した本命校にすんなりと合格してしまった場合、めでたいことではあるけど、長く辛かった受験勉強があっけなく終わってしまうのかと思うと、ちょっと味気ないものになるかもしれません。
「これで最後かもしれない」
この言葉は自分の力を全て出し切るために心の中でつぶやいてほしい言葉です。
毎日の自分がつないでいくバトン
早めに本命校の試験があるとは限りませんし、やはり不合格が続いてしまうこともあります。受験がいつまで続くかわからない状況の中、それでも目の前の試験に集中しなければならない。
そんな時は、毎日全ての力を出し、毎日次の日の自分にバトンを渡すような意識を持つと良いでしょう。
最後まで頑張るとは言っても、受験スケジュールの全てを考えると大変そうに思えてしまうのは当然のことです。
しかし、人は毎日気分も違えば体調も異なります。何より子供は日々大きく成長を続けています。同じ自分であっても、毎日違う自分が生まれているわけです。
新たに生まれたその日の自分が、その日のタスクをこなしていくことになります。そして毎日生まれるその日の自分を支えてくれるのは、これまでに頑張ってきた一日一日の自分達です。
準備に3年を費やしてきたなら1000人以上の自分が、入試の日の自分のために頑張ってくれたことになります。
その助けを自信に、全ての結果が出るまで気を抜くことなく頑張り抜きましょう。悪い結果で落ち込むことがあっても、次の日にまた新たな気持ちで試験に臨みましょう。
過去の自分も、未来の自分も、今の自分を励ましてくれるはずです。
「これまで頑張ってきたから大丈夫!」
「合格のための材料は頭の中にあるよ!」
「先の自分からしたら大した状況じゃないよ!」
「この時の経験が先で活きたよ!」
そんな風に過去と未来、違った視点から応援してくれるのではないでしょうか。
「先」につながる「終わり」を目指して
これまでは個別指導で指導する限られた生徒、そしてその保護者の方々に対してこのような言葉をかけてきました。
その場合、各人の性格や状況に応じて言葉のニュアンス、話のニュアンスを変えることができますし、何より信頼関係が築けている段階で話すからこそ理解してもらえていたのだとも思います。
このような形で多くの方に読んでいただくには、いささか無責任な言葉となってしまうかもしれません。
それでもこのような心構えを持つことで最後まで戦い抜ける方が少しでも増えてくれればとの思いでこの記事を書いております。
途中で心が折れて受験をやめてしまう、そういう終わり方が通常起こり得ることとしては最も残念な終わり方だと思います。
「終わり良ければ〜」という言葉は、中学受験においては結果だけを表すものではありません。
全てを出し切れたか、費やしてきた時間や努力に見合った締めくくり方ができたか。そういう意味において、良い「終わり」を迎えられるかが大事なことだと思います。そういう良い終わり方ができれば、先につながることは間違いありません。
先行きが不透明なこの時代において、先がどうなるかわからない勝負をくぐり抜けた経験は必ずや助けとなることでしょう。
多くの方の決着がつくまで残り約1ヶ月。心が折れそうになったとき、辛くなったときに、ここでの話を思い出していただければと思います。
そして一人でも多くの方が、清々しい気持ちで受験を終えられるよう願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?